eぶらあぼ 2019.11月号
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172■ブラームス国際コンクールで 三原未紗子が優勝、日本勢が躍進 9月1日から8日までオーストリア南部のペルチャッハで行われていたブラームス国際コンクールのピアノ部門で、三原未紗子が優勝した。また、第2位に尾島紫穂、第3位に石井楓子が入賞し、日本勢が上位を独占する形となった。 三原は神奈川県藤沢市出身。桐朋学園大学研究科修了後、ベルリン芸術大学、モーツァルテウム音楽大学大学院でも学び、2016年には第12回ルーマニア国際コンクール ピアノ部門で優勝するなど、国内外のコンクールで多くの入賞歴がある。 そのほか、声楽部門でも櫻井愛子が第2位に入賞、また、最優秀ピアノ伴奏賞に伊澤悠が選ばれるなど、日本の若手アーティストたちの活躍が目立つコンクールとなった。Internationaler Johannes Brahms Wettbewerbhttps://www.brahmscompetition.org/■訃報:パウル・パドゥラ=スコダ氏 世界的ピアニストのパウル・パドゥラ=スコダ氏が9月25日、オーストリアの自宅で死去した。91歳。 ウィーン生まれ。エドウィン・フィッシャーに師事し、名指揮者ヴィルヘルム・フルトヴェングラーとも共演するなど、数々の名演を残した。レパートリーは多岐にわたるが、特にバッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、ショパンで名演を遺した。フリードリヒ・グルダ、イェルク・デームスと並ぶ「ウィーンの三羽烏」と呼ばれ、たびたびの来日で多くのピアノファンに愛された。音楽学者の妻エファとの共著『モーツァルト演奏法と解釈』は名高い。弾き振りによるモーツァルトのピアノ協奏曲など、数多くの録音がある。10月に来日公演が予定されていた。■訃報:ジェシー・ノーマン氏 世界的オペラ歌手のジェシー・ノーマン(ソプラノ)氏が9月30日、敗血症などのためニューヨークの病院で死去した。74歳。 アメリカ南部ジョージア州生まれ。1968年にミュンヘン国際音楽コンクール優勝、翌年にベルリン・ドイツ・オペラ《タンホイザー》エリーザベト役を歌い本格的に活動を開始した。大柄な体躯の持ち主で、伸びと音量、さらに柔らかな声質に恵まれ、比類なき存在として高く評価された。日本にも何度か訪れ、リサイタルやモノ・オペラを行った他、92年に「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」で小澤征爾指揮の《エディプス王》ヨカスタ役、95年の「ピエール・ブーレーズ・フェスティバル in TOKYO」にも出演した。フランス近代声楽作品や《カルメン》《サロメ》などの録音を遺した。■訃報:佐藤しのぶ氏 日本を代表するソプラノ歌手として活躍した佐藤しのぶ氏が、9月29日に死去した。61歳。 東京出身。国立音楽大学卒業。文化庁オペラ研修所で学び、1984年二期会公演《椿姫》でデビューした。ウィーン国立歌劇場をはじめ、海外のオペラ劇場に出演したほか、著名な指揮者やオーケストラと共演するなど華々しい活動を行った。ヴェルディから日本の名作オペラ《夕鶴》つう役までレパートリーは広く、常に高い評価を受けた。2009年4月「天皇皇后両陛下ご成婚50周年&ご即位20周年記念コンサート」に出演。また1987年から4年連続で「NHK紅白歌合戦」に出場するなど、オペラファン以外の層からも広く人気を集めた。文化放送音楽賞、都民文化栄誉章、ジロー・オペラ賞大賞など多くの賞を受賞した。後日、「お別れの会」が開かれる。三原未紗子 ©T.Tairadate写真提供:KAJIMOTO©Don Hunstein

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