eぶらあぼ 2019.4月号
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80東京・春・音楽祭 2019 第12回 国際オーボエコンクール・東京 最高位受賞記念浅原由香 オーボエ・リサイタルオーボエ界から麗しき名手が新たに登場文:山田治生4/10(水)19:00 上野学園 石橋メモリアルホール問 東京・春・音楽祭チケットサービス03-6743-1398 http://www.tokyo-harusai.com/ 昨年開催された「第12回 国際オーボエコンクール・東京」で、最高位(1位なしの第2位)を受賞した浅原由香が、「東京・春・音楽祭2019」で受賞記念のリサイタルをひらく。東京都出身の浅原は、10歳でオーボエを始め、東京藝術大学附属高校、東京藝術大学、同大学院修士課程で学んだ。 今回のリサイタルでは、バロック音楽から20世紀音楽までバラエティに富んだプログラムが組まれている。クープランの「『趣味の融合 または新しいコンセール集』よりコンセール第5番」では和やかなアンサンブルが楽しめるであろう。指揮者として著名なアンタル・ドラティが作曲した、無伴奏オーボエのための「5つの小品」やオーボエとピアノのための協奏的二重奏曲は、オーボエ奏者にとって欠くことのできないレパートリーとなっている(前者は抜粋)。浅原の妙技を聴くには最適の作品に違いない。クララ・シューマンの「3つのロマンス」やミヨーの「オーボエとピアノのためのソナチネ」でも魅力的な演奏が聴けるであろう。 また、オーボエの荒木奏美、ファゴットの坂井由佳、コントラバスの北村一平、ピアノの宇根美沙惠、チェンバロの野澤知子ら、共演者たちにも注目したい。なかでも、現在、東京交響楽団の首席奏者を務める荒木は、「第11回 国際オーボエコンクール・軽井沢」の第1位受賞者であり、同コンクールの前回と今回の最高位受賞者の共演が実現することになる。浅原の東京春祭デビュー・リサイタルが楽しみである。第12回 トッパンチャリティーコンサートクラシックの演奏会で識字教育支援事業に貢献文:笹田和人5/29(水) 大萩康司 & 三浦一馬 6/6(木) 森 麻季各日19:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 http://www.toppanhall.com/ 世界的な総合印刷企業として知られる凸版印刷が、途上国での識字能力の向上を支援するため、毎年開催している「トッパンチャリティーコンサート」。第12回では、ギターの大萩康司とバンドネオンの三浦一馬による若手実力派デュオ(5/29)、そして、圧倒的な人気と実力を誇るソプラノの森麻季(6/6)、2つの公演が行われる。 凸版印刷は1900(明治33)年に創業して以来、印刷を通じた情報や文化の普及・発展にも力を注ぐ。このチャリティーコンサートは、2008年にスタート。収益はユネスコ・アジア文化センターに寄附され、特にカンボジアの女性たちを対象として、識字能力向上のための教育支援を行う「SMILE ASIAプロジェクト」を推進させるなど、成果を挙げている。 詩情と感性あふれる大萩。鮮烈な音楽性を迸らせる三浦。ジャンルを超越した活動を続ける2人は、何度も共演を重ねている。今回は、バルトーク「ルーマニア民俗舞曲」や三浦の編曲によるピアソラ「タンゴ組曲」からの抜粋ほかを。さらに、三浦がオークションで楽譜を“発掘”したという、このデュオ編成のためのオリジナル曲、ギュビッチ「ヴィラ・ルーロ」も披露される。 一方、日本を代表する“歌姫”として、国内外の檜舞台で大活躍を続ける森。今回は山岸茂人のピアノを伴い、メンデルスゾーン〈歌の翼に〉やシューマン〈献呈〉、フォーレ〈夢のあとに〉、アーン〈至福の時〉などの歌曲、さらにモーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》《コジ・ファン・トゥッテ》ほかオペラからのアリアまで、選りすぐりの名旋律を歌う。三浦一馬 ©井村重人森 麻季 ©Yuji Hori大萩康司 ©ビクターエンタテインメント

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