eぶらあぼ 2019.4月号
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1986月の見もの・聴きもの2019年6月の曽そし雌裕ひろかず一 編〔Ⅰ〕オーストリア第39回ウィーン国際音楽祭(5月11日-7月1日)[会場:コンツェルトハウス大ホール(ウィーン)](主要公演のみ/他会場の公演は省略)〔注〕この音楽祭は、以前は「ウィーン芸術週間」中のコンサート・プログラムとして「ムジークフェライン」と「コンツェルトハウス」で持ち回りで行われていた音楽祭です。2019年は「コンツェルトハウス」での開催となります。6月1(19:30)、2(11:00)、3(19:30)日 R.ブッフビンダー(p)指揮ウィーン響 ハイドン:ピアノ協奏曲ニ長調、モーツァルト:ピアノ協奏曲第25番、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番◎6月4(19:30)日 E.ガランチャMs、K.M.チチョン指揮ウィーン室内管 ヴェルディ、プッチーニ、チレーア、F.チュエカ、グリーグ、S.ガスタルドン(K.M.チチョン編曲)、スッペ、R.M.エルミダ/A.D.R.カステラオ、C.ガルデル(K.M.チチョン編曲)、ヒメネス、P.ソロサバルの作品6月5(19:30)日 H.グリモーp V.シルヴェストロフ、ドビュッシー、サティ、ショパン、ラフマニノフの作品6月6(19:30)、7(19:30)日 L.カヴァコス(vn)指揮ウィーン響 メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲、ブラームス:交響曲第1番◎6月17(19:30)日 ザ・パーカッシブ・プラネット・アンサンブル ベスト・オブ・パーカッシブ・プラネット 独/M.グルービンガーpc◎6月25(19:30)日 T.クルレンツィス指揮SWR響 ショスタコーヴィチ:交響曲第7番「レニングラード」ウィーン国立歌劇場6月1、5、9、13日 マスネ:マノン 指/F.シャスラン、演出/A.シェルバン、出/J.D.フローレス◎6月2、6、10日 R.シュトラウス:影のない女[19年5月プレミエ] 指/C.ティーレマン、演出/V.ユゲ、出/S.グールド、C.ニールント、E.ヘルリツィウス、W.コッホ、N.シュテンメ6月8、11、14日 ドニゼッティ:ドン・パスクワーレ指/E.マッツォーラ、演出/I.ブルック◎6月15、18、23日 プッチーニ:トスカ 指/M.アルミリアート、演出/M.ヴァルマン、出/N.シュテンメ、P.ベチャワ6月17、25日 ドニゼッティ:愛の妙薬 指/G.G.カルヴォ、演出/O.シェンク6月19、22、26、29日 ヴェルディ:アイーダ 指/M.アルミリアート、演出/N.ジョエル★◎6月20、24、27、30日 ヴェルディ:オテロ[プレミエ] 指/チョン・ミョンフン、演出/A.ノーブル、出/A.アントネンコウィーン・フォルクスオーパー6月1(18:30)日 モーツァルト:魔笛 演出/H.ローナー6月2(19:00)、6(19:00)、10(19:00)、14(19:00)、20(19:00)、25(19:00)日 オッフェンバック:地獄のオルフェ(天国と地獄) 演出/H.バウマン6月4(19:00)、7(19:00)、15(19:00)、21(19:00)、24(19:30)、28(19:00)日 R.ロジャーズ:回転木馬(ミュージカル) 演出/H.メイスン6月5(19:00)、8(19:00)、13(19:00)、16(18:00)、18(19:00)、23(16:30)日 ヴェルディ:椿姫 演出/H.グラツァー6月22(18:00)、26(11:30)、30(18:00)日P.ヴァルティノーニ:ピノッキオ 演出/P.M.クレンウィーン・フィル[会場:無印=ムジークフェライン(ウィーン)、(SCB)=シュロスパーク[シェーンブルン宮殿](ウィーン)、(PAR)=シャンゼリゼ劇場(パリ)、(HAM)=エルプフィルハーモニー(ハンブルク)、(MIL)=ミラノ・スカラ座(ミラノ)]◎6月1(15:30)、2(11:00)、4(20:00)(PAR)、5(20:00)(HAM)日 M.ヤンソンス指揮 シューマン:交響曲第1番「春」、ベルリオーズ:幻想交響曲◎6月16(11:00)、17(19:30)日 Z.メータ指揮 モーツァルト:交響曲第29番、私はおまえを残して行く(アリア)、ポントの王ミトリダーテ/アルバのアスカーニョ〜アリア、ストラヴィンスキー:春の祭典 独/B.メータCT6月20(20:45)(SCB)日 G.ドゥダメル指揮曲目未定 独/ユジャ・ワンp◎6月23(20:00)(MIL)日 P.ドミンゴ、G.ドゥダメル指揮 → 〔ミラノ・スカラ座〕参照ウィーン響[会場:(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)、(MV)=ムジークフェライン(ウィーン)、(MAD)=アウディトリオ・ナシオナル・デ・ムシカ(マドリード)、(ZAZ)=アウディトリオ(サラゴサ)、(BCN)=サラ・パウ・カザルス[ラウディトリ](バルセロナ)、(ATH)=ヘロディス・アッティコス音楽堂(アテネ)]6月1(19:30)(KH)、2(11:00)(KH)、3(19:30)(KH)、6(19:30)(KH)、7(19:30)(KH)日R.