eぶらあぼ 2019.9月号
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6810/12(土)14:00 府中の森芸術劇場 ウィーンホール問 チケットふちゅう042-333-9999 http://www.fuchu-cpf.or.jp/theater/ピエール・ダミアーノ・ペレッティ パイプオルガンコンサートイタリアの巨匠がオルガンの可能性を最大限に引き出す文:宮本 明 パイプ数3,636本の大規模オルガンの響きが約500席のほどよい空間を満たす府中の森芸術劇場ウィーンホール。今回、イタリア・ヴィチェンツァ生まれで、現在ウィーン国立音楽大学の教授を務める現代の巨匠ピエール・ダミアーノ・ペレッティが聴かせるのは、自らの出自を巧みに映した「ウィーンとイタリアの音楽」だ。たとえば、即興風の技巧的作品を指すイタリア語「トッカータ」の代名詞的存在、バッハの「トッカータとフーガ BWV565」。晩年のモーツァルトがウィーンで自動オルガンのために書いた、壮大でシリアスな音楽「ファンタジー ヘ短調 K.608」。ペレッティ自ら編曲を手がけたリストの交響詩「オルフェウス」はウィーンの宮廷楽長として活躍したグルックのオペラ《オルフェオとエウリディーチェ》上演のために、その序曲として書いた作品(ハープの片岡詩乃との共演)。パイプ個々のキャラクターから壮麗な強奏まで、オルガンの魅力をフルに味わい尽くすプログラムだ。10/6(日)15:00 よこすか芸術劇場問 横須賀芸術劇場046-823-9999 https://www.yokosuka-arts.or.jp/横須賀芸術劇場リサイタル・シリーズ56ギター・カルテット~福田進一と仲間たち~4人で拓く、より新鮮で豊かなフィールド文:オヤマダアツシ福田進一 ©Takanori Ishii ギター・カルテットは世界的な潮流となり、日本でも若い世代のグループが増えている今。そのリーダー格として俊英ギタリストたちを率い、演奏の可能性やレパートリーの拡大をし続けているのが福田進一だ。ソリストとして活躍中のギタリストたちが彼のもとへ集い、異なる顔ぶれでカルテットを組むコンサートも日本全国で行われているが、10月6日に神奈川のよこすか芸術劇場で行われるコンサートには、鈴木大介、村治奏一、朴葵姫の3人が集合。4人での演奏はもちろん、ソロ、デュオ、トリオといったフレキシブルな編成により、ギター・アンサンブルの多彩なサウンドがホールの空間に広がる。 演奏が予定されているのはバッハやピアソラ、ギターの名曲であるタレガの「アルハンブラの思い出」、さらにはギター・カルテットの定番になっているビゼーの「カルメン組曲」や、深まる秋にぴったりなブラームスの室内楽曲など。ギター音楽ファンは休日の横須賀へ。10/1(火)19:00 ヤマハホール問 オーパス・ワン042-313-3213http://opus-one.jp/荒川文ぶんきち吉 オーボエリサイタルソロとオーケストラで活躍する若き達人の技を聴く文:笹田和人©Peter Adamik オーボエの荒川文吉は、東京藝大4年在学中だった5年前に東京フィルハーモニー交響楽団に入団、同大学院修士課程を修了し、現在は首席奏者を務めている日本楽壇の期待を担う逸材。多彩な表情を持つ佳品を厳選したリサイタルで、その美音と幅広い表現力を存分に発揮する。 ステージでは、同い年の俊英・黒岩航紀が、ピアノとチェンバロを弾き分けて共演。まずは、フルート作品ながら、オーボエでもよく演奏されるバッハの「ソナタ ホ長調 BWV1035」を。そして、締め括りには、ナチス・ドイツによって、強制収容所で命を落とした20世紀チェコのパヴェル・ハースによる「組曲」を置いて、枠組みを形作った。 ここへ、イタリアのニッコロ・カスティリオーニの「アレフ」やスイスのダニエル・シュニーダーのソナタ、ドイツのディルク=ミヒャエル・キルシュによる無伴奏作品「ガニュメート」、山中惇史への委嘱新作の初演など、現代の作品を織り込んでゆく。オーボエによる表現の多様性を知らしめる、意欲的かつ野心的なプログラムだ。

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