eぶらあぼ 2019.11月号
203/209

200迫力のサウンドと気鋭の俊英たちの快演に触れるステージ。八王子での開催となる今回は、藤岡幸夫指揮の東京交響楽団が登場し、吉松隆「鳥は静かに⋮」で幕開け。昨年、東京音楽コンクールを制したヴァイオリンの関朋岳のソロで、サン=サーンスの協奏曲第3番、ソプラノ盛田麻央、バリトン原田圭、八王子クリンゲンコアの合唱でフォーレ「レクイエム」を。開演40分前からは、楽団メンバーによるプレコンサートも。バロックから近代に至る幅広いレパートリーの一方、特にフォーレのスペシャリストとして知られるピアニストの堀江真理子。東京藝大からパリ国立高等音楽院などに学び、ジュネーヴ国際音楽コンクールでは第3位(1位なし)を受賞した。今回は、ヴァイオリンの大宮臨太郎と横溝耕一ら弦の名手4人を交えて、フォーレ「ピアノ五重奏曲第2番」を軸に、サティ「ジムノペディ第1番」ほか、プーランク、ラヴェルのソロ小品を添えて。ピアニストの佐野優子は、東京藝大からリスト音楽院や英国王立音楽院に学び、現在はロンドンを拠点に国際的な活動を展開する実力派。デビュー15周年を振り返るステージはトークを交えて。リスト「ダンテを読んで」やショパン「英雄ポロネーズ」を柱に、モーツァルトやスカルラッティ、シューマン、バルトークに、自身の編曲によるエルガー「威風堂々第1番」と、彼女の多層的な音楽世界を俯瞰する。世界的名手の篠﨑史子を音楽監督に迎え、他では聴けないアンサンブルを通じて、ハープの魅力を多角的に掘り下げる国際音楽祭が31回目に。核となるのは、2つのステージ。「フェスティバルコンサート」は、イギリスのイオン・ジョーンズら名手が集結し、テノールの錦織健らを交えて。一方、「ファイナルコンサート」は、フランスのシャンタル・マチューや篠﨑らが、ヴァイオリンの徳永二男らと饗宴を繰り広げる。月の11自由が丘クラシック音楽祭2019堀江真理子(ピアノ)《フランス音楽黄金期の至宝》垣内悠希(指揮) 東京ニューシティ管弦楽団 第127回定期フレッシュ名曲コンサート東京交響楽団コンサート国際ハープフェスティバル2019佐野優子(ピアノ) トーク & コンサート~デビュー15年を振り返って~11/2(土)、11/3(日・祝) ACTサロンentracte11/12(火)19:00 東京文化会館(小)11/9(土)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール11/3(日・祝)15:00 オリンパスホール八王子11/16(土)17:00、11/17(日)13:30草加市文化会館11/10(日)13:30 イイノホール文:笹田和人藤岡幸夫 ©Shin Yamagishi関 朋岳 ©井村重人©Olga Lukas究極的に贅沢な時間と言えよう。わずか25席の小空間で一級の演奏を味わい、終演後のパーティーでは名手たちと語り合える音楽祭。3年目は、ヴァイオリンの荒井英治やカントゥス・クァルテットのメンバーらの出演により、第2次大戦中にナチスによって「退廃芸術」のレッテルを貼られ、迫害を受けたり、祖国を追われたりした作曲家を特集。ウルマン、ヴァイル、シュルホフ、コルンゴルトほか、2日にわたる全7公演で。荒井英治「いつも なにかが あたらしい」を信条に、常に清冽な演奏を披露し続けている東京ニューシティ管弦楽団。11月の定期は、2011年にブザンソン国際指揮者コンクールを制し、ウィーンを拠点に活躍する若きマエストロ、垣内悠希を迎えて。シベリウスによる初期の傑作「カレリア組曲」と「交響曲第1番」、そして、日本を代表するヴァイオリニスト、大谷康子のソロで、チャイコフスキーの協奏曲を聴かせる。垣内悠希 ©Jean Philippe Raibaud大谷康子 ©Masashige Ogataイオン・ジョーンズシャンタル・マチュー

元のページ  ../index.html#203

このブックを見る