eぶらあぼ 2019.4月号
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186CDCDCDCDベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全集 vol.3/カントロフ&上田晴子岸田繁『交響曲第二番』初演/広上淳一&京都市響市川高嶺 ピアノ・リサイタル ―ライヴ イン 東京2018―西村朗作品集19 シェーシャ[聖蛇]/アルディッティ弦楽四重奏団ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第1番・第2番・第9番「クロイツェル」・第10番/フンメル:ソナタ op.64より/ラロ:ギター op.28ジャン=ジャック・カントロフ(ヴァイオリン)上田晴子(ピアノ)岸田繁:交響曲第二番、管弦楽作品集「フォークロア・プレイリスト①」より「弦楽五重奏のための古風な舞曲『あなたとの旅』(管弦楽版)」「オーケストラのための序曲『心の中のウィーン』」広上淳一(指揮)京都市交響楽団J.S.バッハ:パルティータ第1番/ショパン:ポロネーズ第7番「幻想」/ドビュッシー:仮面、喜びの島/ベートーヴェン:創作主題による32の変奏曲/シューマン:幻想曲、トロイメライ市川高嶺 (ピアノ)西村朗:弦楽四重奏曲第5番「シェーシャ[聖蛇]」、弦楽四重奏のための七つの断片と影、弦楽四重奏曲第6番「朱雀」アルディッティ弦楽四重奏団【アーヴィン・アルディッティ アショット・サルキシャン(以上vn) ラルフ・エーラースva ルーカス・フェルスvc】コジマ録音ALCD-7230,7231(2枚組) ¥3400+税収録:2018年12月、愛知県芸術劇場 コンサートホール(ライヴ)ビクターエンタテインメントVICC-60955 ¥2500+税3/27(水)発売収録:2018年8月、東京文化会館(小)(ライヴ)ナミ・レコードWWCC-7890-1(2枚組) ¥3500+税カメラータ・トウキョウCMCD-28364 ¥2800+税2012年にヴァイオリニスト活動を休止した巨匠カントロフ。幸いにも17年に活動再開し、この2〜3月には日本ツアーで新境地を聴かせてくれた。当盤は活動休止前に収録したベートーヴェン・ソナタ全集の完結編。緊張感を内包しつつあえて淡々と進みながら、大事な瞬間では凄まじい切れを見せ、居合の達人とでも例えたくなる無二の世界観を確立。どの曲も独特の覇気と軽みがあり、「クロイツェル」では力強さの中に洒脱さも忘れない。10番における枯淡の音色の美しさは格別で、作曲者40代の作品から後期の深遠さを引き出し、流麗で意味深い上田のピアノと共に、強く胸を打つ。 (林 昌英)クラシックの専門家でない、しかし、豊かな感性を備えたクリエイターに、変幻自在のオーケストラ・サウンドを託したら、一体どんな音楽が生まれるのか。幸せな結果が、これだ。人気ロックバンド「くるり」のリーダー岸田繁が、作曲家として取り組んだ「交響曲第二番」。広上淳一指揮の京都市響による名古屋でのライヴを収録した。溢れ出る旋律と和声を自在に綴り、幻想曲が連なる組曲の趣を湛えた「第一番」に対し、今回は、ソナタ形式などの“型”を意識。それ故に、多彩な素材や楽章間に、より有機的な繋がりが生まれた。広上と楽員たちも、渾身の熱演で応えている。(笹田和人)桐朋学園大学、同大学研究科を終了後、パリ・エコール・ノルマル音楽院で研鑽を積んだ市川高嶺。本盤は、ソロはもちろん室内楽でも幅広く活躍する彼女が昨年の8月に東京文化会館で行ったリサイタルのライヴ録音となっている。バッハやシューマン、ドビュッシーなどバラエティに富む選曲で、市川の多彩なピアニズムが存分に味わえる。フランスで学んだ彼女の煌びやかな音色によるドビュッシーが魅力的なのはもちろんだが、特にシューマンの「幻想曲ハ長調」の音色や色とりどりの歌いまわしが印象的。バッハやベートーヴェンでの構築力の高さにも注目してほしい。(長井進之介)西村朗の弦楽四重奏曲は成立・演奏史において全てアルディッティSQと関わりがあるが、本CD所収の第5番は60歳を祝して2013年にアルディッティ個人に、そして第6番は17年にアルディッティSQに献呈された。標題の説明はライナーに譲るが、いずれも微分音を駆使しての技術の限界を思わせる素早いトレモロや激烈なデュナーミクの対比、多彩な特殊奏法による音色の効果が徹底的に追求されている実にハードな音楽で、なるほどこの音楽は同SQ抜きには存在しない。但し、難解に考える必要はまるでなく、何故ならこれはあからさまに「エモい」のだ。聴き入ってしまう。理屈は後から。(藤原 聡)

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