eぶらあぼ 2019.1月号
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68飯守泰次郎(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団ドイツ音楽に深く傾倒するマエストロによるブラームス演奏の集大成文:山田治生第321回 定期演奏会2019.1/11(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 http://www.cityphil.jp/ 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団桂冠名誉指揮者、飯守泰次郎が、同楽団とともに取り組むブラームス交響曲全曲演奏シリーズの第2回が、2019年1月11日に東京オペラシティコンサートホールで開催される。18年1月の第1回では交響曲第2番と第4番が取り上げられたが、今回は第3番と第1番が演奏される。 飯守は、18年夏で新国立劇場オペラ芸術監督の大任を果たし、同年4月に仙台フィルの常任指揮者に就任するなど、以前にも増して積極的に指揮活動を行っている。また、昨シーズン、新国立劇場でワーグナーの《神々の黄昏》とベートーヴェンの《フィデリオ》を指揮し、18年7月の東京シティ・フィルの定期演奏会でブラームスの「ネーニエ(悲歌)」とブルックナーのミサ曲第3番を取り上げたように、近年ますますドイツ音楽へ傾倒し、その演奏内容を深めている。 今回の演奏会で、飯守は、哀愁に満ちた第3楽章を含むなど、ブラームスの4つの交響曲のなかで最もロマンティックと言われる第3番をどう描くのだろうか。そして、シリーズ最後の第1番は飯守のブラームス演奏の集大成となるだろう。指揮者として円熟の境地にある飯守の音楽的意図を最も忠実に再現できるオーケストラは、1997年の常任指揮者就任以来、20年以上密接な関係にある東京シティ・フィルにほかならない。今回のブラームス交響曲全曲演奏シリーズの完結はそんな両者にとっての大きな一つの節目となるに違いない。飯守泰次郎 ©金子 力HAKUJU 東日本大震災 チャリティコンサート音楽のチカラで笑顔を届ける文:東端哲也2019.3/11(月)15:00 Hakuju Hall問 Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 https://www.hakujuhall.jp/ 2011年の東日本大震災以来「東北復興支援プロジェクト・被災地支援チーム」を組織して、避難施設への自社健康機器の貸し出しや本社ビル1階でのチャリティロビーコンサートなど、継続的な支援を続けてきた白寿生科学研究所。19年も3月11日に福島県相馬市「学校法人みどり幼稚園」を支援する(チケット収益、会場設置の募金箱へ寄せられた募金などを全額寄付)公演を、同社が運営するHakuju Hallで有志の演奏家たちの協力を得て開催する。 出演者は同ホールにゆかりのある、それぞれの分野の人気演奏家ばかり。曲毎にその組み合わせの妙を楽しむことができるのも、本企画の魅力のひとつとしてすっかり定着している。 今回も三舩優子のピアノをベースにした、小林美恵のヴァイオリンと川本嘉子のヴィオラによる艶やかな協奏交響曲(モーツァルト)があるかと思えば、メゾソプラノの林美智子による川にちなんだアメリカ民謡(グルーシン編)やR.シュトラウスの歌曲「モルゲン(明日)」(三舩のピアノと小林のヴァイオリンが共演)など歌ものも充実。ギターの大萩康司とチェロの長谷川陽子のデュオでパガニーニの「カンタービレ」と「モーゼ幻想曲」も。近年テレビ番組やCM音楽の作曲家としての活躍もめざましい、平野公崇が率いるブルーオーロラ サクソフォン・カルテットも登場。出演者一同によるムソルグスキー「展覧会の絵」なども、どのような編曲が施されているかも含めて非常に楽しみだ。昨年の模様

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