eぶらあぼ 2019.9月号
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184英国王立音楽大学や米ニューイングランド音楽院修士課程に学び、国際的に活躍するチェリストの唐津健。1690年代に製作された銘器ジョゼフ・グァルネリを操り、ピアノの鷲宮美幸の共演を得てのリサイタルは、バーバーの傑作ソナタを軸に。バッハ「無伴奏組曲第1番」からの抜粋、エルガー「愛の挨拶」、ラフマニノフ「ヴォカリーズ」、サン=サーンス「白鳥」、ピアソラ「リベルタンゴ」と、名曲の花束を添える。九州交響楽団の9月定期は、音楽監督の小泉和裕のタクトで、荘厳な響きを湛えたブルックナーの交響曲第7番(ノヴァーク版)をメインに。第2楽章のクライマックスで鳴り渡るワーグナー・テューバに象徴されるように、ワーグナーへの想いが込められた佳品。その魅力を、名匠と九響の秀演が余さず掬い取る。これに先立ち、ワーグナーの愛情に満ちた小品「ジークフリート牧歌」を。2人の作曲家の想いが、共鳴する。若い才能の発掘や同時代作品の紹介に尽力した、オーケストラ・アンサンブル金沢の初代音楽監督・岩城宏之の遺志を継ぐステージ。ユベール・スダーン指揮による今回は、金沢出身で2019年度の岩城宏之音楽賞を受賞した鶴見彩の独奏によるベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番に、交響曲第5番「運命」を。さらに、生誕90年を迎えた湯浅譲二の「ピアノ・コンチェルティーノ」を、岩城の妻・木村かをりの独奏で。月の9花岡千春 ピアノ独奏会唐津 健(チェロ)オーケストラ・アンサンブル金沢岩城宏之メモリアル・コンサート土曜ソワレシリーズ《女神との出逢い》ヴェロニカ・エーベルレ(ヴァイオリン)中部フィルハーモニー交響楽団 第66回定期 NAGOYAシリーズ1九州交響楽団 第377回定期9/6(金)19:00 東京文化会館(小)9/22(日)13:30 戸塚区民文化センター さくらプラザホール9/14(土)14:00 石川県立音楽堂コンサートホール9/7(土)17:00 フィリアホール9/22(日)15:00 三井住友海上しらかわホール9/20(金)19:00 福岡シンフォニーホール文:笹田和人小泉和裕 欧州での活動を経て帰国、古典から同時代まで、幅広い作品にテーマ性をもって取り組む一方、後進の指導や執筆など、多角的に音楽の在り方を追究する実力派ピアニスト、花岡千春。今回の“独奏会”では、クープランのオルドルの名曲や、ベートーヴェン「アンダンテ・ファヴォリ」「ソナタ第14番『月光』」、そしてショパン「4つのマズルカ op.24」、シューベルト「さすらい人幻想曲」など個性豊かな佳品に対峙する。若きミューズたちの、瑞々しい演奏を味わう人気シリーズ「土曜ソワレ」。今回は、2006年に弱冠16歳でベルリン・フィルと共演を果たし、話題をさらったドイツのヴァイオリニスト、ヴェロニカ・エーベルレが登場。実力派ピアニスト・児玉麻里との共演で、フランクの名ソナタやシューベルト「幻想曲 ハ長調」、チャイコフスキーやバルトーク、パガニーニをストラディヴァリウス「ドラゴネッティ」の美音で聴かせる。©Felix Broede来年で20周年の節目を迎える中部フィルハーモニー交響楽団が、しらかわホールを舞台として全3回の〈NAGOYAシリーズ〉をスタート。芸術監督・首席指揮者の秋山和慶のタクトで、ドヴォルザークの3大交響曲と、3つの名協奏曲に対峙する。第1弾は交響曲第7番をメインに据える。ミュンヘン国際コンクール2位入賞の俊英・横坂源の独奏でチェロ協奏曲、序曲三部作「自然と人生と愛」から第1曲「自然の中で」も披露。左より:秋山和慶/横坂 源 ©ワーナーミュージック・ジャパン木村かをり鶴見 彩ユベール・スダーン©N.Ikegami

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