eぶらあぼ 2019.10月号
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76サー・アンドラーシュ・シフ(指揮/ピアノ) カペラ・アンドレア・バルカベートーヴェン:ピアノ協奏曲全曲演奏会仲間たちとともに弾き振りで探るベートーヴェンの深き世界文:飯尾洋一11/7(木)【ピアノ協奏曲第2番~第4番】 11/8(金)【ピアノ協奏曲第1番・第5番】各日19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999 https://www.operacity.jp/ 2020年はベートーヴェンの生誕250年。音楽界の区切りでいえば、2019/20シーズンを迎えたこの秋から、すでに「ベートーヴェン・イヤー」が始まっている感もある。 そんな記念の年にふさわしいのが、現代最高峰の名ピアニスト、アンドラーシュ・シフと彼のオーケストラであるカペラ・アンドレア・バルカによるベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲演奏会。二日間にわたって開かれ、全曲ともシフが弾き振りをする。 カペラ・アンドレア・バルカは、1999年にザルツブルクの「モーツァルト週間」で、シフがモーツァルトのピアノ協奏曲全曲演奏をスタートする折に結成されたアンサンブル。シフにとっては「家族のような存在」だという。コンサートマスターを務めるのはウィーン・コンツェントゥス・ムジクスのコンサートマスターであり、モザイク四重奏団の第1ヴァイオリンでもあるエーリッヒ・ヘーバルト。メンバーには、シフの長年にわたる共演者であり伴侶でもあるヴァイオリニスト、塩川悠子をはじめ、パノハ弦楽四重奏団メンバーや、ヴィオラのアネット・イッサーリス(スティーヴンの姉)、ホルンの名手マリー=ルイーズ・ノイネッカーなど、そうそうたる顔ぶれが並ぶ。いずれもシフを慕って集まった気心の知れたメンバーであり、塩川によれば「練習は室内楽を演奏しているような感じ」なのだとか。 一朝一夕には実現しない親密なアンサンブルを堪能できることだろう。アンドラーシュ・シフ ©Nadia F. Romanini/ECM Records二期会 ディーヴァ,ディーヴォ“未来の主役”たちの美声にときめく文:長井進之介第19回 11/7(木) 第20回 12/3(火) 各日14:00 Hakuju Hall問 Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 https://www.hakujuhall.jp/ 世界でも活躍する歌手が勢ぞろいする日本最大のオペラ団体「二期会」。その研修所を今年修了した若き歌手たちのフレッシュな歌声を楽しめるデビュー・コンサートが今年も開催される。出演者は全員、研修所の最上級である「マスタークラス」の修了試演会で素晴らしい成績を収めている。オペラ歌手としての本格的な道を歩き始めたばかりだが、すでに輝かしい才能と圧倒的な存在感を備えているのだ。 第19回のコンサートには、修了試演会で《椿姫》ヴィオレッタの歌唱が評価された抒情的な歌声の雨笠佳奈(ソプラノ)、《ばらの騎士》ゾフィーを得意とする可憐な歌声の新宮雅美(ソプラノ)、輝かしく柔軟な声で様々な役を演じ切る今回唯一の“ディーヴォ”、中野智貴(テノール)が出演。ドニゼッティやプッチーニのオペラアリアをはじめ、アリャビエフの「うぐいす」といった珍しい歌曲も楽しめる(ピアノ:石野真穂)。 第20回には、ドニゼッティ《ランメルモールのルチア》のルチアなど、超絶技巧を要する役を得意とする塚本正美、ヴェルディ《シモン・ボッカネグラ》アメーリアなどドラマティックな役で力を発揮する西村知花子、そして《ランメルモールのルチア》で表現力豊かな演技が高く評価された山﨑わかなの3人のソプラノが出演。ドニゼッティを中心に、輝かしい超絶技巧のコロラトゥーラの曲を次々に楽しめるだろう(ピアノ:相田久美子)。 二期会会員となったこの6人は、今後様々なオペラ公演に出演することになる。ぜひ今のうちにあなたの“推し”を見つけてみては?左より:雨笠佳奈/新宮雅美 ©FUKAYA Yoshinobu /auraY2/中野智貴/塚本正美 ©FUKAYA Yoshinobu /auraY2/西村知花子/山﨑わかな

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