eぶらあぼ 2019.1月号
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160CDCDSACDCDドビュッシー:前奏曲集(全曲)/横山幸雄イタリア近代歌曲集Ⅱ~告白~/吉川具仁子オーボエとイングリッシュホルンのために/池田昭子&金子亜未&和久井仁フェルメール~絵の中の音楽/Vox Poetica & ソフィオ・アルモニコドビュッシー:前奏曲集第1集・第2集横山幸雄(ピアノ)プッチーニ:幸いあれ、聖母/マスカーニ:アヴェ・マリア/カゼッラ:美しいひとよ、私の心の光よ~「3つの1300年代の歌」より/チマーラ:ノスタルジー/ピッツェッティ:牧人たち/ザンドナーイ:最後のバラ、神秘/ロッカ:聖フランチェスコのソネット 他吉川具仁子(ソプラノ)徐惟恩(ピアノ)カー:3人の奏者のための3つの小品/ボザ:プロヴァンスの羊飼いたち/ブレイク:2本のオーボエとイングリッシュホルンのための組曲/ジェイコブ:2つの小品/ベートーヴェン:三重奏曲、モーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》の〈お手をどうぞ〉の主題による変奏曲池田昭子 金子亜未(以上オーボエ)和久井仁(イングリッシュホルン)ニコラ・ヴァレ:プレリュード/アドリアン・ヴァレリウス:我が魂よ嘆け!/スザート:舞曲集「ダンスリー」より 他Vox Poetica【瀧井レオナルドlt 佐藤裕希恵S】、ソフィオ・アルモニコ【前田りり子 菅きよみ 国枝俊太郎 相川郁子 新井道代(以上ルネサンス 他) 佐藤亜紀子(ルネサンスlt 他) 近藤郁夫pc】 他アールアンフィニ(ソニー・ミュージックダイレクト/ミューズエンターテインメント)MECO-1052 ¥3000+税ナミ・レコードWWCC-7883 ¥2500+税マイスター・ミュージックMM-4045 ¥3000+税キングレコードKICC-1465 ¥2315+税16歳で渡仏し、パリ国立高等音楽院で学んだ横山幸雄による、久しぶりのフランスものの録音。円熟期のドビュッシーが書き上げた前奏曲集を、丁寧に冷静に音にしてゆくことで、ドビュッシーならではのハーモニーの妙やそこから生まれる色彩をありありと浮かび上がらせる。〈西風の見たもの〉や〈沈める寺〉での気品の保たれたドラマティックな表現、〈雪の上の足跡〉での聴き手を吸い込むような静けさの表現も魅力。情熱的だが、透明感があってどこかひんやりとした感触の音が、作品によく合う。甘すぎないドビュッシーの美しい世界が広がる。 (高坂はる香)イタリアで研鑽を積み藤原歌劇団の公演などでも活躍。家族の介護に専念した時期を経て、2013年からコンサート活動を本格的に再開している円熟のソプラノによる最新盤。トスティ集、古典歌曲集と録音を重ねて、今回は前作『〜やさしい心〜』に続く、近代歌曲集の第2弾。プッチーニらオペラ作曲家からカゼッラ、チマーラ、ザンドナーイ、ロッカなどの知られざる佳曲まで網羅。マスカーニの〈アヴェ・マリア〉が有名な《カヴァレリア・ルスティカーナ》間奏曲の旋律ではなく、ラテン語・典礼文のイタリア語訳に作曲して作曲者が高校時代の恩師に捧げた作品なのもポイント。 (東端哲也)N響の奏者2人と弟子にあたる新日本フィル首席奏者のトリオによる初のCD。ベートーヴェンの2曲を含む全てがオーボエ2本+イングリッシュホルンのオリジナル作品だが、この編成の曲がこれだけ書かれている事実を充分納得させる好アルバムだ。冒頭のカーの作品から妙なる音色とその交錯に引き込まれ、ボザの作品のまさに牧童の笛の如き素朴な味わいや、ブレイクの作品のリズムと絡み合いが実に愉しい。ベートーヴェンの2曲も密度の濃い演奏で、驚くほど自然な“楽の音”に酔わされる。オーボエ愛好家以外の人も、楽しみながら新たな世界を知り得る1枚。(柴田克彦)今に伝わっているもので全30点余と寡作ながら、光と影を巧みに掬い取る繊細な画風で高い人気を得る、17世紀オランダの鬼才ヨハネス・フェルメール。音楽をモティーフとする作品が10点と、大きな割合を占める。そこで奏でられていたのは、いかなる旋律か。リュートとソプラノのデュオ「Vox Poetica」と、前田りり子らフルート・コンソート「ソフィオ・アルモニコ」が蘇らせる、当時流行していた歌や、庶民に愛された舞曲。瑞々しい調べの合間に、人々の営みやさざめきまでが聞こえるよう。また、同盤は開催中の『フェルメール展』ともタイアップ。目と耳で、傑作を味わってみるのも、一興だろう。(笹田和人)

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