eぶらあぼ 2019.11月号
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82エマニュエル・チェクナヴォリアン ヴァイオリン・リサイタル世界が注目する新鋭が初の日本ツアーを敢行文:片桐卓也12/1(日)14:00 Hakuju Hall問 プロアルテムジケ03-3943-6677 https://www.proarte.jp/他公演 11/28(木)野田、11/29(金)君津、12/3(火)成田、12/4(水)旭(MIN-ONインフォメーションセンター03-3226-9999) いまヨーロッパで引く手あまたの若手ヴァイオリニスト、エマニュエル・チェクナヴォリアン(1995年生まれ)が日本で初めてのリサイタル・ツアー(東京はHakuju Hall)を行う。2015年のシベリウス国際ヴァイオリン・コンクールで第2位とベスト・シベリウス演奏賞を受賞した実力派である。チェクナヴォリアンの名前に見覚えがあるという方も多いだろうが、名指揮者として知られるロリス・チェクナヴォリアンを父に持つ音楽一家の出身だ。ウィーンで元アルバン・ベルク弦楽四重奏団のゲルハルト・シュルツのもとで学んだ。2017/18シーズンにはECHO(欧州コンサートホール機構)のライジング・スターのひとりに選ばれ、ベルリン・ドイツ交響楽団などと共演。今年はロンドン交響楽団との初共演も果たした。 日本でのリサイタルでは、ピアノのマリオ・ヘリングとともにベートーヴェンの「春」、ブラームスの第3番のソナタを中心に、クライスラー、シューベルトといったウィーンに縁の深い作曲家の作品を取り上げる。アルメニアに育ちながら、そもそもはウィーン生まれで、同地で学んだ経歴から、その演奏に期待が高まる。楽器はベアーズ国際ヴァイオリン協会から貸与された1698年製のストラディヴァリウスを使用している。ヴァイオリン演奏と並行して指揮活動もすでに始めており、またオーストリアでは自身のラジオ番組を持つなど、多彩な才能を見せている。その実力をしっかりリサイタルで耳に焼き付けておきたい。ミハイロフスキー劇場バレエ『眠りの森の美女』『パリの炎』ユニークな『眠りの森の美女』とフランス革命を描くレアな傑作文:桜井多佳子『パリの炎』 11/21(木)15:30 19:30『眠りの森の美女』 11/23(土・祝)17:00、11/24(日)11:30 16:00東京文化会館問 光藍社チケットセンター050-3776-6184 https://www.koransha.com/※配役の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。 レニングラード国立バレエという名称で、数々の古典全幕バレエを日本で上演し、観客に愛されてきたミハイロフスキー・バレエ。『眠りの森の美女』といえばチャイコフスキー作曲の有名な古典バレエで、同バレエ団来日公演でも何度か上演されているが、今回披露するのは、スペイン出身の振付家で同バレエ団芸術監督ナチョ・ドゥアトのオリジナル。従来の物語の流れに沿いつつ、要所にコンテンポラリーな動きを散りばめている。美貌のペレン、スタイリッシュ美女ソボレワらのオーロラ姫、絵本から抜け出たようなレベデフやザイツェフの王子も楽しみ。さらに注目したいのは、悪の精カラボス役のルジマトフ。同バレエ団の芸術監督もつとめたロシア・バレエのレジェンドが、圧倒的な存在感で邪悪な美女を怪演する。 『パリの炎』は、1932年初演のワイノーネン振付を元にメッセレルが改定、2013年に初演した。18世紀のフランスが舞台。退廃した貴族社会にマルセイユの民衆が命がけで立ち向かっていく。ドラマ展開はスリリング。ソ連時代のバレエらしくダイナミックな大技の見せ場がふんだんにあり、民衆たちのエネルギーが炸裂する群舞とともに、貴族たちの優雅な宮廷舞踊のシーンも堪能できる。ボリショイから移籍した実力派ヴォロンツォーワ、愛らしいテクニシャン、ボンダレワが村娘のジャンヌ役。義勇兵フィリップには、ザイツェフと話題のアメリカ人ダンサー、ジュリアン・マッケイ。『パリの炎』『眠りの森の美女』

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