eぶらあぼ 2019.9月号
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166CDCDCDユーフォニアムとピアノのためのファンタジー/庄司恵子Viaggio/Bバルケッタarchettaクラリネットとピアノのためのイギリス音楽集/ディミトリ・ラスル=カレイエヴ&サヤ・ハシノ4つの幻想曲/アンナ・フェドロヴァ保科洋:ユーフォニアムとピアノのためのファンタジー/R.デュハースト:パナシェ/G.リチャーズ:ミッドナイト・ユーフォニアム/P.スパーク:ソング・フォー・イナ/J.セムラー=コルリー:舟歌と酒歌/ドヴォルザーク:わが母の教えたまいし歌/いずみたく:見上げてごらん夜の星を 他庄司恵子(ユーフォニアム)中村純子(ピアノ)ファリャ:7つのスペイン民謡/渡辺裕紀子:バルケッタ/ドビュッシー:美しき夕べ/ダウランド:涙のパヴァーヌ/武満徹(渡辺裕紀子編):翼/中村八大(Momo編):上を向いて歩こう/マイヤーズ:カヴァティーナ/ヒナステラ:「エスタンシア」より小麦のダンス 他Barchetta【佐藤秀徳(トランペット) 佐藤紀雄(ギター)】スタンフォード:クラリネットとピアノのためのソナタ/アーノルド:クラリネットとピアノのためのソナチネ/フィンジ:5つのバガテル/アイアランド:幻想的ソナタ/ホロヴィッツ:クラリネットとピアノのためのソナチネディミトリ・ラスル=カレイエヴ(クラリネット) サヤ・ハシノ(ピアノ)スクリャービン:ピアノ・ソナタ第2番「幻想ソナタ」/ショパン:幻想曲/シューマン:幻想曲/ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番(幻想曲風ソナタ)「月光」アンナ・フェドロヴァ(ピアノ)マイスター・ミュージックMM-4062 ¥3000+税コジマ録音ALCD-7238 ¥2500+税オクタヴィア・レコードOVCC-00153 ¥3000+税CHANNEL CLASSICS/東京エムプラスPCCS41318 ¥2857+税シエナ・ウインド・オーケストラのユーフォニアム奏者の初のソロ・アルバム。オリジナル曲、それに準ずるサクソルン・バス等の作品から、古典派のコントラバス協奏曲や内外の歌の編曲まで、多彩な内容で吹奏楽の花形楽器の魅力を堪能させる。全体に共通するのは、同楽器の大きな美点である“まろやかな音色による「歌」”。過剰なアピールを伴わない自然な歌いまわしが、一般に知られていない作品にも説得力をもたらしている。中でもスパークの「ソング・フォー・イナ」の優しさが印象的。最後に置かれた名歌2曲も、的確なピアノと相まって聴く者を酔わせる。   (柴田克彦)トランペットとギター。佐藤秀徳と佐藤紀雄によって2016年に結成された「Barchetta」は、デュオとしては異色な両楽器からどのような音世界が生まれるか興味津々だが、本デビューアルバムを聴くとお互いが親密に寄り添って静謐な空気が醸成されるその感覚が実に独特だ。佐藤秀徳のトランペットは模範的なレガートと稀有な音色を持ち、それが「美しき夕べ」や「カヴァティーナ」などで十全に発揮される。佐藤紀雄も単にそれを装飾するに留まらない深みあるサポートを聴かせて絶品。今「サポート」とは書いたが、お互いの音楽的な表現は対等で、主従はない。これもまた稀有。(藤原 聡)典雅なたたずまいのスタンフォード、苦味を効かせたモダンなセンスがクールなアーノルド、ストレートに語り掛けてくる小品に明るく素直な人柄が浮かぶフィンジ、豊かな抒情と色彩感が力強い行進にまで発展するアイアランド、愉快でコージーなジャズ・テイストで締めるホロヴィッツ…。イギリスにはまだ見ぬお宝がこんなに眠っていたのか。初めて聴く曲ばかりだけれど、どれもいいじゃないか! 色彩感の演出に優れたスイス・ロマンド管で首席奏者を務めるディミトリ・ラスル=カレイエヴが、ジュネーヴを拠点に活躍するピアニスト、サヤ・ハシノと息の合ったところをみせている。 (江藤光紀)ロンドンとイタリアで学び、現在国際的に注目を集めるピアニストであるフェドロヴァの、歌心あふれる色彩豊かなピアニズムが伝わってくる最新盤。コンセプト性の強いリサイタルを行い、ディスクを発表してきた彼女の今回のテーマは“幻想曲”。フェドロヴァはかなり感情豊かな演奏をする人だが、それをバランスよくまとめる構築力にも優れている。フレージングの自然さ、音色の多彩さも魅力であり、これらを駆使して楽曲の世界観を明確に提示していく。特にスクリャービンとシューマンで響く輝かしい音色は作品の輪郭を明確に浮き彫りにし、内包された物語を鮮烈に伝える。(長井進之介)CD

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