eぶらあぼ 2019.11月号
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79紀尾井ホール室内管弦楽団 2020年度定期演奏会ホール創立25周年にふさわしく絢爛たる“祝祭”をテーマに文:山田治生問 紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061 http://www.kioi-hall.or.jp/kco2020/※各公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。 来年、創設25周年を迎える紀尾井ホール室内管弦楽団(KCO)が2020年度の定期演奏会のプログラムを発表した。17年以来首席指揮者を務めるライナー・ホーネックは、6月と21年2月に登場する。6月は、ホーネックが弾き振りするブラームスのヴァイオリン協奏曲が聴きもの。ウィーン・フィルのコンサートマスターの中でも最もベテランとなった彼の至芸が満喫できるだろう。前半には、ドヴォルザークの「管楽セレナード」とブルックナーの弦楽五重奏曲より「アダージョ」(弦楽合奏版)が演奏され、名手揃いのKCOの管と弦の魅力がそれぞれに味わえる。21年2月は、モーツァルトを中心としたプログラム。ホーネックがコンサートマスター席からリードするディヴェルティメント第15番K.287が楽しみ。 客演指揮は3人。ドレスデン出身で、古楽やオペラにも造詣の深い、名匠ハルトムート・ヘンヒェンはハイドンの大作「天地創造」を振る。オーストラリア室内管弦楽団の芸術監督を務め、モダンにも古楽にも精通するリチャード・トネッティは、ハイドンの「ロンドン」、モーツァルトの「ジュピター」と巨匠二人の最後の交響曲に加え、キラルの「オラヴァ」、武満徹の「ノスタルジア」を組み合わせた彼らしい選曲。武満作品では自らヴァイオリン独奏も披露。ウィーン出身で、ウィーン国立歌劇場の常連でもある、サッシャ・ゲッツェルは、ベートーヴェン、ツェムリンスキー、ベルク、シューマンという独墺プロ。シューマンの交響曲第4番(初稿版)にも注目だ。©ヒダキトモコスウェーデン放送合唱団最高峰の団体が聴かせる時空を超えた傑作たち文:寺西 肇11/26(火)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999 https://www.operacity.jp/他公演11/23(土・祝)京都コンサートホール(075-711-3231)、11/24(日)愛知県芸術劇場コンサートホール(東海テレビチケットセンター052-951-9104)、11/27(水)紀尾井ホール(ソニー音楽財団03-3515-5261)、11/28(木)東北大学川内萩ホール(合唱団萩080-3368-3951)※プログラムは公演により異なります。全国ツアーの詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。http://www.pacific-concert.co.jp/ 大胆さと緻密さを併せ持つ、幅広い表現力と鉄壁のアンサンブル能力で、“合唱界のベルリン・フィル”とも称される「スウェーデン放送合唱団」。昨年まで11年にわたって音楽監督を務め、世界最高峰の精鋭集団へさらなる進化をもたらした名匠ペーター・ダイクストラに率いられて来日し、“集大成”としての圧巻のハーモニーを聴かせる。 同合唱団は、1925年に創設。エリック・エリクソンら巨匠が音楽監督として、その歌声を磨き上げてきた。「偉大な伝統を引き継ぐことができたのは、光栄でした」と、エリクソンの愛弟子でもあったダイクストラは振り返る。「32人のメンバーは個々に優秀な歌手であるだけでなく、高いアンサンブル力を備えた“音楽家”なのです」。 11月26日の公演では、大バッハのモテット「歌え、主に向かい新しい歌を」と、同じ歌詞に現代スウェーデンのサンドストレムが作曲した同名作品を対置。ストラヴィンスキー「詩篇交響曲」を、新たに出版された、ショスタコーヴィチによる4手ピアノ伴奏版で聴けるのも話題に。さらに、ペルト、シュニトケなど、独特の世界観を持つ古今の佳品が配される。 唯一無二のサウンドを継承し、よりいっそう技術を高めると同時に、ダイクストラが力を注いできたのが、実はレパートリーの拡充。「特定の時代に偏らず、あらゆる作品を取り上げました。これにより、表現の多様性や柔軟性が向上したのです」。そして、今回披露されるラインナップこそ、まさにこの取り組みを具現。“人の声”の持つ底知れぬパワーを教えてくれるだろう。©Kristian Pohl

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