eぶらあぼ 2019.10月号
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86アントネッロ(古楽アンサンブル) 没後500年 レオナルド・ダ・ヴィンチ 音楽の謎解きルネサンス期の巨人と音楽との関係を探る文:那須田 務10/12(土)14:00 神奈川県立音楽堂問 チケットかながわ0570-015-415 https://www.kanagawa-ongakudo.com/ ダ・ヴィンチは「モナ・リザ」「最後の晩餐」等の絵画のみならず、建築や土木工学、幾何学、解剖学、地質学から天文学など多方面の研究に取り組んだルネサンスの知の巨人にして天才クリエイターだが、没後500年を迎えて日本で大きな盛り上がりを見せている。それもこれまで見過ごされてきた音楽との関係だ。実はダ・ヴィンチは自ら楽器を演奏し作曲するばかりか、新種の楽器まで考案するなど音楽に対して並々ならぬ情熱を持っていたのだ。そこで先頃、ダ・ヴィンチが音楽を担当した《オルフェオ物語》の復活蘇演を含むダ・ヴィンチ音楽祭を大成功裡に終わらせた濱田芳通(リコーダー/コルネット)率いるアントネッロが、「レオナルド・ダ・ヴィンチ 音楽の謎解き」と題するコンサートを行う。 演目はダ・ヴィンチ自身が作曲して判じ絵に残した〈愛だけがそれを思い出させてくれる〉の他、ロレンツォ・デ・メディチやジョスカン・デ・プレら同時代の作品。ヴィオラ・ダ・ガンバの石川かおり、ヴァージナルとルネサンス・ハープを弾く西山まりえに加え、《オルフェオ物語》で好演した阿部雅子や中嶋克彦らによる歌あり、ルネサンスダンスのカメラータ・エテルナによる舞踊ありと華麗なステージが用意され、ダ・ヴィンチが愛奏したリラ・ダ・ブラッチョも登場。アントネッロらによる躍動感溢れる情感豊かな演奏が、いにしえの音楽に新たな生命と魂を吹き込み、ダ・ヴィンチと音楽の関わりについて新たな視点を与えてくれるだろう。当日はワインやパニーニなどが販売される「イタリア&ルネサンスマルシェ」がホワイエで開催されるのも楽しみ。 音楽愛好家、美術愛好家ともに聴き逃せない、この秋一番の謎解きミステリーだ。中澤きみ子 & 大須賀恵里 Duo J ~大人に贈る素敵な午後~艶やかな名曲の花束に包まれる癒しの時間文:笹田和人10/14(月・祝)14:00 Hakuju Hall問 コンサートオフィスアルテ03-3352-7310 http://www.kimiko-vn.net/ 国際的に活躍するヴァイオリンの中澤きみ子と、室内楽のスペシャリストで国内外の巨匠たちと共演を重ねているピアノの大須賀恵里による「Duo J」。「上質な寛ぎの時間」を届けたいとの思いから続けているコンサート・シリーズ「大人に贈る素敵な午後」が3回目に。今回も自称“熟女”の二人が、楽しいお喋りを交えつつ、艶やかな名曲の花束を届けてくれる。 新潟大学からザルツブルク・モーツァルテウム音楽院に学び、ウィーン室内管弦楽団との協奏曲全集録音など、特にモーツァルト解釈で高い評価を得る中澤。来年には節目の70歳を迎え、10月には東京・紀尾井ホールで集大成のリサイタルを予定。教え子やウィーンの盟友も集い、ベートーヴェンやメンデルスゾーンの協奏曲などを披露するという。 かたや、大須賀は桐朋学園大学を卒業し、1995年にはニューヨーク・フィルのメンバーによる「ザ・ニューヨーク・トリオ」の一員として活躍。室内楽に主軸を置き、後進の指導・育成にも尽力する。そんな気の合う二人がタッグを組んだ年1回のステージは、「予想をはるかに上回る、楽しい雰囲気に大満足」と、聴衆から絶大な支持を得ている。 今回は、モーツァルトのト長調(K. 301)をはじめ、ベートーヴェンの第7番、グリーグの第3番という、3つの個性的なヴァイオリン・ソナタに、「ユーモレスク」「我が母の教えたまいし歌」と、ドヴォルザークの小品を交えて。キャリアを重ねた二人ならではの、滋味深いトークのパワーアップにも期待。大人だからこそ楽しめる、極上の時間がお約束できよう。西山まりえ石川かおり濱田芳通大須賀恵里 ©Akira Muto中澤きみ子

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