eぶらあぼ 2019.11月号
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68Hakuju サロン・コンサート vol.4 アンサンブル天下統一弦3本でダイナミックに描き出すオペラの世界文:オヤマダアツシ12/19(木)19:00 Hakuju Hall問 Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 https://www.hakujuhall.jp/ なんとも大胆なグループ名である。しかしメンバーの一人であるチェリストの中木健二が愛知県岡崎市の出身だと聞けば、日本史ファンの方なら納得していただけるだろう。岡崎市は徳川家康の出生地であり、同市シビックセンターのレジデントアンサンブルとして意欲的な活動をしているのがこの弦楽三重奏団なのだ。結成は中木がフランスから日本へと拠点を移した2014年であり、読売日本交響楽団に在籍している長原幸太(ヴァイオリン)と鈴木康浩(ヴィオラ)が参加。室内楽の経験も豊富な3人だからこそ生まれる凝縮感や自由な雰囲気、さらには自信と確信がみなぎっているような演奏を聴かせてくれる。 このアンサンブルが、12月19日にHakuju Hallで行われる「Hakuju サロン・コンサート」で東京に初登場。それぞれの演奏をすでに聴いている方も多いだろうが、室内楽における個々の存在感や音楽性のぶつかり合い、弦楽器ならではの歌心などが聴けるのはうれしい。演奏するのはビゼーの《カルメン》およびモーツァルトの《魔笛》をモティーフに、さまざまなアリアなどを選んで再構成した2つの作品。そしてモーツァルトが1788年夏(後期三大交響曲の完成後!)にウィーンで書き上げた弦楽三重奏のための大作「ディヴェルティメント K.563」だ。  Hakuju Hallという親密な空間に広がる音楽で、3人は天下獲りへ号令をかける。左より:長原幸太/鈴木康浩 ©読売日本交響楽団/中木健二 ©ノザワヒロミチ(Capsuleoce)サントリーホール 作曲家の個展Ⅱ 2019 細川俊夫 & 望月 京みさとアニバーサリーにふさわしく世界的作曲家2人の注目作を文:伊藤制子11/28(木)19:00 サントリーホール ※18:20よりプレコンサート・トークあり問 サントリーホールチケットセンター0570-55-0017 https://suntory.jp/HALL/ 日本を代表する作曲家二人がタッグを組んで行われるサントリーホール主催の「作曲家の個展Ⅱ」。サントリー芸術財団50周年記念の節目となる2019年の「個展Ⅱ」は、ともにヨーロッパで高く評価されている細川俊夫と望月京による二人展で、オーケストラ作品4曲が取り上げられる。幅広い作品を手掛けてきた両者だが、管弦楽の魅力を存分に堪能できる新作を次々と世に送り出しており、第一級のオーケストラ作曲家という点で共通している。 これまでの「個展Ⅱ」では作曲家同士がプログラムに種々の仕掛けをしており、そのあたりも聴きどころだったが、今回は各自が注目のソリストを招聘するという試みだ。両者の作品世界にも通暁した世界的奏者が、妙技を披露するという贅沢な一夜が実現した。細川作品では、古典から現代まで手掛けているオルガニストのクリスチャン・シュミットが登場し、緻密な響きに彩られた「抱擁—光と影—」(2016~17)でソロをつとめる。一方の望月作品には、欧米で活躍し現代作曲家たちからの信任も厚い、打楽器奏者イサオ・ナカムラが出演する。サントリーホール委嘱新作「オルド・アプ・カオ」の世界初演では、高度な技術に裏打ちされたソロを聴かせてくれることだろう。他に細川作品として、サントリーホール委嘱世界初演となる「渦」、望月作品として、2010年の「むすび」がそれぞれ演奏される。オーケストラは現代作品の第一人者、杉山洋一指揮の東京都交響楽団。 現代創作界は今後どこに向かうのか。そんな問いをも照射する話題の公演となろう。望月 京 ©Y. Petit細川俊夫 ©Kaz Ishikawa

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