eぶらあぼ 2019.4月号
185/221

182CDCDCDCDメンデルスゾーン:ピアノ協奏曲第1番・第2番 他/ヤン・リシエツキ&オルフェウス室内管テネブルの歌/昭和サクソフォーン・オーケストラ&神保佳祐中島克磨 WORKS 作曲&編曲集Bell Song~鐘の歌/鈴木玲奈メンデルスゾーン:ピアノ協奏曲第1番・第2番、厳格な変奏曲、ロンド・カプリチオーソ、無言歌「ヴェネツィアの舟歌 第1」ヤン・リシエツキ(ピアノ)オルフェウス室内管弦楽団J.シュトラウスII:喜歌劇《こうもり》序曲/ドビュッシー:子供の領分/エスケシュ:テネブルの歌/スメタナ:モルダウ/ホルスト:組曲「惑星」より昭和音楽大学 昭和サクソフォーン・オーケストラ 神保佳祐(サクソフォン) 大森義基 松原孝政 有村純親 榮村正吾 福本信太郎(以上指揮)中島克磨:交響的挿話「地球」、トランペット小協奏曲、電子オルガンのための「エクソシズム」/ハチャトゥリアン(中島編):「仮面舞踏会」より/ホルスト(同):ジュピター 他栁沢寿男 木村厚太郎(以上指揮) ミハイル・ドゥルジーニン(トランペット)サンクトペテルブルク交響楽団西岡奈津子(電子オルガン) 近藤由貴(ピアノ) 他ドリーブ:歌劇《ラクメ》~若いインド娘はどこへ(鐘の歌)/デラックァ:ヴィラネル/R.シュトラウス:アモール/トマ:歌劇《ハムレット》~私も遊びの仲間に入れてください/ロイド=ウェバー:ピエ・イエズ/なかにしあかね:今日もひとつ鈴木玲奈(ソプラノ)篠宮久徳(ピアノ)ユニバーサル ミュージックUCCG-1833 ¥2800+税収録:2018年10月、テアトロ・ジーリオ・ショウワ(ライヴ) 他マイスター・ミュージックMM-4052 ¥3000+税ナミ・レコードWWCC-7892 ¥2500+税日本コロムビアCOCQ-85449 ¥2000+税人気の若手ピアニスト、ヤン・リシエツキが前作のショパンの練習曲に続いてリリースしたのはメンデルスゾーン。どこかショパンをはじめとする同時代の他の作曲家に比べれば軽視されがちな印象があるが、このディスクではメンデルスゾーンの音楽の厳格さ、ヴィルトゥオジティ、メロディの美しさなどあらゆる面が凝縮されており、メンデルスゾーンの再評価に一役買うことになるはず。聴ける機会の少ないピアノ協奏曲が2曲揃っているのも嬉しい。エレガントな音楽運び、美しい音色が魅力のリシエツキとメンデルスゾーンの相性がここまで良いというのも新しい発見だ。 (長井進之介)総勢80名を超える巨大サクソフォーン・アンサンブルによる5枚目のCD。クラシックの有名曲が主体で、CDタイトルの「テネブルの歌」のみオリジナル曲(独奏と12人の奏者のための作品)である。柔らかくも重層的なその響きは他に類のない感触。全体に聴き慣れた作品も新鮮な音楽として楽しめる。特にドビュッシーの「子供の領分」はオリジナルがピアノ曲だけあって、管弦楽もの以上に多彩な面白さが生み出されているし、「モルダウ」冒頭の細かな動きも妙味十分。「惑星」の迫力も目覚ましい。同楽器の愛好家と耳新たなサウンドを希求される方はご一聴を。(柴田克彦)中島克麿の作品はロシアをはじめ海外で多く演奏されており、また編曲者としても着実な仕事を残してきた。その軌跡を一望するアルバム。師匠筋をたどるとハチャトゥリアンからリムスキー=コルサコフに至るという経歴通り、「地球」は映像的情景喚起力に富み、管弦楽は力強くダイナミックに鳴る。続く協奏曲、電子オルガン曲はそれぞれに語り口は異なるが、誠実な自己表現が聴かれる。後半はピアノ・アレンジの仕事。ロシア的哀愁やにぎにぎしさといった原曲の雰囲気が生きており、そこに作曲者に対する敬意を感じる。「ジュピター」で冒頭の「地球」を回顧しつつアルバムを締めている。(江藤光紀)日生劇場《後宮からの逃走》(2016年)のブロンデ役で絶賛されて以来、活躍の幅を広げているコロラトゥーラ・ソプラノのデビュー盤。幕開けから難曲〈鐘の歌〉の高音を華やかに鳴り響かせたかと思うと〈ヴィラネル〉ではツバメになって大空を軽やかに駆け巡り、R.シュトラウス〈アモール〉の小悪魔的な愛の神に扮した後、トマの描くオフィーリアの狂気を演じ、ロイド=ウェバー〈ピエ・イエズ〉と天上の世界に昇っていく…まさに宝石のような輝かしい歌声を持つ名女優。なかにしあかね作曲、星野富弘の詩による〈今日もひとつ〉が紡ぐ温かい世界も素敵だ。(東端哲也)

元のページ  ../index.html#185

このブックを見る