eぶらあぼ 2019.1月号
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54石神井バレエ・アカデミー『バレリーナ 吉田 都からのメッセージ』華麗で多彩な一期一会の饗宴文:上野房子2019.1/25(金)19:00 文京シビックホール問 石神井バレエ・アカデミー03-3996-9041 http://www.shakujii-ballet.com/ たとえば宮廷舞踊家とコラボレーションを行ったり、あるいはバレエ団の枠組みを超えて優れたダンサーをゲストに迎えたりするなど、外崎芳昭と山崎敬子が主宰する石神井バレエ・アカデミーは、所属ダンサーを含む充実したキャストにより、意欲的なプログラムを上演してきた。 2019年1月の主催公演にも、同アカデミーならではの演目がお目見えする。題して『バレリーナ 吉田都からのメッセージ』。主役を務めるのは、むろん吉田都だ。 17年の前回公演での吉田は、山崎の振付による『四季』に出演、高岸直樹(元・東京バレエ団)と共に「秋」を踊り、『パ・ド・カトル』では酒井はな、沖香菜子(東京バレエ団)、西田佑子と華を競った。今回は浅田良和(元・Kバレエカンパニーほか)と組んで、山崎の演出・振付による『エスメラルダ』と『ナイチンゲールのワルツ』を踊る。 他演目にも、様々なバレエ団の主要メンバーが名を連ねる。 新国立劇場バレエ団からは米沢唯が初参加し、東京バレエ団の秋元康臣と『ドン・キホーテ』のパ・ド・ドゥを、同じく東京バレエ団の沖と池本祥真は『ラ・フィーユ・マル・ガルデ』のワンシーンを披露する。 幕切れは、山崎の新作『We Love Piano —山崎敬子とダンサーたちとの会話—』。ブラジル出身の作曲家/ピアニスト、エルネスト・ジュリオ・ナザレのピアノ曲にのせて、高岸、峰岸千晶(NBAバレエ団)ほかのダンサーが語り合うように踊る。 ガラ公演さながらの、一期一会の饗宴を楽しみたい。吉田 都 ©瀬戸秀美東京・春・音楽祭2019 La Femme C’est Moi~クールマン、愛を歌うカラフルで愉悦に満ちたショーさながらのステージ文:室田尚子2019.4/9(火)19:00 東京文化会館問 東京・春・音楽祭チケットサービス03-6743-1398 http://www.tokyo-harusai.com/ 2015年、17年に東京・春・音楽祭の歌曲シリーズに登場し大人気だったメゾソプラノ、エリーザベト・クールマン。14年からの《指環》、とりわけ15年の《ワルキューレ》フリッカでオペラ歌手としての実力を示したクールマンは、2回の歌曲の演奏会でも、その練られたプログラムで聴き手に強い印象を残した。 そんな彼女は近年、クラシック以外のジャンルの音楽を取り入れたコンセプチュアルなコンサートに活動の重心を移している。その最新シリーズである「La Femme C’est Moi」が、19年、東京春祭に登場。 第1部は愛と時間を、第2部は政治をテーマに、シューベルトの歌曲からヴェルディ、ワーグナー、リヒャルト・シュトラウス、ビゼーのオペラ・アリア、コール・ポーターの楽曲やマイケル・ジャクソン、ビートルズのナンバー、そしてキャバレー・ソングやシャンソンまで予定されており、選曲は多岐にわたる。 これはコンサートというよりも、ひとつの完結したショー、いや抜群の歌唱力を持つクールマンが演じる音楽ドラマだと思った方がいい。編曲は、ヴィオラ奏者でもあるアレンジャー、チョー・タイシンが担当。バックを務める室内アンサンブルのメンバーは他にクールマンの長年のパートナーであるピアノのエドゥアルド・クトロヴァッツ、ウィーン・フィルの元首席チェロ奏者であるフランツ・バルトロメイ、同じくウィーン・フィルの首席コントラバス奏者ヘルベルト・マイヤーら、実力派が勢ぞろい。 歌と音楽の可能性を追求し尽くしたパフォーマンスで、出色の一夜になるに違いない。「La Femme C’est Moi」の模様 ©Wilfried Hoeslエリーザベト・クールマン ©Ernst Kainerstorfer

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