eぶらあぼ 2019.7月号
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44上岡敏之(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団マエストロからのプレゼントはフランス音楽の花束文:飯尾洋一第608回 定期演奏会 トパーズ〈トリフォニー・シリーズ〉7/19(金)19:00、7/20(土)14:00 すみだトリフォニーホール問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 https://www.njp.or.jp/ お客様にもっとコンサートに参加してもらいたい。そんなオーケストラの姿勢が打ち出されているのが、新日本フィルのシーズン最後を飾る「リクエスト・コンサート」。上岡敏之音楽監督肝入りのこの企画は、今回で3回目。これまでに「パガニーニとベルリオーズ」(2017年)、「ラフマニノフとチャイコフスキー」(18年)といったテーマで開催されてきたが、今回はフランス音楽の名曲が集められた。 プログラムは全4曲からなる。若き日のビゼーのみずみずしい感性が息づく交響曲ハ長調、神童ピアニストとして名を馳せたサン=サーンスのピアノ協奏曲第2番、ラヴェルがメルヘンの世界を描く「マ・メール・ロワ」組曲、そして古代ギリシャの少年少女の恋物語を題材にした「ダフニスとクロエ」第2組曲。リクエストに応えた選曲であると同時に、19世紀後半から20世紀前半にかけてのフランス音楽の潮流をたどった統一感のあるプログラムになっている。ドイツ音楽を得意とするイメージの強い上岡だが、どんなフランス音楽を披露してくれるのだろうか。 サン=サーンスのピアノ協奏曲第2番でソロを務めるのは、ジョージア生まれの俊英、マリアム・バタシヴィリ。フランツ・リスト国際コンクールで優勝し、BBC New Generation Artistsに選ばれるなど、勢いのあるピアニストだ。フレッシュなサン=サーンスを期待。マリアム・バタシヴィリ ©Attila Kleb仲道郁代 ピアノ・フェスティヴァル名手6人が集結する驚異のピアノ・アンサンブル文:飯田有抄7/14(日)16:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 https://www.japanarts.co.jp/ 5台のピアノがステージに並ぶ壮観ぶり、そして圧巻のパフォーマンスで会場を沸かせた「仲道郁代 ピアノ・フェスティヴァル」が今年も開催される。ソロのみならず、ピアノ同士の技巧的なアンサンブルもたっぷり聴けるこのコンサートは、昨年、ピアノの持つ多彩な魅力を知ってもらいたいと願う仲道郁代が企画したもの。仲道を含め、今をときめく豪華なピアニストたちが、今年も華やかなステージを披露する。今回登場するのは、横山幸雄、菊池洋子、實川風、松田華音、藤田真央という、名実ともに現代のピアニスト界の「顔」とも言えるピアニストたちで、ジェネレーションのバランスもよく、眩しいほどのメンバーが揃う。 2部構成のコンサートは、前半は2台ピアノ。モーツァルトの「2台のピアノのためのソナタ」は、3つの楽章を2名ずつの組み合わせで披露し、6名で演奏する。ドビュッシーの「月の光」やサン=サーンスの「白鳥」などの名曲が、2台バージョンでどんな響きになるのかも楽しみだ。後半は5台ピアノ。モーツァルトの「トルコ行進曲」やホルストの「ジュピター」など、こちらもおなじみの作品が5台のピアノ・アンサンブルで、新鮮な響きとなって届けられることだろう。横山が5台ピアノのために書いた「カルメンの誘惑と幻想」にも注目したい。ピアニストたちの個性が炸裂し、ともに作り上げる響きの境地をぜひ体感してほしい。 また、開演前(15:15)から6人の出演ピアニストによるクロストークも開催されるので、早めに会場に行ってみてはいかがだろうか。左より:仲道郁代 ©Kiyotaka Saito/藤田真央 ©Shigeto Imura/横山幸雄 ©アールアンフィニ/菊池洋子 ©Yuji Hori/松田華音 ©Ayako Yamamoto/實川 風 ©Yuki Ohara上岡敏之 ©武藤 章

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