eぶらあぼ 2019.5月号
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66第7回仙台国際音楽コンクール世界的名手も輩出した、協奏曲をメインとしたコンクール文:長井進之介ピアノ部門 5/25(土)~6/9(日) ヴァイオリン部門 6/15(土)~6/30(日)日立システムズホール仙台コンサートホール(仙台市青年文化センター)問 仙台国際音楽コンクール事務局022-727-1872※コンクールの詳細は右記ウェブサイトでご確認ください。 https://simc.jp/ 3年毎に開催される仙台国際音楽コンクールが今年で第7回を迎える。部門はピアノとヴァイオリンの2つ。両部門ともソリストとしての実力が最も試される「協奏曲」が課題曲の中心に据えられた、世界にも類を見ないコンクールであり、セミファイナル以降はコンクールのホストオーケストラである仙台フィルハーモニー管弦楽団との共演が課される。さらにヴァイオリン部門のセミファイナルではオーケストラとの共演による3曲の演奏のうち、2曲はソリストとしてではなく、オーケストラのコンサートマスターとして交響曲を演奏するという課題が今回から設けられており、この試みも大きな話題を呼びそうだ。 このコンクールはピアニストのユジャ・ワンやヴァディム・ホロデンコ、ヴァイオリニストのアリョーナ・バーエワや成田達輝ら、世界的アーティストを輩出した登竜門。そして、今回の審査員にはギドン・クレーメルやジャック・ルヴィエなど海外の一流演奏家が名を連ねており、第4回優勝者のホロデンコも審査員に加わる。ソリストとしてはもちろん、アンサンブル奏者としての実力も試されるコンクールであり、入賞者にはこれまでにないタイプのアーティストとしての活躍が期待される。 各部門の最終日には「入賞者記念ガラコンサート」が開催される他、全ラウンドが一般公開される。また、コンクール開催期間中には「学校訪問ミニ・コンサート」、市民ボランティアによる企画コンサートなど、関連の企画も多数展開され、様々な才能、音楽に浸ることができる一大イベントである点にも注目だ。第6回の入賞者記念ガラコンサートサラマンカホール開館25周年記念 第九特別公演ホールに縁の深い山田和樹&東混とソリストたちが節目の年を祝う文:宮本 明6/15(土)15:00 サラマンカホール問 サラマンカホール チケットセンター058-277-1110 https://salamanca.gifu-fureai.jp/ 岐阜のサラマンカホールが開館25周年を山田和樹指揮の「第九」で祝う。山田の第九は案外珍しい。最近では2017年に2つのチャリティ・コンサートで指揮した程度。山田自身、ホール広報誌のインタビューに、第九を振るのは特別な場合だけと答えている。合唱は山田が音楽監督を務める東京混声合唱団と、公募合唱団、サラマンカ少年少女合唱団の総勢120人。子どもたちが一緒に歌うのは山田のたっての希望であり、一昨年の彼の2つの第九と同様に、合唱団はパートごとにでなく、ランダムな並び順で歌う。個々の力が要求されるのでアマチュア合唱団には低くないハードルだが、山田にはそんな些細な事情よりも大きな理想が見えているにちがいない。いわゆる「市民第九」の枠を超えた、芯のあるベートーヴェンが紡ぎ出される予感。管弦楽は愛知室内オーケストラ(12型)。岐阜出身の國光ともこ(ソプラノ)、城宏憲(テノール)と、岐阜大学で指導する近野賢一(バリトン)に、小林由佳(メゾソプラノ)が加わる。 前半には、現代合唱界随一の人気作曲家・信長貴富の「不滅のアンセム~第二の国歌と呼ばれる歌たち~」を東混が歌う。山田と東混が精力的に取り組む、約200ヵ国の国歌や愛唱歌を(各国の原語で!)録音、出版、演奏するという壮大な「アンセム・プロジェクト」から生まれた作品。〈美しく青きドナウ〉〈フィンランディア〉など有名曲が詰まったメドレーは、これがステージ初演となる。國光ともこ小林由佳城 宏憲近野賢一山田和樹 ©Yoshinori Tsuru

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