eぶらあぼ 2019.8月号2
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44ベルリン古楽アカデミー・オーケストラ × ソフィー・カルトホイザー(ソプラノ)ベルギーの歌姫を迎えてヘンデルの秘曲カンタータなど内容満載文:寺西 肇9/29(日)15:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 http://www.toppanhall.com/ ドイツを代表するピリオド楽器アンサンブルとして、先鋭的な活動を展開するベルリン古楽アカデミー・オーケストラ(Akamus)の待望の来日が、約3年ぶりに実現。ヨーロッパで今、最も輝きを放つソプラノ、ソフィー・カルトホイザーの共演を得て、ヘンデルのカンタータ「愛の妄想-あの宿命の日から」をはじめ、興味深いラインナップを披露する。 1982年の創設以来、累計で100万枚以上のアルバムを売り上げるなど、常に古楽シーンを国際的にリードし続けてきたAkamus。かたや、ベルギー出身のカルトホイザーは、デビュー以来、透明感ある美声と彫りの深い表現力を武器に、オペラや宗教作品の檜舞台で、目覚ましい活躍を続けている。 「愛の妄想」は、ヘンデルがイタリア留学中だった22歳の時に作曲。劇的で魅力的な旋律に溢れ、オペラを思わせる傑作ながら、声楽・器楽ともに非常に高い技巧が要求されるため、我が国では上演の機会には恵まれてこなかった。それだけに、この“知られざる大作”は、いかにも両者の共演にふさわしい。 これに先立って披露されるのは、大バッハの“はとこ”にあたるヨハン・ベルンハルト・バッハの「管弦楽組曲第1番」。大バッハ本人も、自ら率いたアンサンブル「コレギウム・ムジクム」の演奏会で取り上げた佳品だ。さらに、Akamusが誇る首席オーボエ奏者、クセニア・レフラーをフィーチャー。バッハの次男カール・フィリップ・エマヌエル・バッハの「オーボエ協奏曲 変ロ長調」を、艶やかな音色で紡ぐ。ソフィー・カルトホイザー ©Molina Visualsアッサンブラージュ(ファゴット・クァルテット) 日本公演2019レアにして絶妙な音の調合を味わう文:柴田克彦8/12(月・休)14:00 JTアートホール アフィニス8/14(水)19:00 大阪/ザ・フェニックスホール8/15(木)19:00 愛知/電気文化会館 ザ・コンサートホール問 プロアルテムジケ03-3943-6677 https://www.proarte.jp/ 「春の祭典」や「悲愴」交響曲の出だしなどでおなじみの低音木管楽器ファゴット。奏者にとっては常道ながらも一般ファンには珍しい同楽器のクァルテットが日本公演を行う。その名は「アッサンブラージュ」。アクセル・ベノワ(ローザンヌ室内管首席)、助野由佳(ベルン響。今年9月よりパリ管に入団予定)、西ノ村徳仁(ベルン響副首席)、野村和代(愛知室内オーケストラ)の4名によるアンサンブルで、西ノ村が共にスイスで働く友人のベノワと企画し、ベルン響の同僚の助野、愛知県立芸術大学の先輩の野村を加えて結成したという。「アッサンブラージュ」は元々美術用語だが、彼らはワイン用語における「異なった土地や収穫日、異なったぶどう品種を調合する作業」の意味合いで命名。西ノ村は「『アッサンブラージュされたワインは複雑で調和がとれており、優れたものとなっている』と言われるように、音楽的な意味合いでもピッタリの名前」と述べている。 柔らかく艶やかながらも素朴な音色をもち、シリアスな表現もできれば、コミカルな表現では随一ともいえるファゴットが4本揃ったアンサンブルには興味津々。四重奏のオリジナル曲はもとより、「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」「ロザムンデ」など有名曲のアレンジもの、モーツァルトのファゴット協奏曲の四重奏版ほか演目も多彩で、コントラファゴットをフィーチャーしたフチークの「小言の多いおじいさん」あたりも実に面白そう。重層感や温かみや歯切れ良さを併せ持った個性的サウンドを、ぜひ生体験したい。西ノ村徳仁ベルリン古楽アカデミー・オーケストラ ©Uwe Arens助野由佳野村和代アクセル・ベノワ

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