eぶらあぼ 2019.9月号
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56その5の昼 9/29(日)14:30  その5の夜 10/2(水)19:00その6の昼 10/26(土)14:30 その6の夜 10/29(火)19:00近江楽堂(東京オペラシティ3F)問 ビーフラット・ミュージックプロデュース03-6908-8977 http://www.gregorio.jp/qc/古典四重奏団 ムズカシイはおもしろい!! バルトークの時代2019 その5とその6心が軽くなるトークと演奏で音楽が身近に文:寺西 肇©F.Fujimoto 「ムズカシイはおもしろい!!」は、精鋭集団・古典四重奏団が続けている、大人気のレクチャー付きコンサート。「弦楽四重奏曲なんて、絶対に理解できない」という“食わず嫌い”たちの思い込みを根底から覆し、室内楽ファンを“増殖”させ続けている。 2016年秋にスタートしたシリーズ「バルトークの時代」では、特に敬遠されがちな20世紀の傑作の魅力を“解剖”してきた。その第5弾では、「古典との融合」をテーマに、チェロの田崎瑞博が分かり易く説明。その後、バルトークが調性感に回帰した第5番と、フォーレの最終作であり、対位法的な構築感と流麗さを併せ持つ弦楽四重奏曲ホ短調が演奏される。 一方、第6弾は「哀悼の音楽」がテーマ。まずは、ファシズムと戦争犠牲者への思いを込めた、ショスタコーヴィチの第8番を聴く。そして、ファシズムの嵐を避けるため、アメリカ亡命を余儀なくされたバルトークが、祖国との別離の悲しみをしたためた第6番を披露。今回も奥深く、知的な体験が待っているに違いない。9/11(水)19:00 東京文化会館(小)問 プロアルテムジケ03-3943-6677 https://www.proarte.jp/白石光隆 ピアノリサイタル Vol.32迸る感性と技巧、選曲の独創性!文:笹田和人©岩切 等 磨き抜かれたリズム感と構築性、そして美音を武器に、独自の響きの宇宙を現出し続ける実力派ピアニスト、白石光隆。東京藝大・同大学院を経てジュリアード音楽院に学び、帰国後は、幅広いレパートリーを繊細かつ大胆に弾きこなす一方、子ども向けの教育プログラムの実施に力を注ぎ、母校などで後進の指導にもあたっている。 今回のプログラムは「無伴奏パルティータ第3番」(ラフマニノフ編)などのバッハと、ベートーヴェンの傑作ソナタ、第21番「ワルトシュタイン」を軸に。これらに組み合わされるのが、ルンバやブギウギなど独特なリズム感覚に満ち、圧倒的な存在感を放つ黛敏郎「オール・デウーヴル」、故国スペインの伝統と革新をブレンドして創り上げた独自の空気感を持つトゥリーナ「3つの幻想舞曲」、そして清冽なショパン「スケルツォ第4番」だ。白石のピアニズムが、どのように多彩な作品たちを共鳴させ合うのか期待したい。10/6(日)15:00 岐阜/サラマンカホール問 サラマンカホールチケットセンター058-277-1110 https://salamanca.gifu-fureai.jp/パリ・オペラ座 伝説のエトワール アニエス・ルテステュ ―変貌する美バレエとピアノ・ソロの親密な対話文:渡辺真弓©Elias パリ・オペラ座バレエ団の人気エトワールとして活躍したアニエス・ルテステュ。日本公演で披露した『天井桟敷の人々』や『椿姫』などの洗練された名演をご記憶の方も少なくないだろう。8月に山梨でパリ・オペラ座のスターたちと競演しているが、今秋は、心機一転、舞台上の一台のピアノと向き合い、ソロやデュエットによるダンス・コンサートを開催するというから、これは見逃せない。もともとは南仏の音楽祭で、英国王立音楽院教授の世界的ピアニスト、エドナ・ステルンとの共演にあたって企画されたものだとか。題して〈変貌する美〉。音楽はバッハ、ガルッピなどハ調のものを軸に選曲、振付はマルティネス、ブーシェら錚々たる顔ぶれだ。パリ・オペラ座バレエ団のプルミエ・ダンスール、ヴァンサン・シャイエが相手役を務める。「オペラ座の女王」として君臨したルテステュが、名曲の数々にどんな新しい生命を吹き込んでくれることだろうか、興味は尽きない。

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