eぶらあぼ 2018.12月号
83/223

80バンジャマン・アラール(チェンバロ/オルガン)バッハ演奏の“ヌーベル・バーグ”を体験する文:那須田 務12/4(火)19:00 名古屋/電気文化会館 ザ・コンサートホール問 クラシック名古屋052-678-5310 http://clanago.com/i-ticket/12/8(土)17:00 武蔵野市民文化会館(小)問 武蔵野文化事業団0422-54-2011 http://www.musashino-culture.or.jp/ 新時代の古楽シーンを牽引するであろうチェンバリストの筆頭が、フランスのバンジャマン・アラール。チャイコフスキー・コンクールやショパン・コンクールに匹敵する、権威あるブルージュ国際古楽コンクールに優勝して注目を集めて以来、ソリスト、ラ・プティット・バンドやヴェニス・バロック・オーケストラ等のチェンバリスト、パリの教会のオルガニストとして活動。古楽を中心としたハイセンスなCDをリリースしているハルモニア・ムンディ・レーベルが、彼一人によるバッハのチェンバロとオルガン作品の全曲録音という壮大なプロジェクトをスタートさせたが、それも頷けよう。ツェンダーやレオンハルトらに代表されるヨーロッパの正統的古楽のDNAを受け継ぎながらも、唯一無二の魅力をもった演奏をする人だからだ。 これまでもラ・プティット・バンドと来日しているが、25歳の2011年にはブランデンブルク協奏曲第5番で目も覚めるような鮮やかなソロを披露して傑出した才能を印象づけた。また、「フランス風序曲」と「イタリア協奏曲」を収録したCDでは、奇を衒うことのない至極真っ当な解釈でありながらも、即興的な装飾音をちりばめつつ、清々しい感興に満ちた名演を聴かせている。 この12月にそんなアラールのチェンバロ・リサイタルが実現する。オール・バッハ・プロで名古屋公演のメインは上述の2曲。武蔵野公演では「イタリア協奏曲」などに加えて、「プレリュード、トリオとフーガ BWV545b」などオルガンも演奏。レオンハルトの後継者の呼び声も高い、若手実力者のソロ・ライヴを目撃せよ。フィルハーモニクス ウィーン=ベルリン大胆な編曲も楽しみな、敏腕プレイヤーたちが贈るクリスマス・プレゼント!文:原 典子 「クラシックにはグルーヴが足りない、難しくて退屈」と言っている若い人がいたら全力でおすすめしたい「フィルハーモニクス ウィーン=ベルリン」がクリスマス直前の東京芸術劇場にやって来る! ウィーン・フィルやベルリン・フィルのメンバーなど、ヨーロッパの第一線で活躍する7人の凄腕プレイヤーからなるスーパー・アンサンブル。2007年に「ザ・フィルハーモニクス」として活動を開始、メンバー・チェンジを経てグループ名を少しだけ変え、今回はニュー・アルバム『フィルハーモニクス VOL1 ボヘミアン・ラプソディ~イングリッシュマン・イン・ニューヨーク』を引っさげての来日となる。 演奏される楽曲には、いずれも大胆な編曲が施されている。メンバーのシュテファン・コンツ編曲によるブラームスのハンガリー舞曲第1番には濃厚なロマの香りが漂い、熱気と狂騒に満ちたドライヴ感がたまらない。クイーンの名曲「ボヘミアン・ラプソディ」もフィルハーモニクスの手にかかると、バッハ=グノーの「アヴェ・マリア」から始まり、ケルトのフィドル風までめくるめく展開を見せる音楽絵巻に。スティングの「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」の洒脱さにも脱帽だ。 こうした越境系音楽をクールに演奏できるのは、クラシックはもちろんジャズ、フォーク、ラテン、ポップスなど、あらゆるスタイルに即適応できる豊かな音楽的バックグラウンドを持ち、細かなニュアンスまで完璧に表現できる超一流の音楽家だからこそ。そんな彼らと、とびきりご機嫌なクリスマスを過ごしてみてはいかが?©MaxParovsky12/14(金)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040http://www.japanarts.co.jp/他公演12/15(土)熊谷文化創造館さくらめいと(048-532-9090)12/16(日)やまと芸術文化ホール(046-263-3806)CD『フィルハーモニクス VOL1 ボヘミアン・ラプソディ~イングリッシュマン・イン・ニューヨーク』ユニバーサルミュージックUCCG-1798¥2778+税

元のページ  ../index.html#83

このブックを見る