eぶらあぼ 2019.7月号
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62マチュー・デュフォー フルート・リサイタル最高峰を極めた稀有の名手の至芸を堪能文:柴田克彦8/1(木)19:00 トッパンホール問 パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831http://www.pacific-concert.co.jp/他公演 7/27(土) りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館(025-224-5521)    7/30(火) 武蔵野市民文化会館(小)(完売)    8/2(金) 大阪/ザ・フェニックスホール(06-6363-7999) ベルリン・フィル、シカゴ響の世界2大ヴィルトゥオーゾ楽団のトップを制覇した驚異のフルーティスト、マチュー・デュフォーが、この夏再びリサイタルを行う。 1972年パリ生まれの彼は、93年、弱冠20歳でトゥールーズ・キャピトル国立管の首席奏者に就任。96~99年パリ国立歌劇場管のスーパー・ソロイストを務めた後、音楽監督バレンボイムに招かれ、99~2014年シカゴ響の首席奏者を務めた。そして15年9月、ベルリン・フィルの首席ソロ奏者に就任。さらなる注目を集めることとなった。ブーレーズ、エッシェンバッハ、ルイージ等の指揮者や内田光子、ズーカーマン、ル・サージュ等と共演するなど、ソリストとしてのキャリアも豊富。欧米や日本におけるリサイタルでも絶賛を博している。 彼は、木管楽器の本場フランスの教育を受け、オペラのピットやアメリカでの経験を経たことで、幅広い音楽性を獲得。艶やかな音色、豊かな表現力を生かしながら、優美極まりない演奏を聴かせ、特に気品を湛えた清々しさが独自の魅力を放っている。前半にプーランクのソナタ、ミヨーのソナチネといったフランスの名品、後半にシューベルトの「しぼめる花変奏曲」、ライネッケのソナタ「ウンディーネ」という独墺のプログラムは、ロマン派から近代のフルート&ピアノ(浦壁信二)の代表作揃い。フルート愛好家はむろん必聴だし、これまで彼の演奏を聴いていない人がその魅力を知るにも最適だ。ここはぜひ、世界トップ級の超絶的な妙技と唯一無二の優雅な趣を堪能したい。 ©ヤマハ株式会社響きあうアジア 2019 ガラコンサートアジア5ヵ国の多彩なサウンドが共鳴しあう文:笹田和人7/1(月)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 日本オーケストラ連盟03-5610-7275 https://asia2019.jfac.jp/ 瑞々しいアジアの響きを、体感できる好機となりそうだ。日本の国際交流基金アジアセンターが支援を行ってきた、ベトナム・タイ・フィリピン・インドネシア・ミャンマーという5ヵ国の8オーケストラから選抜された、約80名の精鋭メンバーが来日。日本の奏者を交えて、「響きあうアジア2019交響楽団」を結成し、“炎のマエストロ”こと小林研一郎のタクトのもと、一夜限りのガラコンサートで渾身の調べを紡ぐ。 国際交流基金では、2014年から「ASEAN オーケストラ支援事業」を実施。日本から演奏家を派遣したり、楽団運営スタッフの研修を日本で行ったりするなど、東南アジアの音楽団体を支援してきた。今回の公演は、その集大成。ホーチミン市交響楽団、ベトナム国立交響楽団、王立バンコク交響楽団、フィリピン・フィルハーモニック管弦楽団、マニラ交響楽団、ジャカルタ・シティ・フィルハーモニック、ジャカルタ・シンフォニエッタ、ミャンマー国立交響楽団のメンバーが参加する。 ステージは、ヴェルディ《アイーダ》から「凱旋の行進曲」で幕開け。フリーアナウンサーの朝岡聡が案内役を務める。そして、国際的に活躍するヴァイオリニストの瀬﨑明日香をソリストに迎えて、サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」を披露。シベリウスの交響詩「フィンランディア」、小林の自作「パッサカリア」から〈夏祭り〉も。さらに、ベートーヴェン「エグモント」序曲、チャイコフスキーの大序曲「1812年」を演奏。煌めく名曲と熱演は、きっと、あなたの魂を揺らす。朝岡 聡瀬﨑明日香 ©studio MaaR小林研一郎 ©山本倫子

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