eぶらあぼ 2019.6月号
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162CDCDCDCDプロミス―PROMISE―/小田桐寛之ハイドン:ピアノ三重奏曲第27番、シューベルト:ピアノ三重奏曲第2番/葵トリオ第10回 浜松国際ピアノコンクール2018流れよ 私の涙~ジョン・ダウランド リュートソング集~/小倉麻矢&つのだたかしスターク:プロミス、2本のトロンボーンとピアノのための「組曲」/中村八大:上を向いて歩こう/ブロッホ:トロンボーンと管弦楽のための交響曲/ピアソラ:ナイトクラブ1960/ブラームス:インテルメッツォ/宮沢賢治:星めぐりの歌小田桐寛之(トロンボーン)小田桐恵子(ピアノ)小田桐和寛(パーカッション)青木昂(トロンボーン)ハイドン:ピアノ三重奏曲第27番シューベルト:同第2番葵トリオ【小川響子(ヴァイオリン) 伊東裕(チェロ) 秋元孝介(ピアノ)】ショパン:幻想ポロネーズ/モーツァルト:ピアノ四重奏曲第1番/リスト:ピアノ協奏曲第1番/シューベルト:即興曲op.90-3/ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第2番 他ジャン・チャクムル 牛田智大 イ・ヒョク 今田篤 務川慧悟 安並貴史 アンドレイ・イリューシキン 梅田智也(以上ピアノ)高関健(指揮) 東京交響楽団 他ダウランド:流れよ 私の涙、さようなら あまりにも美しい人、教えておくれ 真実の愛を、眠ったふりをしている君は?、この揺れ動く影の下、あの人が泣いているのを見た、とどまれ 時よ、暗闇に私を住まわせて 他小倉麻矢(歌)つのだたかし(リュート)オクタヴィア・レコードOVCC-00152 ¥3000+税収録:2018年12月、サントリーホール ブルーローズ(ライヴ) 他マイスター・ミュージックMM-4055 ¥3000+税収録:2018年11月、アクトシティ浜松(ライヴ)コジマ録音ALCD-7233, 7234(2枚組) ¥3600+税BLUEBELLMOB-001 ¥2600+税都響の首席トロンボーン奏者、小田桐寛之の7枚目のソロCD。日本屈指の個人技もむろん満喫できるが、一部編曲も担当する妻のピアノ、米国でジャズを中心に活躍する息子のパーカッション、元・同僚のトロンボーンがコラボした、ファミリー・セッションの妙に魅せられる。クラシックからピアソラ、宮沢賢治の曲まで、構成は全くのボーダーレス。パーカッションの感触も新鮮だし、ブルース・スタークの「組曲」のジャズ・テイストと2本のトロンボーンの心地よい融合をはじめ、全体に聴き応え十分だ。通常の金管アルバムとはひと味異なる、ハイセンスで愉しい1枚。 (柴田克彦)昨年秋、最難関で知られるミュンヘン国際音楽コンクールで優勝を果たした葵トリオの、凱旋レコーディングが早くもリリースされた(曲もコンクールで演奏されたもの)。玉のような粒立ちをもったピアノの上で、ヴァイオリンとチェロが親密に交歓し、また華麗な協奏を繰り広げる。音楽の方向感が明瞭、構成もしっかりしており、各人が切れのよいテクニック、フレッシュな語り口を持ちながら、全体として落ち着いた格調高い音楽に仕上がっている。ハイドンでは快活さ、シューベルトでは豊かな歌心や色彩感の変化も楽しめる。若さに似合わぬ成熟ぶりにも驚かされた。頼もしいアンサンブルの出現だ。 (江藤光紀)2018年11月に行われた第10回浜松国際ピアノコンクール。第1位から6位の入賞者、奨励賞そして日本人作品最優秀演奏賞、計8名の演奏のハイライトが2枚組のCDでリリースされた。優勝したトルコ出身のジャン・チャクムルの演奏からはショパンの幻想ポロネーズ、モーツァルトのピアノ四重奏曲第1番、そして鬼気迫るリストの協奏曲第1番(高関健指揮東響)を収録。第2位に輝いた牛田智大の演奏からはシューベルトの「即興曲op.90-3」と、極めて完成度の高いラフマニノフのソナタ第2番。コンクールの熱気とレベルの高さを鮮やかに伝える。 (飯田有抄)言葉を語り、“うたうたい”を自称する小倉麻矢。イギリス古謡に惹かれて、ロンドン王立音楽大学に学んだ。そのファーストアルバムは、つのだたかしのリュートを伴ってのダウランドのリュートソング集。温かく、しっとりとした湿り気を包含した小倉の声と、一つひとつの言葉に魂を込めた歌いまわしは、これらの楽曲が湛える独特のメランコリーと化学反応を起こす。そして、「死」も「別れ」も、僅かな「希望」も、いま、我々の眼前にある存在として現出させてしまう。小倉と同様、音楽だけでなく、言葉のニュアンスも繊細に掬い取ってゆく、名手・つのだの好演も光っている。  (寺西 肇)

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