eぶらあぼ 2019.10月号
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219コンサートギャラリーチケット発売情報News & TopicsNew Release Selection新譜情報TV&FMBooks海外公演情報ぶらPAL今月の注目公演公演情報「これまで重ねてきたモーツァルト経験を一つの形として残したい」と、久元祐子が3年前にスタートさせたピアノ・ソナタ全曲演奏会(全6回)。第5弾は、19歳で書いた第2番ヘ長調(K.280)に、ほぼ同時期、同じ調性で書かれたハイドンの第23(38)番を共鳴させる。さらに、夭折の天才が手掛けた最終2作にあたる、第17番変ロ長調(K.570)、第18番ニ長調(K.576)を、5年後に書かれたハイドン最後期の第52(62)番変ホ長調と併せて。海外と日本の伝統音楽や楽器の共演から、新たな響きの世界を創造する「ワールドコラボレーションコンサート」。今回は、ウクライナやウズベキスタン、アルゼンチンから名手たちが来日。昭和初期に活躍したソプラノ歌手の関屋敏子が創作したベルカント・オペラ《お夏狂乱》からの楽曲が、ウクライナのソプラノ、オクサーナ・ステパニュックらによって85年ぶりに蘇演されるなど、幾つもの先鋭的な試みが行われる。オペラなど檜舞台で目覚ましい活躍を続け、昨年で45周年の節目を迎えた、名バス歌手の岸本力。ロシアの知られざる歌曲の紹介にも力を注ぎ、2012年にはロシア政府から「プーシキン・メダル」を授与された。今回もギターやバンドネオン、朗読を交えて、ロシアの哀愁を。まず、ワルラーモフとグリリョフ、二人の19世紀の作曲家による、本邦初演を含む歌曲を披露。さらに、大衆歌謡から映画音楽まで歌い尽くす。1998年からデュオでの演奏活動を始め、海外のコンクールでの入賞歴もある内田万海と内田久己の母娘。2人が紡ぐ「Duo Uchida」の音色には、幸せと温かさが宿る。4手連弾も得意だが、今回は2台ピアノを特集。ブゾーニ「協奏風小二重奏曲」、リスト「《ドン・ジョヴァンニ》の回想」、スクリャービン「幻想曲」、ガーシュウィン「2つのプレリュード」「“アイ・ガット・リズム”変奏曲」と、多彩な佳品を弾きこなす。一線奏者による名演を解説とともに味わうシリーズ。第17弾は、“凄腕奏者”たちで組織されたヴィルタス・クヮルテットの快演で、「革命者たち」をテーマに。音楽プロデューサー足立優司の案内で、ロマン派音楽の方向性を確立したメンデルスゾーンの第3番、ソ連の全体主義下で独創性を追究したショスタコーヴィチの第1番という2つの弦楽四重奏曲に加え、タンゴを芸術へと高めたピアソラの小品「Escualo(鮫)」を聴く。久元祐子(ピアノ) モーツァルト・ソナタ全曲演奏会vol.5ワールドコラボレーションコンサートDuo Uchida 2台ピアノデュオコンサート藤木大地(カウンターテナー) & 福田進一(ギター)岸本 力(バス)第19回 小金井音楽談話室 ヴィルタス・クヮルテット10/27(日)14:00 サントリーホール ブルーローズ(小)10/22(火・祝)13:30 紀尾井ホール10/13(日)14:00 JTアートホール アフィニス10/31(木)19:00 静岡音楽館AOI10/26(土)19:00 東京文化会館(小)10/19(土)19:00 小金井 宮地楽器ホール(小)©酒寄克夫オクサーナ・ステパニュック大塚 茜©Fumiaki Fujimoto左:内田久己 右:内田万海“幸せな邂逅”となりそう。2年前にウィーン国立歌劇場で、初の日本人カウンターテナーとしてデビューを飾った藤木大地。そして、日本を代表するギタリストで、常に音楽界の先頭を走り続ける福田進一。杉山洋一への委嘱新作「鳥の飛行について」の世界初演をはじめ、フレスコバルディやモンテヴェルディなどバロックから、20世紀のカステルヌオーヴォ=テデスコや武満徹、同時代の加藤昌則まで、佳品を音と言葉の翼に乗せて。藤木大地 ©hiromasa福田進一 ©Takanori Ishii

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