eぶらあぼ 2019.2月号
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48がんばろう日本! スーパーオーケストラ 毎日希望奨学金 チャリティーコンサート復興への想いを込めて〜今年もクラシック・エイド開催!文:笹田和人3/1(金)19:00 サントリーホール問 毎日新聞社事業本部03-3212-0804/テンポプリモ03-3524-1221https://www.npo-qgo.org/2019superorchestra/ 精鋭が集結した“夢の楽団”が再び、未来への希望を響かせる――。東日本大震災で被災し、学業の継続が困難になった子どもたちの支援を続けている「がんばろう日本! スーパーオーケストラ」。全国の一線楽団で活躍する首席級の名手たちが毎春、巨匠指揮者や世界的ソリストと共に名演を繰り広げている。 若手演奏家の支援や、生演奏に触れる機会が少ない人を対象としたチャリティ活動を続けている、NPO法人「クウォーター・グッド・オフィス」が企画。東日本大震災が発生した直後の2011年5月にスタート。以降は原則として毎年3月に開催、演奏会の収益や募金箱に寄せられた募金を、震災遺児を対象とする「毎日希望奨学金」へ託している。 熱い思いを込めたステージは、9回目に。指揮には、この企画の発起人の一人であり、過去3回の公演でもタクトを振った名匠・高関健が登場。ソリストには、16年に上海アイザック・スターン国際ヴァイオリン・コンクールで優勝するなど、国際的に注目を集める才媛・木嶋真優を迎える。 今回のプログラムは、特に復興への強い願いを反映。幕開けのブラームス「悲劇的序曲」の重苦しさを、木嶋が渾身の熱演で紡ぐ同「ヴァイオリン協奏曲」の深い瞑想や力強さが払拭してゆく。そして、ドヴォルザーク「交響曲第8番」の夜明けを思わせる第1楽章や、固い決意を含蓄した第2楽章、憂愁の第3楽章、そして、エネルギーが爆発するような終楽章。8年を経た被災地の“いま”が重なるはずだ。木嶋真優 ©TANKA.オペラシアターこんにゃく座 オペラ《遠野物語》 新作初演東北の気候風土に根ざした伝承が神秘の音物語として甦る文:室田尚子2/7(木)~2/17(日) 六本木/俳優座劇場問 オペラシアターこんにゃく座044-930-1720 http://www.konnyakuza.com/ 1971年から40年あまりにわたり日本語によるオペラを上演してきたオペラシアターこんにゃく座。2012年に座付作曲家であり芸術監督だった林光が亡くなった後も、オリジナル作品を中心とした独自のオペラを発表し続けている。 そんなこんにゃく座の新作は、民俗学者・柳田國男が明治43年に発表した説話集『遠野物語』のオペラ化だ。岩手県遠野に伝わる様々な怪異譚を集めたこの作品には、河童や座敷わらしなどの不思議な生き物、古くから伝わる神様たち、あるいは神隠しといった不思議な現象がたくさん登場する。柳田自身はこれをすべて実際にあった出来事だとしているが、虚実ないまぜとなった世界に魅了された人々は多い。確かにこれをオペラにするのは面白そうだが、同時に一筋縄ではいかないだろうことも想像に難くない。結成以来「日本語と日本」に徹底的にこだわってきたこんにゃく座だからこそ手がけることが可能な題材といえるだろう。 作曲は吉川和夫、萩京子、寺嶋陸也というグループ「緋国民楽派」の3人による共同制作。台本は、「演劇ユニットてがみ座」を主宰、民俗学や歴史や国といった骨太のテーマで今大きな注目を浴びる劇作家・長田育恵。そして、2016年こんにゃく座公演《Opera club Macbeth》(林光作曲)の演出で評判を呼んだ劇団俳優座の眞鍋卓嗣が再び登場する。こんにゃく座の歌役者たちの実力もお墨付きだ。「これぞこんにゃく座」といわれるような名プロダクションとなるにちがいない。寺嶋陸也萩 京子吉川和夫高関 健 ©Stas Levshin

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