eぶらあぼ 2019.10月号
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74トーマス・ツェートマイヤー(ヴァイオリン/指揮)& ムジークコレギウム・ヴィンタートゥーア鬼才が伝統のチェンバー・オーケストラを弾き振り!文:林 昌英10/28(月)19:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 http://www.toppanhall.com/ 「現代ヴァイオリン界の鬼才」と「スイス最古の歴史を誇るチェンバー・オーケストラ」。一見不思議な組み合わせだが、公演ごとに充実の成果を挙げ続け、欧州で注目を集めているという。そして今秋には、トッパンホールでそのパフォーマンスを体験できることになった。 前者はトーマス・ツェートマイヤー。いわずと知れた孤高のヴァイオリニストで、同ホールではパガニーニやバッハの無伴奏作品で凄演を繰り広げている。しかし、彼は近年指揮活動にも力を注いでいて、今回はソリストも務めるものの、指揮者という立場に軸足を置いてのステージとなり、その指揮ぶりが話題になりそうだ。とはいえ、やはり彼のヴァイオリン演奏は見逃せず、しかも演目はベートーヴェンの協奏曲。この温かい名作を、ツェートマイヤーが弾き振りでどう構築するのか、楽しみでならない。 後者は、チューリヒ近郊のヴィンタートゥーアという小都市を本拠とする楽団「ムジークコレギウム・ヴィンタートゥーア」。1875年設立の室内管弦楽団であり、かつてはフルトヴェングラーが指揮台に立ち、若きウェルザー=メストが首席指揮者を務めたという名門団体である。ローカルな存在感を保つ一方、スイス人以外の楽員も多い国際的な楽団でもあるとのことで、独自の歴史を重ねた音色と現代的なフレキシビリティが期待できる。現在の首席指揮者ツェートマイヤーとともに、ベートーヴェンの協奏曲のサポートと、モーツァルト「ジュピター」交響曲で、その真価を知らしめる。ムジークコレギウム・ヴィンタートゥーアサラマンカホール開館25周年記念 ガラ・コンサート豪華アーティストが集結し、アニバーサリーを彩る充実のステージ文:片桐卓也11/16(土)15:00 岐阜/サラマンカホール問 サラマンカホール チケットセンター058-277-1110 https://salamanca.gifu-fureai.jp/ 岐阜市にあるサラマンカホールは1994年に開場、今年で25周年を迎える。それを記念して豪華なアーティストを集め、25周年記念ガラ・コンサートが11月16日に開催される。出演するアーティストの顔ぶれを紹介すると、ウィーン・フィルの元コンサートマスターで、現在も活躍を続けるライナー・キュッヒルをはじめ、フルートの工藤重典、ギターの荘村清志、ピアノの仲道郁代、チェンバロの曽根麻矢子、オルガンの石丸由佳、ウィーン・フィルのチェロ奏者であるベルンハルト・直樹・ヘーデンボルク、ピアノのユリアン・洋・ヘーデンボルク、チェロの新倉瞳。その他に、サラマンカホール・フェスティバル・オーケストラも参加して、華を添える。司会はフリー・アナウンサーの朝岡聡。 プログラムとして予定されているのは、ボルヌの「カルメン幻想曲」(フルートとギター)、J.ウィリアムズの「スター・ウォーズ」メドレー(オルガン)、J.シュトラウスⅡの「美しき青きドナウ」(ヴァイオリン、チェロ、ピアノ)、ヴィヴァルディ「2つのチェロのための協奏曲」(チェロ2本、チェンバロ、オーケストラ)など、ガラ・コンサートにふさわしい多彩なものである。同時に、楽器の組み合わせも多様で、まさにこの日だけの一期一会のコンサートになることは間違いない。ホールの客席数が708席とクラシック音楽の鑑賞に適したサイズで、そこにオルガンも設置されている。このユニークなホールの歴史を振り返りながら、豪華な共演を楽しみたい。ベルンハルト・直樹・ヘーデンボルク ©Serban Mestecaneanuトーマス・ツェートマイヤー工藤重典 ©土居政則荘村清志 ©得能通弘仲道郁代 ©Kiyotaka Saitoライナー・キュッヒル ©R-Resonance Inc.

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