eぶらあぼ 2019.5月号
48/199

45高関 健(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団詩情あふれるフランスの宗教曲と劇的音楽を一堂に集めて文:山田治生第57回 ティアラこうとう定期演奏会5/11(土)15:00 ティアラこうとう問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 http://www.cityphil.jp/ 東京シティ・フィルは、首席客演指揮者であった矢崎彦太郎とともにフランス音楽のシリーズ(その中にはプーランクの歌劇《カルメル派修道女の対話》もあった)を手掛けていたように、フランス音楽との相性が良いように思われる。現在の常任指揮者・高関健とも、ラヴェルの歌劇《スペインの時》、「ラ・ヴァルス」などで優れた演奏を残してきた。 そしてこの5月、高関の指揮でオール・フランス・プログラムに取り組む。プーランクは洒脱な作風で知られるが、晩年はカトリシズムに傾倒し、「スターバト・マーテル」のような宗教音楽を書いた。今回は進境著しい東京シティ・フィル・コーアの合唱に注目。気鋭のソプラノ、中江早希が独唱を務める。サン=サーンスの描写的な交響詩「死の舞踏」も楽しみ。そして、フォーレの組曲「ペレアスとメリザンド」とビゼーの「アルルの女」組曲第2番という、劇付随音楽からの曲が続く。「ペレアスとメリザンド」の〈シシリエンヌ〉の優美な旋律は誰もが聴いたことがあるだろう。「アルルの女」は、“名曲”として扱われることが多いが、アルルの雄大な風景を思わせる〈パストラール〉、アルト・サクソフォンが悲哀を帯びた旋律を吹く〈インテルメッツォ〉、フルートの美しい旋律で愛されている〈メヌエット〉、プロヴァンス太鼓も登場し熱狂的に締め括られる〈ファランドール〉と、どれもがビゼーの天才の表れた傑作である。高関&東京シティ・フィルの真摯な演奏で堪能したい。中江早希 ©井村重人ピアノ・エトワール・シリーズ ~2019年度ラインナップ~意欲的なプログラムで魅せる世界の若き名手たちの饗宴文:長井進之介 6/16(日) アンコール! Vol.8 萩原麻未 11/17(日) Vol.37 ルーカス&アルトゥール・ユッセン2020.3/8(日) Vol.38 ベアトリーチェ・ラナ各日15:00 彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール問 彩の国さいたま芸術劇場0570-064-939 https://www.saf.or.jp/ 注目すべき若手が乱立するクラシック音楽界の中でも、とりわけまぶしい輝きを放つ新鋭ピアニストたちが、注目のプログラムで競演を繰り広げる「ピアノ・エトワール・シリーズ」。13年目を迎える今年は、シリーズ初のデュオ公演が開催されるなど、目が離せない内容となっている。 「また聴きたい!」という声の集まった過去の出演者が登場する「アンコール!」公演に登場するのは、第65回ジュネーヴ国際コンクールピアノ部門で日本人初の優勝という快挙を成し遂げた萩原麻未。ピアソラ「アディオス・ノニーノ」やショパンのワルツなど、磨き抜かれた美音、美しい歌心を最大限に発揮するプログラムで魅せる(6/16)。 デュオとして初めてシリーズに登場するのはルーカス&アルトゥール・ユッセン。兄弟デュオである彼らはポルトガルとブラジルで、マリア・ジョアン・ピリスに約1年間学んだあと、史上初のコンセルトヘボウ・ヤング・タレント賞を受賞。モーツァルトにラヴェル、ファジル・サイなど多彩なプログラムで多彩な実力を発揮してくれるはず(11/17)。 シリーズ最後に登場するのは2011年モントリオール国際音楽コンクール優勝、13年ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール銀賞(第2位)および聴衆賞受賞で世界的に注目を集めたベアトリーチェ・ラナ。プログラムにはストラヴィンスキーの「『ペトルーシュカ』からの3楽章」をはじめとする難曲が並ぶ(2020.3/8)。 ぜひお得な「3公演セット券」を活用して全公演、輝く若き才能に浸ってほしい。ルーカス&アルトゥール・ユッセン ©Marco Borggreveベアトリーチェ・ラナ ©Nicolas Bets萩原麻未 ©Marco Borggreve高関 健 ©Stas Levshin

元のページ  ../index.html#48

このブックを見る