eぶらあぼ 2019.10月号
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84クリストフ・ルセ(チェンバロ) & パリの仲間たち麗しきロココの真髄を伝える夜会文:寺西 肇10/16(水)19:00 ヤマハホール問 MCSヤング・アーティスツ03-3473-2880 https://mcsya.org/他公演 10/17(木)フィリアホール(045-982-9999)、10/20(日)宗次ホール(052-265-1718)、10/23(水)あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール(KCMチケットサービス0570-00-8255) 古楽界を代表する鍵盤楽器の名手、かつ指揮者として埋もれた18世紀オペラを蘇演するなど大活躍するクリストフ・ルセ。今や“フランス芸術の正統的継承者”と目させる巨匠だ。7年ぶりの来日となる今回は、2人のヴィオラ・ダ・ガンバ (ヴィオール) の名手と共に、絶対王政下で実を結んだ「究極のフレンチ・バロック」を紡ぎ上げる。 ルセは1983年、ブルージュ国際古楽コンクール・チェンバロ部門で優勝。ソリストとして活躍する一方、91年に自身のアンサンブル「レ・タラン・リリク」を創設。指揮と通奏低音を担い、知られざる作品の開拓にも力を注ぎ、鮮烈な快演を連発。今回の来日は、チェロとガンバの遣い手として、欧州で活躍する盟友・酒井淳からの提案で実現した。 特集するのは、マラン・マレ(1656~1728)の作品。生没年すら不詳という謎の名手サント=コロンブにヴィオールを学んだ彼は、“太陽王”ことルイ14世の宮廷ヴィオール奏者として、ヴェルサイユでの音楽の寵児に。1990年の仏映画『めぐり逢う朝』では、師コロンブとの確執が虚実を交えつつ、繊細に描かれていた。 ステージでは、酒井と、もう1人のガンバの名手マリオン・マルティノと共演。大バッハが「マタイ受難曲」第1曲の旋律の着想を得た「メリトン氏へのトンボー」をはじめ、「シャコンヌ ト長調」や2つの組曲からの抜粋など、マレの佳品のエッセンスを。さらに、ルセは、マレのライバルだったアントワーヌ・フォルクレの息子ジャン=バティストが、父のヴィオール作品を編曲した「クラヴサン曲集」からの独奏曲を添える。アルディッティ弦楽四重奏団 & 高橋悠治(ピアノ)時代の先端を行くトップ・アーティストたちの共演文:江藤光紀11/23(土・祝)14:00 高崎芸術劇場 音楽ホール問 高崎芸術劇場チケットセンター027-321-3900(9/20以降)http://takasaki-foundation.or.jp/theatre/ 9月にオープンする高崎芸術劇場は、群馬では初の音楽専用ホールを備えている。演奏者の息遣いまで伝わる、室内楽に理想的な最新設備のホールのオープニングを祝いに、現代音楽の最前線を走るクァルテットがやってくる。 アルディッティ弦楽四重奏団は結成以来45年、フロントに立ち続けてきた驚異の団体だ。この半世紀の弦楽四重奏シーンは、彼らなしには語れない。どんな難曲でも弾きこなす自在なテクニックは作曲家の想像力を刺激し、委嘱初演作も含め無数の作品を世に送り出した。その老舗が、まさに妥協なしの難曲をひっさげて登場する。しかも、80歳を過ぎた今も旺盛で、先鋭的な創作・演奏活動を続ける高橋悠治との共演という豪華版だ。 まずは高橋がピアノで加わり五重奏を2曲。楽音と非楽音の境界で目も綾な世界を織り上げる魔術師、シャリーノの「Codex Purpureus Ⅱ(プルプレウス写本Ⅱ)」の後、高橋の師匠にあたるクセナキスの「アケア」が、新ホールの空間をたっぷりとした量感、暴力的なパワーで満たす。ここに高橋の新作四重奏が続き、再びシャリーノの「6 Quartetti brevi(6つの短い四重奏)」が星の明滅のような透明感を演出。掉尾を飾るのは、世界的作曲家・細川俊夫に高崎芸術劇場が共同委嘱した新作だ。 弦楽四重奏は古典派の時代から多くの名曲が存在するが、その歴史は常に新しい実験精神によって書き換えられてきた。そして書き換えは“いま現在”も続いている。新しい1ページが、まさに高崎で開かれようとしているのだ。415席の贅沢な空間で遭遇する未知の衝撃に備えよ。アルディッティ弦楽四重奏団 ©Astrid Kargerマリオン・マルティノ ©Soa Albaric酒井 淳 ©Jean-Baptiste Millotクリストフ・ルセ ©Ignacio Barrios Martinez

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