eぶらあぼ 2018.12月号
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67©Toru Hiraiwa紀尾井クリスマスコンサート2018 歌うクリスマス1マリア、現る! クリスマスにマリアをテーマとした古今の歌を楽しむ12/21(金)19:00、12/22(土)16:00 紀尾井ホール問 紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061 http://www.kioi-hall.or.jp/林 美智子(メゾソプラノ)クリスマスにさまざまな“マリア”を歌います取材・文:宮本 明Interview 林美智子がマリアになる! 今年から新たに「歌うクリスマス」と銘打った紀尾井ホールのクリスマス・コンサート。その第一弾が「マリア、現る!」だ。「聖母マリア」はもちろん、音楽ジャンルを超えてさまざまな「マリア」にスポットを当てたプログラムがユニーク。〈アヴェ・マリア・メドレー〉から〈レット・イット・ビー〉〈五番街のマリーへ〉〈聖母たちのララバイ〉…。 「すごいですよね、これ。ジャンルを超えて表現する場を与えていただき、クラシックの声楽家としてだけではなく、大きな意味で『歌い手』として、ぜひ挑戦したいです。もちろんジャンルごとにそれぞれの様式感があるので、そこは少し寄せながら。でも『歌』というのは、その人の『伝えようとする意思』があっての存在なので、もともとジャンルはあまり関係ないのかもしれませんね」 もちろんオペラのナンバーも。たとえば《トスカ》の〈歌に生き、愛に生き〉。いうまでもなくソプラノの役だ。普段のリサイタルでも、他にもミミとか、マスカーニの作品、ヴェルディの初期作品など、ソプラノのレパートリーも歌っている。 「自分でも声の変化を楽しみながら。トスカやミミは、ハイライトでもいいので、いつか全幕を通して歌ってみたい役です」 それは楽しみだ。たぶんとても合っている。 歌の「相方」はバリトンの黒田博。二期会の研修所時代の林の師でもある。 「バリトンとメゾは共通するところがあって、40代、50代、60代と、年齢とともに声がワイドになってゆく楽しみがあります。黒田さんはまさにその声の広がりと対峙して、しっかり道を切り開いている方。舞台人として必要な、歌、演技、ユーモアを非常にバランスよく備えられた先輩で、今回のようなヴァラエティに富んだプログラムには、まさにうってつけの方だと思います」 山田武彦(ピアノ/編曲)を筆頭に、器楽陣も頼もしい。人気ギタリスト朴葵姫とは初共演だ。 「ギターの世界観は独特です。とても繊細な楽器なので、私も言葉でドラマが作れます。歌うよりも、語るイメージ。私にとって、もしかしたら一番繊細で直接的な表現ができるのがギターとの共演かもしれません」 そう言われてしまっては、そこも絶対に聴き逃せない。でも、今回どの曲でギターとのデュオが実現するかは、当日のお楽しみだ。なお、司会を務めるのは元AKB48で音大ピアノ科出身の松井咲子。百戦錬磨のクラシックの達人たちとのサプライズ共演もあるかもしれない。石井啓子(ピアノ) アンサンブルシリーズⅩⅩⅨピアノ三重奏の傑作をメインに熟練のサウンドを文:笹田和人 豊かな表現力に裏打ちされた、明朗な音色で聴衆を魅了するピアニストの石井啓子が、1987年から開催している「アンサンブルシリーズ」は、幅広いレパートリーに基づいたこだわりのプログラムで、室内楽の醍醐味を伝え続ける。その29回目となるステージ。ドヴォルザークとブラームスの手になる、ピアノ三重奏曲を軸に披露する。 ミュンヘン音楽大学に学び、現地での音楽活動を経て帰国した石井啓子は、幅広いレパートリーでソリストとして活動。その一方、同じくミュンヘン音大で研鑽を積んだ、夫で元日本フィル首席ヴァイ12/25(火)19:00 東京文化会館(小)問 プロ アルテ ムジケ03-3943-6677 http://www.proarte.jp/石井啓子オリニストの石井啓一郎とのデュオ・リサイタルも、全国各地で開いている。 今回は、石井啓一郎に桜庭茂樹(チェロ)を交えて、スーク「エレジー」を。娘の陽子(フルート)とは、マルティヌー「フルート・ソナタ第1番」を披露。そして、石突美奈(ヴァイオリン)、桜庭と共にブラームスの第3番(作品101)、さらに石井啓一郎、桜庭を伴ってのドヴォルザーク「ドゥムキー」、2つのピアノ三重奏曲の名品というラインナップで臨む。

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