eぶらあぼ 2019.1月号
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62チェコ国立ブルノ・フィルハーモニー管弦楽団モラヴィア伝統の響きを今も残す名門オーケストラが来日文:山田真一2019.2/9(土)水戸、2/10(日)長野、2/11(月・祝)新潟、2/13(水)八王子、2/15(金)、2/17(日)東京、2/16(土)川口、2/19(火)横浜、2/20(水)浜松、2/23(土)大阪、2/24(日)京都問 光藍社チケットセンター050-3776-6184 https://www.koransha.com/※プログラムは公演により異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。 ドヴォルザーク、スメタナ、ヤナーチェクで知られる音楽の国チェコは、大きくボヘミアとモラヴィアという二つの地域からなる。ブルノはチェコ第二の都市で、モラヴィアの中心都市。そのブルノからブルノ・フィルハーモニー管弦楽団が来日する。 ブルノ・フィルの源流は19世紀末モラヴィア出身の作曲家ヤナーチェクの時代に遡ることができ、ヤナーチェク等の優秀な音楽家によりその基礎が築かれた。今日ではモラヴィアを代表するオーケストラとしてチェコの文化発信に貢献しており、共産圏時代を含めた60年余で国外のコンサートが700回を超えるなど、海外公演に強いオーケストラでもある。 今回のプログラムはチェコを代表するスメタナ、ドヴォルザークの他、同じスラヴ系のチャイコフスキー、それにベートーヴェンというクラシックファンならよく知る作曲家&演目ばかり。同じスラヴ圏の若手注目株のアリョーシャ・ユリニッチが登場するチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番、名手マシュー・バーリーをソロに迎えたドヴォルザークのチェロ協奏曲もあり、魅力的な選曲だ。「我が祖国」で扱うフス戦争の舞台にもなったモラヴィアのオーケストラがどのようにスメタナの連作交響詩を演奏するのかも興味がわくところ。率いるのは日本でも知名度の高い、ノイマン門下の名匠レオシュ・スワロフスキーで、得意とするエネルギッシュで心温まる演奏が今から楽しみだ。マシュー・バーリー©Ben Phillipsヒュー・ウルフ(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団輝かしいファンファーレが鳴り響くコープランド祭り!文:飯尾洋一第600回 定期演奏会 ジェイド〈サントリーホール・シリーズ〉2019.2/7(木)19:00 サントリーホール問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 https://www.njp.or.jp/ 新日本フィルの記念すべき第600回定期演奏会は、なんと、オール・コープランド・プログラム。20世紀アメリカを代表する作曲家に光を当てる。曲は「市民のためのファンファーレ」、クラリネット協奏曲、交響曲第3番。セント・ポール室内管弦楽団音楽監督他のポストを歴任し、現在はベルギー国立管弦楽団音楽監督のヒュー・ウルフが指揮を務める。 「市民のためのファンファーレ」はコープランド作品のなかでも、もっとも知られる名曲だろう。吹奏楽の世界でも人気が高い。クラリネット協奏曲はジャズ・クラリネット奏者として名高いあのベニー・グッドマンの依頼によって書かれた作品。ジャズの語法を交えながら、明快で精彩に富んだ楽想が繰り広げられる。ソリストは新日本フィル首席クラリネット奏者の重松希巳江。鮮やかなソロで作品の真価を伝えてくれることだろう。 交響曲第3番は1946年に初演された作品で、作曲者の最高傑作とも評される。生涯にわたってさまざまに作風を変遷させたコープランドだが、この曲は伝統的な交響曲の枠組みのなかで、アメリカ的なるものを追求した作品といっていいだろう。終楽章では「市民のためのファンファーレ」の主題が引用され、壮麗なクライマックスを築きあげる。 つまり、この日は「市民のためのファンファーレ」で始まって、「市民のためのファンファーレ」パワーアップ版で輝かしく幕を閉じるのだ。実に魅力的なプログラムではないだろうか。重松希巳江アリョーシャ・ユリニッチ ©Mario Kučeraレオシュ・スワロフスキーヒュー・ウルフ ©Andrew Hurlbut

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