eぶらあぼ 2019.11月号
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78協奏曲の夕べ~情熱のアランフェス × 輝きのモーツァルト2020.1/29(水)19:00 サントリーホール問 ムジカキアラ03-6431-8186 https://www.musicachiara.com/河野智美(ギター)& 八木大輔(ピアノ)華麗なるコンチェルトのジョイントステージ取材・文:伊熊よし子Interview ギターとピアノの人気の高い協奏曲を一夜で聴く、という魅力的なコンサートが開催される。題して「協奏曲の夕べ~情熱のアランフェス × 輝きのモーツァルト」。ギターは国内外のコンクールで優勝&入賞に輝き、スペインでも活動を展開している河野智美によるロドリーゴ「アランフェス協奏曲」と「ある貴紳のための幻想曲」。ピアノは慶應義塾高校1年生で、イタリアなどの国際コンクールで史上最年少優勝を遂げている、いま勢いに満ちた八木大輔だ。共演は梅田俊明指揮の東京フィルハーモニー交響楽団。 まず、河野に選曲の理由を聞くと…。 「ギタリストにとってロドリーゴはとても大切な作曲家です。『アランフェス協奏曲』は長年弾いていますが、常に精神世界に引き込まれる感じです。先日、アランフェス宮殿を訪れ、宮殿のあまりのセンスの良さに驚きを覚え、ロドリーゴの作品への思いが伝わってくるようでした。この協奏曲もそうですが、スペイン作品は光と影、陽と陰が混在し、それをギターの響きで弾き分けていくことにとても魅力を感じます。『ある貴紳のための幻想曲』は、以前からずっと弾きたいと願っていました。今回が初めての演奏ですが、オーケストラとの掛け合いを重視し、原曲のガスパール・サンスの美しい旋律と溶け合ったハーモニーのすばらしさを表現したいと考えています」 河野は子どものころからギターに親しんできたが、一時期は一般企業に就職。だが、音楽への思い断ち難く、コンクールで良い結果が残せるよう一念発起してギターと向き合った。いまはギターひと筋。その情熱と強いギターへの愛着がロドリーゴで開花する。 一方の、八木は4歳のころから家にあったピアノから離れないほど、ずっとピアノを弾いていた。しかし、小学生のころは練習嫌い。やがて国際コンクールで優勝の栄冠に輝くようになり、道は決まった。 「いまは高校に通いながら音楽とも密度の濃い時間を過ごせるよう、時間配分をしています。僕はいま少年でもなく大人でもない、その中間ともいうべきとても微妙な難しい年ごろなんですよ。もやもやした思いや悩みも多く、不安定な時期です。でも、ピアノに向かうと、そのもやもやが一気に音楽に集約し、気持ちが晴れやかになります。モーツァルトは大好きで、協奏曲第21番は純粋無垢な気持ちでないと的確な表現はできません。いまの自分だからこそ演奏できる、そんな思いで演奏します。各楽章はとても美しく、モーツァルト効果というか人の心をリラックスさせるものがある。僕の演奏でそういう気持ちになってほしいですね」 なお、当夜はCDのライヴ収録も行われる予定、リリースは未定だが楽しみにしていよう。ダニエル・ハリトーノフ ピアノ・リサイタル2019「月光と革命」“天才少年”から本格派ピアニストへとグレードアップ文:笹田和人 2015年、弱冠16歳にしてチャイコフスキー国際コンクールで第3位入賞を果たし、鮮烈な音色で世界中の聴衆を魅了しているロシアの俊英ピアニスト、ダニエル・ハリトーノフ。かつしかシンフォニーヒルズでのリサイタルで、ベートーヴェンとショパンの珠玉の名曲を紡ぎ上げる。 1998年、サハリン生まれ。7歳にしてモスクワ・フィルと共演し、モスクワ音楽院で研鑽を積み、2013年3月にはカーネギーホールで本格デビュー。リサイタル活動の一方、ワレリー・ゲルギ11/30(土)13:00 かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホール問 かつしかシンフォニーヒルズ  03-5670-2233https://www.k-mil.gr.jp/エフ率いるマリインスキー歌劇場管弦楽団をはじめ、国内外の第一線オーケストラと共演を重ねている。 今回は、まず、ベートーヴェンのピアノ・ソナタの中で、特に人気の高い第14番「月光」と、若き楽聖が師ハイドンへ献呈した初期の佳品・第3番を披露。そして、「革命」「別れの曲」なども含まれ、“名曲の宝石箱”を思わせるショパンの「12の練習曲」(作品10)全曲に、「スケルツォ第3番」を添えて。“天才少年”から本格ヴィルトゥオーゾへの成長を、ぜひ確かめたい。河野智美 ©アールアンフィニ八木大輔 ©アールアンフィニ

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