eぶらあぼ 2019.2月号
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30テオドール・クルレンツィス2/10(日) Bunkamuraオーチャードホール(完売)、2/11(月・祝) すみだトリフォニーホール(完売)、2/13(水)19:00 サントリーホール(カジモト・イープラス0570-06-9960)、2/14(木)19:00 大阪/フェスティバルホール(堺市文化振興財団チケットセンター072-228-0055/キョードーインフォメーション0570-200-888)※ツアーの詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。http://www.musicaeterna2019.jp/話題沸騰のコンビ、いよいよ日本初上陸! 事件の目撃者になるテオドール・クルレンツィス & ムジカエテルナ文:加藤浩子 なにもかもが、破格である。クラシック音楽のアーティストでありながらヨーロッパに見向きもせず、辺境(失礼!)のシベリアで自分の楽団を結成した。ややモスクワに近い(といっても1000キロ以上ある)ペルミのオペラハウスに招かれた時は、「楽団ごと移りたい」という条件をつけても受け入れられた。今や予算の関係でまれになったセッション録音を満足がいくまで行い、録音の結果が気に入らないと封印した。シベリアで楽団「ムジカエテルナ」を作った理由について、テオドール・クルレンツィスはこう語っている。「パルチザン(=遊撃兵)は都会にはいない。森にいるんだ」。 テオドール・クルレンツィスとムジカエテルナは、目下ヨーロッパでもっとも売れっ子のアーティストだ。2017年のザルツブルク音楽祭デビューではいきなり開幕公演に登場し、話題をさらった。さらに18年にはベートーヴェンの交響曲全曲演奏を任され、発売と同時にソールドアウト。音楽祭の主役、ウィーン・フィルも霞んでしまう人気ぶりである。 だが演奏を聴けば誰もが納得する。「こんなの聴いたことがない」と呟きたくなる瞬間の連続なのだ。音色も、リズム感も、アーティキュレーションも、何もかもが新鮮なのに、奇をてらったという感じがしない。音楽の奥深くへと降りて行ったら、思いがけずにこんな景色が見えた、そう思わされてしまうのである。何より彼らの演奏は、鮮烈なイマジネーションを喚起させる。「春の祭典」を聴けば大地に口づけし踊り狂う乙女たちの残像が、「悲愴」を聴けばチャイコフスキーの心にぱっくり開いた傷から溢れ出る黒い血が、聴き手の心に躍りかかるのだ。 2月に予定される初来日を待たずして、クルレンツィスとムジカエテルナの話題は日本でもホットだった。発売されるCDはみな注目され、いくつもの賞を獲得。今時、CDだけでメジャーになるアーティストも珍しい。初来日は、ようやくという感じである。 今回演奏されるチャイコフスキーは、クルレンツィスがモーツァルト、マーラーとならんで「自分にとっての神」と位置づける作曲家。東京で唯一チケットが残るサントリーホールの公演では、オペラを得意とする彼の本領が味わえる絵画的な作品がメインだ。「フランチェスカ・ダ・リミニ」は、クルレンツィスが「僕のレパートリー」だとのめり込んでいる作品。「ロメオとジュリエット」は、彼が「あらゆる時代を通じてもっとも偉大な天才」だと崇めるシェイクスピアの悲恋物語がベースである。大阪では、ソウルメイトのように意気投合しているパトリツィア・コパチンスカヤと共演する「ヴァイオリン協奏曲」に、「悲愴」という王道プログラム。チャイコフスキーのイメージが一夜で変わることは、間違いなしだ。夜クラシック Vol.20 山根一仁(ヴァイオリン) & 北村朋幹(ピアノ)ドイツを拠点に活躍する若き二人の“夜の調べ”文:東端哲也 真っ暗なホールにドビュッシー「月の光」が静かに流れ、ステージ中央が明るくなると演奏者がまるで月の光に照らされるように浮かび上がる…。毎回この素敵な演出で幕を開ける平日19時半スタート(仕事帰りにぴったり)の約90分間の室内楽コンサート。 5年目を迎えた2018/19シーズンの最後を飾るのは、それぞれドイツで研鑽を積みながら自身の音の世界を広げている若き俊英、山根一仁(ヴァイオリン、ドイツ国立ミュンヘン音楽演劇大学に在籍中)と北村朋幹(ピアノ、フ2/22(金)19:30 文京シビックホール問 シビックチケット03-5803-1111https://www.b-academy.jp/hall/北村朋幹 ©TAKUMI JUNランクフルト音楽・舞台芸術大学に在籍中)。 充実のプログラムは神秘的なシマノフスキ「神話-3つの詩」の第1曲「アレトゥーサの泉」をはじめ、シューベルト「ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ第2番」やブラームス「ヴァイオリン・ソナタ第3番」など本格的だが、トークも交えて和やかに進行するので初心者も心配ご無用。もちろん、バルトーク「狂詩曲第1番」のような佳曲もあり、コア・ファンも聴き逃せない!山根一仁 ©K.MIURA

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