eぶらあぼ 2018.12月号
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53ゲルハルト・オピッツ ピアノ・リサイタルシューマン × ブラームス連続演奏会 第4回ベートーヴェンからの流れを総括するシリーズ最終回文:高坂はる香12/14(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831http://www.pacific-concert.co.jp/ 2015年にスタートしたゲルハルト・オピッツの「シューマン×ブラームス連続演奏会」が、最終回となる第4回を迎える。 1953年バイエルンに生まれ、ケンプの薫陶をうけたオピッツは、これまでベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏会を行うなど、ドイツ音楽の真髄を追求してきた。当シリーズは、ベートーヴェンを崇敬していたシューマンとブラームスの作品のハイライトを紹介することで、各人がベートーヴェンから受けた影響の違い、さらには、この伝統が後のドイツ音楽にどう受け継がれたかを考えるという、意欲的な試み。 プログラムは、シューマンからは「蝶々」に加え、作曲家の内面や彼を取り巻く人への想いがこめられたような「謝肉祭」を演奏する。一方のブラームスの作品としてまず取り上げるのは、「シューマンの主題による変奏曲」。当時、シューマンはライン河で投身自殺をはかって病院に収容されており、ブラームスがシューマンの妻クララを励ます意味も込めて書いた作品だ。また、実質1作目のピアノ・ソナタで、先達の影響が見られるソナタ第2番も、改訂版がクララに献呈されている。シューマン夫妻とブラームスを強く結びつける作品が選りすぐられた内容だ。 歳を重ねるにつれ「ベートーヴェンから続く系譜にある音楽が、より近い存在となってきた」というオピッツ。そんな今だからこそ見える、当時の音楽家が互いに与え合った影響、作風の違いを、存分に伝えてくれることだろう。©Concerto Windersteinニューイヤー・コンサート2019ウィーン・シュトラウス・フェスティヴァル・オーケストラ年明けは本場ウィーンのワルツとダンスを存分に文:笹田和人2019.1/9(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp/※全国公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。 伝統的な様式と響きを尊重し、その芸術性を追求する中から、“音楽の都”の魅力と愉悦を紡いできたウィーン・シュトラウス・フェスティヴァル・オーケストラ。創立者で名ヴァイオリニスト、シュトラウス一家の作品研究の権威でもあるペーター・グートに率いられて新春の日本へと降り立ち、オーストリア発の華やかな年賀の便りを届けてくれる。 グートと、ウィーン響コンサートマスターのヴィリー・ビュッヒラーを中心に、ウィーンでの一線で活躍する名手たちを集めて、1978年に設立。音楽監督を務める2人は、どちらもヴァイオリンを弾きつつ指揮する、シュトラウス直伝のスタイルをとる。J.シュトラウスⅠ没後150年の1999年には、「世界に対し、ウィーンを代表する楽団」と、市当局から“お墨付き”を与えられた。翌年からは、ウィーン・コンツェルトハウス大ホールでニューイヤー・コンサートを開催。今回も、熱気をそのままに伝える日本ツアーとなる。 ステージは、J.シュトラウスⅡ《こうもり》序曲で幕開けし、ソプラノのアネッテ・リーピナやバス・バリトンの平野和という、ウィーンで活躍する歌の名手が登場。《ウィーン気質》から〈これがなくちゃあ許せない〉やレハール《メリー・ウィドウ》から〈唇は語らずとも〉などデュエット、それぞれのソロでもオペレッタの名曲を。さらに、ウィーンから帯同した一級のダンサーを迎え、「美しく青きドナウ」など、ワルツやポルカの優雅な旋律を、ビジュアルも含めて堪能させてくれる。アネッテ・リーピナ平野 和 ©Claudia Prielerペーター・グート

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