eぶらあぼ 2019.11月号
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61新居由佳梨 ピアノリサイタル11/13(水)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール問 プロアルテムジケ03-3943-6677 https://www.proarte.jp/新居由佳梨(ピアノ)ポリフォニーの美学に惹かれて取材・文:長井進之介Interview 新居由佳梨は東京藝術大学、同大学院を経て、スイス国立ジュネーヴ音楽院を修了。ソリストとしてはもちろんだが、特に近年は国内外の著名器楽奏者から多くの信頼を寄せられ、室内楽奏者としての活躍も目覚ましい。今回は、そんな彼女ならではの、ソロとデュオ(共演はチェロの西谷牧人)のリサイタルを開催する。フランクとバッハを核とした内容だ。 「これまでソロではフランスの近現代の作品に取り組み、“音作り”にこだわってきました。力を入れていたラヴェルの全曲リサイタルが終わってから4年、たくさんの演奏家の方と共演させていただき、さまざまな音楽性に触れるうち、音にもっと自分の内面をのせられるような作品を弾きたいと考えるようになっていました。そんなとき、ある演奏会でフランクの『プレリュード、コラールとフーガ』を演奏してから、この作品にもっと深く取り組みたいという想いが強くなり、今回のリサイタルを企画しました」 同じフランクの「ヴァイオリン・ソナタ」は多くの演奏家とともに演奏を続けてきた、新居の大切なレパートリーである。西谷ともたびたび共演し、表現を深めてきた。 「西谷さんとは、これまでにもフランクを演奏する機会があり、今度のリサイタルで4回目の共演です。また、彼とこの曲を演奏しようと決めてから、別の方とも今年の夏だけで2回演奏しています。なんだかフランクに導かれているような気もしています」 今回のフランクとバッハという組み合わせは、フランクに集中的に取り組むうちに生まれたものだという。 「作品に深く向き合ううち、この作品を包む“ポリフォニー”というものの虜になってしまいました。フランクは旋律を巧みに紡ぎ合わせて音楽を構築し、とても美しいポリフォニーを作り出していますが、これはバッハを研究することで生み出されたものです。そして実際に『プレリュード、コラールとフーガ』を見ると、バッハからの影響、バッハへの尊敬の念を感じさせる音型や書法が随所に見られます。そこで、ぜひバッハを組み合わせて“ポリフォニー”を深く追求していきたいと思いました」 ソリスト、アンサンブル奏者として活躍する新居だからこそできるソロとアンサンブルの二本立てのリサイタルには、彼女のこれまでの蓄積とさらなる進化を聴くことができるだろう。 「フランクとバッハを通して生まれた新しい私の演奏、今回ご一緒する西谷さんの素晴らしい歌心と音色、確固とした表現をぜひ聴いていただきたいです。今回のリサイタルは一つの大きなスタートになると思います」ツィゴイネルワイゼン幻想 宮﨑陽ようえ江(ヴァイオリン)超絶技巧と“歌心”が際立つエキサイティングなステージ文:長井進之介 アメリカに生まれ、幼少期をフランスで過ごしたのちに桐朋学園大学、ジュネーヴ高等音楽院で学んだヴァイオリニストの宮﨑陽江。現在は日本とスイスを拠点に、日本とヨーロッパの音楽文化の普及・発展に取り組んでいる。これまでに宮﨑はシューベルトを中心としたプログラムをはじめ、意欲的かつ幅広い時代と作曲家、そして超絶技巧の凝らされた作品が並ぶコンサートを展開し、高い評価を受けてきた。今回もサラサーテにカステルヌオーヴォ=テデスコなど、ヴァイオリンの魅力を存分に味わえる内容となって12/4(水)19:00 Hakuju Hall 問 コンサートイマジン03-3235-377712/9(月)19:00 札幌コンサートホール Kitara(小) 問 オフィス・ワン011-612-8696http://www.yoe.jp/©Takashi Matsudaいる。共演者にはピアニストでカンポバッソ国立音楽院教授のマルコ・グリサンティを迎え、丁々発止のアンサンブルを聴かせてくれるだろう。また、宮﨑は積極的に自作を取り入れてきたが、今回は「ラ・カンパネラ幻想曲」を披露する。おそらく超絶技巧の凝らされた作品となるのはもちろんだが、彼女の特性である歌心も存分に発揮されたものとなるだろう。 ©アールアンフィニ

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