eぶらあぼ 2019.6月号
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677/12(金)18:30 日経ホール問 日経公演事務局03-5227-4227 http://www.nikkei-hall.com/第486回 日経ミューズサロン チホ・ハン ピアノ・リサイタル気鋭の俊英ピアニストが紡ぐ渾身の演奏に、音楽の未来を聴く文:笹田和人 “世界最難関”と目されるミュンヘン国際音楽コンクールで、5年前に最高位入賞を果たし、バイエルン放送響やサンクトペテルブルク響など、世界の一流オーケストラと共演、その類い稀な才能を迸らせる名演を重ねているチホ・ハン。 韓国・ソウル出身でドイツ・ハノーファー音楽・演劇大学などに学び、エリーザベト王妃やシューベルト国際など、主要コンクールでも上位入賞。ウィーン楽友協会ホール、ラインガウ音楽祭ほか、世界各地の檜舞台に出演するなど、いま最も注目されている若手奏者の1人だ。 日経ミューズサロンでのリサイタルは、ベートーヴェンの第31番とラフマニノフの第2番、2つの名ソナタとラヴェル「ラ・ヴァルス」を柱に。さらに、「24の前奏曲」から第20番と第23番をもう一方の枠組みとして、「前奏曲嬰ハ短調」「夜想曲第7、8番」「ポロネーズ第5番」と得意のショパンの傑作を配した、贅沢なプログラムを披露する。6/14(金)19:00 東京文化会館(小)問 プロアルテムジケ03-3943-6677 https://www.proarte.jp/渡辺健二 ピアノリサイタル深淵で内省的な世界へと誘うピアニズム文:飯田有抄 リスト作品に造詣が深く、東京藝術大学で後進の指導にも当たるピアニスト渡辺健二。昨年のリサイタルに引き続き今年もバルトークとリストの組み合わせ、そしてシューベルトという3人の作曲家を並べたユニークなプログラミングで聴かせる。前半はハンガリー出身という共通点のあるバルトークとリスト。バルトークの「ブルガリアのリズムによる6つの舞曲」は、4拍子や3拍子の組み合わせによる独特なリズムを持った作品。リストの「B-A-C-Hの名による幻想曲とフーガ」は、文字通りリストが尊敬していたバッハの名を“シ♭―ラ―ド―シ♮”のモティーフに置き換えたピアニスティックな作品で、渡辺は曲集「詩的で宗教的な調べ」の中で最も長大で瞑想的な美を放つ第3曲「孤独の中の神の祝福」へと続ける。後半はシューベルトが最期に残したピアノ・ソナタ第21番。渡辺のピアニズムが響かせる、ピアノ音楽のもっとも深淵で内省的な世界に浸りたい。6/18(火)19:00 京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ(小)問 京都コンサートホール075-711-3231/プロアルテムジケ03-3943-6677https://www.proarte.jp/北山クラシック倶楽部2019 セプトゥーラ(金管アンサンブル)光輝で高貴な新型ブラス、初見参!文:柴田克彦 これは金管アンサンブルのイメージを超えた“金管楽器による室内楽”である。6月に初登場する「セプトゥーラ」は、それほど音楽的なクオリティが高い。彼らは2012年に創設された英国の金管七重奏団。トランペット3、トロンボーン3、テューバ1の編成で活動し、メンバーにはロンドン響、BBC響、ロイヤル・フィルの主力奏者等の腕利きが揃っている。従って最高度の技量と華やかな音色をもち、英国ブラスならではの“光輝な気品”に充ちた演奏を聴かせる。そして最大の特徴がクラシカルなテイスト。今回の演目でCDにも録音しているショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第8番やエルガーのセレナードなど、これまでにないレパートリーで精緻かつ濃密な快演を展開し、金管楽器の壮麗さも堪能させつつ、曲の魅力を再発見させる。典雅なヘンデル、ノーブルなエルガー、シリアスなショスタコーヴィチに愉しいガーシュウィン等を加えたプログラムは唯一無二。ブラス界や室内楽界に新たな形をもたらす当アンサンブル、ブラスファン以外にも、ぜひお勧めしたい。

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