eぶらあぼ 2019.10月号
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48幅広いニーズに対応可能なホールの内観国際アート・カルチャー都市のシンボル 東京の都心エリアのなかでも、いま一番熱いのは池袋ではないだろうか。西口の東京芸術劇場など文化の拠点はあるものの、これまでは少々雑然とした繁華街のイメージが強かった。だが、豊島区は2015年、それまでの池袋のイメージと少々異なる「国際アート・カルチャー都市構想」を策定していた。それが翌年には「まち全体が舞台の誰もが主役になれる劇場都市」というコンセプトに落とし込まれ、来年の東京五輪を前にして、現実に置き換えられようとしているのである。 その中核が池袋駅の北東、中池袋公園に面した旧豊島区庁舎および豊島公会堂跡地に出現する「Hareza(ハレザ)池袋」。非日常の「ハレ」と、劇場や多くの人が集まる場所を表す「座」を掛け合わせたというネーミングが象徴するように、ホール棟、区民センター、オフィス棟(ハレザタワー)の3棟からなる国際アート・カルチャー都市のシンボルで、年間1000万人の集客を見込んでいるという。 そして、この3棟の中心に11月、極めつきの劇場がオープンするのだ。「東京建物 Brillia HALL」。本来の名称は「豊島区立芸術文化劇場」だが、ネーミングライツによって、Hareza 池袋の事業主の代表企業である東京建物と、同社のマンションブランドBrillia(ブリリア)を冠した名になった。 内部は3層で、全1300席。舞台から客席まで最大視距離28メートル以内と近く、2層目と3層目は客席が千鳥配列で、どの席からも舞台が見やすく、臨場感が味わえるのがうれしい。また、生の声や楽器の音はもちろん、マイクを通した歌やセリフの聴き取りやすさも重視した最新の音響設計で、コンサートからオペラ、ミュージカル、演劇、伝統芸能、そして区民向けの行事まで、幅広いニーズに応えられるという。 このホールの目的は「区民に良質な芸術文化を鑑賞する機会を提供」「芸術文化が生みだす波及効果で地域のにぎわいを創出」などと記されている。だが、区民にかぎらず、だれもが理想的なホールで「良質な芸術文化」に接する機会が得られるのは、いうまでもない。 実際、初っ端から「こけら落としシリーズ」と銘打ち、注目作品が続々と登場する。なかでも特筆されるのが、トップバッターの一つとして11月16日、17日に上演されるINNOVATION OPERA《ストゥーパ〜新卒塔婆小町〜》である。東京建物 Brillia HALL11月にオープン!━変貌する池袋に演者の息づかいが伝わる理想的な劇場空間━

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