eぶらあぼ 2019.11月号
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40大ホール客席から舞台正面を望む山形県総合文化芸術館が12月にプレオープン!伝統と未来が融合した東北屈指のホールが山形に誕生歴史都市の「文化の回廊」の中核 最上57万石、続いて鳥居24万石の城下町として栄えた山形。三重の堀が取り囲んだ奥羽最大の城の址は、旧二ノ丸が霞城公園として市民の憩いの場になり、江戸時代中期の東大手門が木造で忠実に復元されるなど古都山形の歴史と文化の薫りは以前にも増して色濃くなっている。 その霞城公園と同じ、山形駅の西口側に、連綿とした歴史の連なりが感じられる切妻の屋根と格子風の窓をもった山形の“蔵”をイメージさせる建築がお目見えした。昭和37年に開館した山形県県民会館(やまぎんホール)の老朽化に伴い、新たに建設された山形県総合文化芸術館である。 山形駅周辺には桜の名所でもある霞城公園のほかに、大正5年に英国近世復興様式で建てられた山形県旧県庁舎および県会議事堂である山形県郷土館「文翔館」や、806席のコンサートホールの山形テルサもある。その一角に、山形県総合文化芸術館を加えて「文化の回廊」を形成し、文化創造や地域の魅力の発信を重ねていくという。凛とした佇まい、そして最先端の設備 山形という歴史都市が培った伝統が自然に昇華されたような、総合文化芸術館の凛とした佇まいを眺めると、県の狙いは功を奏するであろうと確信させられる。しかし、今年12月にプレオープンし、2020年3月29日から本格的に始動するこの新しい文化芸術の拠点は、その内部、それも細部に目をやるほど、伝統や文化への心憎いばかりの気配りに唸らされるのだ。 この施設の中核は、2001の客席を備える3層構造の大ホールである。基本的に、舞台を額縁のように区切るプロセニアム形式で造られているが、額縁のなかを可動式の音響反射板で囲み、クラシックをはじめアコースティック音楽で最良の音響を生みだすこともできる。もちろん、オーケストラピットの設営も可能で、考え抜かれた音響と相まって、東北地方屈指の文化芸術施設となることはいうまでもない。大ホールの他にも「スタジ

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