eぶらあぼ 2019.1月号
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52金子三勇士 ©Ayako YamamotoElegant Time Concert~上質な時間を貴方に~飯森範親と辿る芸術 Vol.2 金子三勇士(ピアノ)を迎えて~19世紀のウィーンを支えた音楽家たち~2019.3/13(水)13:00 ヤマハホール問 ヤマハ銀座ビルインフォメーション03-3572-3171 https://www.yamahaginza.com/hall/飯森範親(ナビゲーター)& 金子三勇士(ピアノ)ウィーンを彩った名曲と楽しいトークで贈る好企画取材・文:宮本 明Interview 2019年は日本オーストリア国交樹立150周年。人気指揮者・飯森範親が、ナビゲーターとして独自の切り口でクラシック音楽の世界を案内する「飯森範親と辿る芸術」の第2弾は、題して「19世紀のウィーンを支えた音楽家たち」。ピアニスト金子三勇士とともに、この時代のウィーンを彩った名曲の数々を、トークを交えながら紹介する。 飯森「前半はモーツァルトからベートーヴェン、シューベルトと、18世紀末から19世紀初頭の古典派の黄金期のウィーン。その後、経済的にも芸術的にもいったん衰退した時期が休憩の間にあって(笑)、後半は19世紀後半のリスト、ブルックナー、ブラームス。フランツ・ヨーゼフ1世と王妃エリーザベトが治めたオーストリア=ハンガリー帝国時代のウィーン全盛期を辿ります」 金子「歴史の話だけではなく、たとえばベートーヴェンのソナタをリストはどう見ていたのか、作曲家たちがその時代をどんな思いで生きてきたのかを見ていただけたら面白いですね」 「トルコ行進曲」「悲愴」「ラ・カンパネラ」等々、名曲がずらりと並ぶプログラムだが、「だからこそ、ふだん聴き慣れたのとは違う新しい解釈を聴かせたい」(金子)、「トーク付きの音楽会は、固定観念を変えて、別の側面から聴いてもらうきっかけ作りにもなる」(飯森)と、「名曲の新たな体験」が、もうひとつのテーマになりそう。 目を引くのがブルックナーの「思い出」。ブルックナーのピアノ曲自体がレアなジャンル。「古典的な響きと思いきや、ショパンっぽかったり、ブラームスっぽかったり」(金子)という、1868年頃作曲の初期作品だ。 そして「以前聴いた彼の演奏のテンションにびっくり。とにかくすごい、としか形容できないぐらい。凄まじいエネルギーを出してくれると思います」と飯森が絶賛するイチ押しがリストの「ハンガリー狂詩曲第2番」。金子自身も「燃えますね。ハイ・リスク、ハイ・リターン。最後は絶対にブレーキをかけない」とうなずく。体内に流れるハンガリーの血が騒ぐということだろう。必聴だ。 シリーズの前回は、飯森はトークだけでなく、所有の絵画を持参したり、アンコールでピアノを弾いたりと大サービス。今回も大いに楽しませてくれるに違いない。なお、終演後に出演者を交えたアフタヌーンパーティー付きの「特別プラン」(40名限定)は早々に売り切れとなった。次のチャンスを待ちたい。朝活コンサートVol.3 梅村知世(ピアノ) & 鈴木 舞(ヴァイオリン)作曲家と作品の背景に親しむセミナー&コンサート文:飯田有抄 浜離宮朝日ホールを会場に、平日の午前に開かれる「朝活コンサート」。このシリーズは朝10時半にスタートし、前半45分間は「プレセミナー」として作品や当日の音楽文化などについて学び、後半60分でコンサートを楽しむというもの。第3回の奏者はピアノの梅村知世とヴァイオリンの鈴木舞。「春、愛、恋」をテーマに、チャーミングな小品を聴かせる。ピアノ・ソロはグリーグの「ペールギュント」組曲の「朝」、抒情小曲集から「蝶々」「小鳥」、シューマン=リスト「献呈」など、ヴァイオリンとピアノ2019.2/8(金)10:30 浜離宮朝日ホール問 ピティナ03-3944-1583 http://www.piano.or.jp/鈴木 舞 ©Yukiko Shibuyaのデュオはモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ第25番K.301や、クライスラーの「美しきロスマリン」など、“朝”に心地よく聴ける美しいプログラムだ。 プレセミナーに登壇するのは小沼純一(早稲田大学教授/音楽・文芸批評家)。クラシックの作曲家たちが、いかに自然美に触発され、その感性をどう作品に投影させたのか、プログラムの作曲家や作品にまつわるトークを展開する。梅村知世飯森範親 ©山岸 伸

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