eぶらあぼ 2019.8月号2
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1782017年4月、東洋人のカウンターテナーとして初めて、ウィーン国立歌劇場でデビューを果たし、国際的に話題をさらった藤木大地。幅広いレパートリーと、クラシックの枠にとらわれぬ自在な活動が光る。今回は、ピアノの松本和将と共に「日本のうたと、その時代」と題して。自身が委嘱した加藤昌則の連作歌曲「名もなき祈り」をはじめ、〈夏は来ぬ〉〈浜辺の歌〉など日本語の名曲に、ヘンデルほか欧米の名旋律も交える。「テアトロ・ムジーク・インプロヴィーゾ」は、子どもたちの夢やファンタジーを題材に、愉悦あふれる作品を創造するイタリア人美術作家ダリオ・モレッティ、枠にとらわれないユニークな創作活動を続ける音楽家の野村誠、やぶくみこによるユニット。彼らが1週間、埼玉に滞在し、ワークショップを通じて、地元の子どもたちと共に絵や音楽を創り、これらを「うつくしいまち」と題したライヴ・パフォーマンスへと昇華する。月の8鈴木雅明(オルガン)真夏のバッハ熊本マリ(ピアノ) × 石田純一(朗読)作曲家のラブレターペーター=ルーカス・グラーフ(フルート)荒井美礼(コレペティトゥア)五島記念文化賞 オペラ新人賞研修記念テアトロ・ムジーク・インプロヴィーゾ『うつくしいまち』藤木大地(カウンターテナー)8/1(木)19:00 石川県立音楽堂 コンサートホール8/3(土)14:00 行徳文化ホールI&I8/2(金)18:30 昭和音楽大学ユリホール8/2(金)18:30 紀尾井ホール8/4(日)14:00 彩の国さいたま芸術劇場(小)8/3(土)15:00 川口リリア 音楽ホール文:笹田和人©hiromasaバッハ・コレギウム・ジャパン音楽監督として知られ、世界各地の楽団にも指揮者として客演する一方、卓越した鍵盤楽器奏者としても活躍する鈴木雅明。オルガニストとして石川県立音楽堂に初登場し、独カール・シュッケ社製の銘器で、「パッサカリアとフーガ ハ短調」(BWV582)や「プレリュード、トリオとフーガ ハ長調」(BWV545+529/2)、「パストラーレ ヘ長調」(BWV590)ほか、大バッハの佳品を自在に紡ぐ。©Marco Borggreve「コレペティトゥア」とは、オペラ歌手へ稽古や助言も行う練習ピアニスト。チューリヒ芸大などに学び、独ノルトハウゼン歌劇場で活躍する荒井美礼は、リート伴奏者としても評価が高い。第26回五島記念文化賞オペラ新人賞研修記念の舞台は、シューマンの傑作を特集。ソプラノの三宅理恵らの共演で、オペラ《ゲノフェーファ》の抜粋やリート、水戸博之指揮の二期会合唱団との「ミニヨンのためのレクイエム」と多彩に。90歳でなお現役、しかも常に「生きた音楽」を紡ぎ続けるフルート界のレジェンド、ペーター=ルーカス・グラーフ。昨年8月の来日公演では、時代を超越した多彩な作品を吹きこなし、聴衆の感動と驚きを呼んだ。その余韻も冷めやらぬうちの再来日。田原さえのピアノを伴い、バッハやヘンデル、ヒンデミット、マルティヌーのソナタに、イベールやジョリヴェの小品を交えて。魂を掴まれる“凄演”を、再び体感できる。名曲が生まれるところ、愛する人の存在がある。ジョルジュ・サンドとの愛の生活から佳品を生み出したショパンによる「ノクターン第2番」「前奏曲第15番“雨だれ”」「エチュード第12番“革命”」「ノクターン第20番“遺作”」、そしてリスト「愛の夢第3番」、シューマン「トロイメライ」、ブラームス「ワルツ第15番」…。熊本マリのピアノを、俳優・石田純一が作曲家のラブレターの朗読で彩ってゆく。左より:熊本マリ ©Shimokoshi Haruki/衣装提供:ヒロココシノ/石田純一 Photo:泉山朗土

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