eぶらあぼ 2019.7月号
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190ヴァチカン国際音楽祭から招請を受け、サン・ピエトロ大聖堂で指揮するなど、国際的に活躍する西本智実。ミュージック・パートナーを務める日本フィルのさいたま定期の指揮台に立ち、思い入れ深いプロコフィエフの傑作を軸に魅せる。まずは交響曲第1番「古典」を。そして、西本自身の選曲によるバレエ音楽「ロミオとジュリエット」を披露。さらに、ヴァイオリンの小林美樹を迎えて、メンデルスゾーンの名協奏曲も。フランティシェク・ホストは1975年に名門チェコ・フィルに入団、首席奏者などを歴任した重鎮チェリスト。今回は、プラハ音楽院に学んだ実力派ピアニスト、出井愛とのデュオで。ベートーヴェン「ソナタ第3番」やシューマン「幻想小曲集」のほか、「6つの小品」など母国が誇るスークの作品、サン=サーンス「白鳥」やブラームス「子守唄」と小品まで、多彩に披露。出井はソロで、シューマン「子供の情景」も弾く。気鋭の名手が紡ぐ、艶やかな音色を堪能したい。白戸美帆は宮城県石巻市出身、パリ国立地方音楽院などに学び、国内外のコンクールで実績を重ねる実力派フルーティスト。今回は「フランス」をテーマに、「フルートの魅力を伝えたい」という。ピアノの鈴木奈津子が共演。ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」、プーランクのソナタ、ヴィドールの組曲、仏語を発しつつ奏する武満徹「声(Voice)」に、フランクの名ソナタで締め括る。中桐望は東京藝大で学び、ポーランドなど海外でさらなる研鑽を積み、マリア・カナルスコンクール、浜松国際ピアノコンクールで2位に入賞するなど、国内外の登竜門で実績を重ねた実力派ピアニスト。セカンド・アルバム発売記念のリサイタルでは、ショパン「バラード」全4曲と「ロンド ハ短調」、ラフマニノフ「10の前奏曲」「前奏曲嬰ハ短調“鐘”」と、2人の思い入れ深い作曲家にスポットを当てて。渾身の調べが、聴衆の心を溶かす。月の7フランティシェク・ホスト(チェロ) & 出井 愛(ピアノ) 新倉 瞳(チェロ)大塚直哉(オルガン/チェンバロ)レクチャー・コンサート 西本智実(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団 第114回さいたま定期セカンド・アルバム発売記念中桐 望(ピアノ)白戸美帆(フルート)7/2(火)19:00 すみだトリフォニーホール(小)7/13(土)14:00 越谷サンシティホール(小)7/7(日)14:00 彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール7/5(金)19:00 ソニックシティホール7/14(日)14:00 東京オペラシティ リサイタルホール7/8(月)19:00 東京文化会館(小)文:笹田和人フランティシェク・ホスト出井 愛西本智実小林美樹 ©Shigeto Imura©A.Mutoスイスを拠点に、カメラータ・チューリッヒで首席チェロ奏者を務める新倉瞳。桐朋学園大からバーゼル音楽院に学び、瑞々しい音色と音楽性はもちろん、CMにも登場したほどの端正な容姿も人気だ。ピアノの佐藤卓史と共演のステージ。シューベルト「アルペジオーネ・ソナタ」やポッパー「ハンガリー狂詩曲」に、サン=サーンス「白鳥」や黛敏郎「BUNRAKU」ほか多彩な小品を交えて。佐藤は、シャミナードのソロ曲を添える。新倉 瞳 ©Hollywoodbeauty佐藤卓史 ©Takaaki Hirata1722年頃と、約20年後にまとめられた「平均律クラヴィーア曲集」全2巻の各24曲。各々は音楽理論上で想定し得る全ての調性を網羅、前奏曲とフーガで1セットを成し、「音楽の旧約聖書」とも称される。名手・大塚直哉がオルガンとチェンバロで弾き分けつつ、この傑作を読み解くステージの第2弾。バロック・ヴァイオリンの若松夏美を迎えて、弦楽器による作品にも目配りしつつ、奥深き「フーガ」の秘密に迫る。©E.Shinohara

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