ブッフビンダー(p)(1/2/3日)/L.カヴァコス(6/7日)指揮 → 〔ウィーン第39回国際音楽祭〕参照6月12(19:30)(MV)、13(19:30)(MV)、14(19:30)(MV)日 L.ヴィオッティ指揮 ワーグナー:トリスタンとイゾルデ〜イゾルデの愛の死、プフィッツナー:歌曲集(7曲)、ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲、スクリャービン:法悦の詩 独/M.ゲルネBr6月17(19:30)(MAD)、18(20:00)(ZAZ)、19(20:30)(BCN)、22(21:00)(ATH)日L.カヴァコス(vn)指揮 メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲、ブラームス:交響曲第1番【本文中の記号】★=プレミエ[新演出]公演、◎=注目公演 6月の「音楽祭」でまず最初の注目は「ザルツブルク聖霊降臨祭音楽祭」。現在この音楽祭の音楽監督はメゾソプラノのチェチーリア・バルトリが務めているので、公演内容も事実上彼女のやりたい放題という色合いが強い。バルトリの出演するヘンデル「アルチーナ」(この演目は夏のザルツブルク音楽祭でも移行上演される)や、カウンターテナーのファジョーリと共演するペルゴレージの「スターバト・マーテル」はもとより、何より凄いのは「ファリネッリと仲間たち」と称するガラコンサート。バルトリの他、フックス、プティボン、ピオー、リアル、ドゥサンドル、ジュノー、ハレンベリ、デュモー、ジャルスキーといったフランスを中心とする当代きっての人気歌手を集めた驚異の超豪華ガラ。 もう一つの注目音楽祭は「ミュンヘン・オペラ・フェスティバル」。言うまでもなくペトレンコ指揮のR.シュトラウス「サロメ」が話題の中心。また、音楽祭では「ライプツィヒ・バッハ音楽祭」にも注目公演が多い。 その他のオペラ関係では、最近、旺盛な演出活動が復活しているコンヴィチュニーの新演出、ヘンデル「エジプトのジューリオ・チェーザレ」(ハレ・ヘンデル・フェスティバル)とマイアベーア「ユグノー教徒」(ドレスデン・ゼンパーオーパー)、チョン・ミョンフン指揮のヴェルディ「オテロ」(ウィーン国立歌劇場)、サイモン・ラトルがプッチーニの「マノン・レスコー」を振るベルリン・ドイツ・オペラ、同じラトル指揮のヤナーチェク「利口な牝狐の物語」(ロンドン響)、ロトの振るオッフェンバック「ジェロルスタン女大公殿下」(ケルン歌劇場)、ネトピル指揮のモーツァルト「コジ・ファン・トゥッテ」(エッセン歌劇場)、読響の常任指揮者を3月に退任するカンブルランが振るシマノフスキの「ロジェ王」(フランクフルト歌劇場)あたりが面白い。 また、フィリップ・ジョルダン指揮のモーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」プレミエ(パリ・オペラ座-ガルニエ宮)、ミンコフスキと手兵レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴルによるリュリの「町人貴族」(ヴェルサイユのオペラ・ロワイヤル他)、パリ・オペラ・コミークのオッフェンバック「ファヴァール夫人」、ヘンゲルブロック指揮のグルック「トーリードのイフィジェニー」(シャンゼリゼ劇場)、ドゥネーヴの指揮でロイヤル・コンセルトヘボウ管がピットに入るドビュッシーの「ペレアスとメリザンド」(オランダ国立オペラ)といったフランス、ベネルクス三国にも観るべきものが多い。ちなみに、ベルリン州立歌劇場はシーズン最後にバレンボイム指揮のワーグナー「トリスタンとイゾルデ」を演目に載せているが、来シーズン開幕(9月)には「リング」ツィクルスを2回上演することが発表されている(しかしチケットはすでに完売)。 一方、オーケストラ関係では、トゥガン・ソヒエフの最近の活躍ぶりが著しい。6月も音楽監督を務めるトゥールーズ・キャピトル国立管と共にウィーン、ケルン、パリなどでツアーを行うほか、「プラハの春国際音楽祭」では閉幕演奏会の大役も担う。その上、ベルリン・フィルのドイツ国内ツアーに加えてシーズン最後のヴァルトビューネでの演奏会も任されている。この演奏会では、フランスのメゾソプラノ、クレバッサとの共演で演奏されるラヴェルの「シェエラザード」が断然の聴きものだ。他には、ベルリン・ドイツ響やチューリッヒ・トーンハレ管に客演するケント・ナガノやバンベルク響のフルシャ、ミラノ・スカラ座でのウィーン・フィルのガラ・コンサート、ソプラノのデノーケと共演するサロネン=フィルハーモニア管等々興味は尽きないが、ズービン・メータとその縁戚関係にあるカウンターテナーのベジュン・メータとの共演(ウィーン・フィル)も注目度が非常に高い。(曽雌裕一・そしひろかず)(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)

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