eぶらあぼ 2019.6月号
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166CDCDCDLes Monologues(レ・モノローグ) 無伴奏チェロと無伴奏ヴィオラ・ダ・ガンバのための作品集/島根朋史羽田健太郎:交響曲 宇宙戦艦ヤマト/大友直人&東響ライヴ・セレクション/TOKI弦楽四重奏団アズーラ ―イタリアン・リサイタル―/オッタヴィアーノ・クリストーフォリサント=コロンブ:前奏曲、シャコンヌ/テレマン:無伴奏ヴィオラ・ダ・ガンバのためのファンタジー第11番・第7番/フランショーム:チェロのための練習曲op.35-11、チェロのための奇想曲op.7-9(以上無伴奏版)/J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番 他島根朋史(チェロ/ヴィオラ・ダ・ガンバ)羽田健太郎:交響曲「宇宙戦艦ヤマト」大友直人(指揮) 東京交響楽団大谷康子(ヴァイオリン) 横山幸雄(ピアノ) 小林沙羅(ヴォカリーズ)バツェヴィチ:弦楽四重奏曲第4番/マルティヌー:同第7番「室内協奏曲」/ドホナーニ:弦楽六重奏曲TOKI弦楽四重奏団【岩谷祐之 平山真紀子(以上ヴァイオリン) 鈴木康浩(ヴィオラ) 上森祥平(チェロ)】小熊佐絵子(ヴィオラ) 福富祥子(チェロ)アルバン:ベッリーニ《ノルマ》の主題による変奏曲、ヴェルディ《椿姫》の主題による幻想曲/伊藤康英:青のアリア/ロッソ(副田真之介編):夜空のトランペット/日本古謡(ドクシツェル編):さくら/弘田龍太郎(同):浜千鳥 他オッタヴィアーノ・クリストーフォリ(トランペット/コルネット/フリューゲルホルン) 高橋ドレミ(ピアノ) 中川英二郎(トロンボーン)コジマ録音ALCD-9196 ¥2800+税日本コロムビアCOCQ-85460 ¥3000+税収録:2014年7月、東京オペラシティ リサイタルホール(ライヴ) 他ナミ・レコードWWCC-7894 ¥2500+税日本アコースティックレコーズNARD-5064 ¥2500+税バロック・チェロとヴィオラ・ダ・ガンバ。同様に座って両足で楽器を挟むため、その弾き分けは容易に思えて、調弦や弓の運び、何よりも音楽創りの思想が全く異なり、実は非常に難しい。しかし、東京藝大・同大学院やフランスに学び、2つの楽器とモダンを操る“三刀流”の俊英・島根朋史は、あえてこの課題に挑む。17世紀フランスの謎多き鬼才サント=コロンブの作品を大枠に、バッハの無伴奏チェロ組曲第1番を軸として、個性的な作品を配し、時代や地域の語法をきっちり踏まえて、多層的かつ魅力的な表現を具現化。1人の奏者が内包する、響きの宇宙の広大さに驚かされる。(笹田和人)ハネケンの愛称で親しまれた羽田健太郎が心血を注ぎ、35歳で書き上げた交響曲「宇宙戦艦ヤマト」の新録音が、作曲から35年を経てリリースされた。ヤマトの名場面を彩ったテーマを雄大な管弦楽・伝統的な形式に移しかえた力作を、初演を担当した大友直人がすっきりと再現。イスカンダルのテーマのヴォカリーズは、新時代の歌姫・小林沙羅。新たに羽田の書斎から発見された直筆譜をもとに編まれた終楽章では、大谷康子と横山幸雄が二重協奏曲を繰り広げる。同じ時代を生きてきたからこその共感、時代を経たからこそ可能になる成熟した表現が、作品の普遍的な価値を浮かび上がらせる。(江藤光紀)新潟にゆかりのある名手たちが、2003年から活動を継続している「TOKI」。新アルバムは東欧の作曲家たちの「知られざる名曲集」が並ぶ、意義深い1枚。演奏者の作品への共感は深く、個人技もアンサンブルもライヴとは思えない水準で、隠れた佳品の魅力を明らかにする。ドホナーニ16歳でのロマンティックな六重奏曲がこれほどの好演で聴けることは嬉しいし、心に訴えるバツェヴィチとマルティヌーも新たな発見となろう。全員の仲の良さが伝わるような明るく温かい響きは大きな特色(中でも鈴木康浩のヴィオラは筆者個人的に理想の存在感)で、更なる活躍が望まれる4人だ。(林 昌英)日本フィルのソロトランペット奏者、クリストーフォリのソロCD第2弾。イタリアンなメロディ満載の幻想曲&変奏曲に、おなじみ「夜空のトランペット」、日本人作曲家のオリジナル、ドクシツェル編の日本の歌を交え、コルネットやフリューゲルホルンも用いた、多彩かつ個性的な内容が光っている。明るく艶やかな音色とナチュラルな歌い回しは、息の長いメロディでとりわけ効果を発揮。中でも《椿姫》等のオペラアリアには惚れ惚れさせられる。伊藤康英の作品におけるフリューゲルホルンの美しさも特筆もの。一夜のステージのように楽しめる素敵なアルバムだ。   (柴田克彦)CD

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