eぶらあぼ 2019.8月号2
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52千住真理子(ヴァイオリン) アマデウスに恋してモーツァルト ヴァイオリン協奏曲全曲演奏会 Vol.2(全2回)名器「デュランティ」と紡ぐモーツァルトの深き音色文:伊熊よし子9/24(火)13:30 東京オペラシティ コンサートホール問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 https://www.japanarts.co.jp/ ヴァイオリニストの千住真理子は、幼いころからモーツァルトに恋心を抱き、やがてさまざまな作品を演奏するようになってさらにこの作曲家の天才性に魅せられ、昨年から「アマデウスに恋して」と題するヴァイオリン協奏曲全曲演奏会を行っている。 今回は、フランス風の様式が全面にちりばめられたヴァイオリン協奏曲第2番、完璧なる形式美が確立された傑作と称されるヴァイオリン協奏曲第3番、そしてヴィオラを愛したモーツァルトが書いた、深い哀しみとかろやかな舞曲が混在するヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲が演奏される。共演はN響メンバーと仲間たち、さらにヴィオラのソロは千住が共演を熱望した川本嘉子が担当し、熱き演奏を生み出す。 千住の使用楽器は、世界的に有名なイタリア・クレモナの弦楽器製作家アントニオ・ストラディヴァリの全盛期に作られたという1716年製「デュランティ」。100年以上眠っていたといわれる「幻の名器」で、2002年に千住の所有するところとなった。ストラディヴァリ製作のヴァイオリンは1台ごとにドラマがあり、音色も形状も個性的。「デュランティ」を手に入れたときからモーツァルトを弾いてみたいと思ったと語る千住。いまようやく音が熟成し、自分の音楽を奏でることができるようになり、モーツァルトと真摯に対峙している。その深く熱くドラマを秘めた弦の響きを存分に堪能したい。©Kiyotaka Saito(SCOPE)東京フィルハーモニー交響楽団第2回 渋谷の午後のコンサート。〈歌うヴァイオリン〉名曲ありトークありのディライトフルなステージ文:オヤマダアツシ8/9(金)14:00 Bunkamuraオーチャードホール問 東京フィルチケットサービス03-5353-9522 https://www.tpo.or.jp/ 在京オーケストラの中でも早くから平日昼間のコンサートを行い、多くの音楽ファンを開拓してきた東京フィルハーモニー交響楽団。2019/20シーズンは、平日および週末・休日における午後のコンサート枠をさらに拡大し、定期演奏会に匹敵する選曲と演奏でファンの注目を集めている。 中でも新しくスタートした「渋谷の午後のコンサート。」は、東京フィルが響きを熟知しているであろうBunkamuraオーチャードホールを舞台に平日の午後を彩る、名曲オンパレードのシリーズ。第2回となる8月9日のコンサートには、2010年からの5年間、同オーケストラの常任指揮者を務め、現在は桂冠指揮者というポストにあるダン・エッティンガーが指揮台に登場。得意とするチャイコフスキーの「悲愴」交響曲ほかをドラマティックに聴かせてくれるはずだ。曲やオーケストラについてなど、マエストロがどんなトークを聞かせてくれるのかも楽しみである。 さらにはゲストとして登場するヴァイオリニストの大谷康子が、「ツィゴイネルワイゼン」「チャールダーシュ」「G線上のアリア」ほかの名曲を華麗に披露。まさに〈歌うヴァイオリン〉というコンサートのタイトルそのままに、祝祭的な雰囲気を演出してくれる。オペラを得意とする東京フィルとの共演により、旋律美がホールを満たすに違いない。 気軽にクラシックを楽しみたい方にも、心からお薦めできるプログラムだ。大谷康子 ©Masashige Ogataダン・エッティンガー ©Stuttgart Philharmonic Orchestra

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