eぶらあぼ 2019.11月号
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169コンサートギャラリーチケット発売情報News & TopicsNew Release Selection新譜情報TV&FMBooks海外公演情報今月の注目公演公演情報ぶらPALえたと表明。無名の女優カルメンが、バーレスクのクラブ、ブロードウェイの劇場、ドサ回りのサーカスを経てハリウッドの映画スターになり、終幕はアカデミー賞のレッド・カーペットでドラマが展開するという演出プランについて説明した。オーディションを受けてブロードウェイの舞台に出演するも、スニガの逆鱗にふれてドサ回りに落ちぶれ、しかし、ハリウッド・スターのエスカミーリョに見出され…との筋書きで、スニガ、エスカミーリョとも、実在するショービズ界の大物をイメージしているとのこと。 これがロール・デビューとなる加藤のぞみ(アグンダ・クラエワとダブルキャスト)にとって、カルメンは「夢の夢のまた夢だった役」。ショービズの世界を描く今回のプロダクションに、稽古始めはとまどいもあったそうだが、「『カルメンは絶対あきらめない』との田尾下さんの言葉を聞き、(自身がキャリアを積んだ)イタリア、スペインで悔しい思いをしてきた、その闘争心は役柄に活かせると思った。新しいカルメンを作っていけたら」と熱く語った。 ドン・ホセ役を務める城宏憲(福井敬とダブルキャスト)は、「ダンスだけでなく、のけぞる、這いつくばるといった動きも入っていて、身体表現の上でもとても魅力にあふれているプロダクション。ドン・ホセは踊らないが、ピエロの姿になるシーンもある。話の渦の中心にはいないが、カルメンの生き様を見せる影として、新しい要素を取り込んだ上で作り上げていきたい」と抱負を述べた。 今回のイメージ・ソースとして、『NINE』や『シカゴ』、『ムーラン・ルージュ』といった映画作品の名前を挙げた田尾下。ドン・ホセの〈花の歌〉からカルメンの「自由!」の叫びにつながるくだりでは、『シカゴ』の〈ロキシー〉のナンバーさながら、カルメンにしか見えない夢想が描出されるという。ミュージカルの演出も手掛ける田尾下のこと、映画ファン、ミュージカル・ファンにもアピールする作品世界が期待できそうだ。取材・文:藤本真由グランドオペラ共同制作《カルメン》(新制作)10/19(土)、10/20(日)各日14:00 神奈川県民ホール11/2(土)、11/3(日・祝)各日14:00 愛知県芸術劇場 大ホール2020.1/25(土)、1/26(日)各日14:00 札幌文化芸術劇場 hitaru特設ウェブサイトhttps://www.kanagawa-kenminhall.com/aichi-sapporo-carmen/■国際音楽祭NIPPON 2020 記者会見 国際的に活躍するヴァイオリニスト、諏訪内晶子が芸術監督を務める「国際音楽祭NIPPON 2020」が、来年2月1日から3月15日にかけて開催される。9月13日、都内で記者会見が行われ、諏訪内、ジャパン・アーツ代表取締役社長の二瓶純一、同取締役の山田亮子が登壇した。 同音楽祭は2012年にスタート。今回は、ベートーヴェン生誕250年、諏訪内のチャイコフスキー国際コンクール優勝から30年、終戦から75年という大きな節目の年での開催となる。 諏訪内は、ピアニストのニコラ・アンゲリッシュとの「デュオ・リサイタル」(2/14,2/15)、ワシントン・ナショナル交響楽団演奏会(指揮:ジャナンドレア・ノセダ)(3/10)、「ベートーヴェン 室内楽マラソンコンサート」(3/8)、「室内楽プロジェクト Akiko Plays CLASSIC & MODERN with Friends」(3/11,3/13)、「ミュージアム・コンサートⅡ」(3/7)に出演するほか、関連企画として「刈谷豊田総合病院 慰問コンサート」(2/1)と「東日本大震災 復興応援コンサート in 釜石」(3/12)での演奏と「マスタークラス(ヴァイオリン部門)」(3/14,3/15)など全7企画を実施する。 会見の席で諏訪内は、「1990年のソ連時代に行われたチャイコフスキー・コンクールにおいて最年少で優勝して以来、30年にわたり世界で充実した活動をすることができた。この音楽祭はその“恩返し”。2012年に始めてから6回目になるが、とても精神的に充実している。様々な人から協力を得て、自分の仕事がソリストから総合的なアーティスティックな活動になってきたことを実感している」と述べたあと、生誕250年のベートーヴェンにフォーカスする取り組みについて、「アンゲリッシュさんとは『春』と『クロイツェル』を弾く。昨年10年ぶりに共演し、前と違う演奏で新鮮な気持ちで弾けた。互いの音楽性の変化はすぐに実感できる。良い演奏ができると思う」。新しい企画でもある「マラソンコンサート」に関しては、「音楽学の沼野雄司さんと安田和信さん、音楽評論家の舩木篤也さんの3人をアドヴァイザーとしてお迎えし、選曲や出演者などを相談した。たくさんの若い演奏家たちに登場してもらう」と語った。 またノセダ&ワシントン・ナショナル響とはチャイコフスキーの協奏曲を演奏する。「ノセダさんとは15年にわたり演奏してきた。信頼できるマエストロ。彼と相談して決めたチャイコフスキーはこれまで数えきれないほど弾いてきたが、色々な表現ができると思うのでとても楽しみ」と述べた。国際音楽祭NIPPON 2020https://www.japanarts.co.jp/imfn/諏訪内晶子 ©N.Ikegami

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