eぶらあぼ 2018.11月号
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75トリフォニーホール 《ゴルトベルク変奏曲》2018マハン・エスファハニ チェンバロ・リサイタル 《ゴルトベルク変奏曲》新たな可能性への扉を開く俊英文:寺西 肇12/10(月)19:00 すみだトリフォニーホール問 トリフォニーホールチケットセンター03-5608-1212 http://www.triphony.com/ 「チェンバロをピアノと比較するのでなく、独立した楽器として見てほしい。そして、いつか主流の楽器となれれば…」と折に触れて力説する、マハン・エスファハニ。繊細かつ躍動的な快演で、“新世代の旗手”と目される俊英チェンバリストが、鍵盤作品の最高峰であるバッハ「ゴルトベルク変奏曲」を軸に、バロックから現代へ、ソロとオーケストラ共演、時空と響きを自在に超越してゆく、野心的な来日リサイタルに挑む。 イラン・テヘランに生まれ、アメリカで育った。世界各地で研鑽を積み、欧州の古楽シーンの最前線で活躍を続ける。2015年には30歳にしてイギリスの名門・ギルドホール音楽院の教授に就任。3年前にライプツィヒ・バッハ音楽祭に登場した際には、解釈・テンポ取りともに“超個性的”な「ゴルトベルク」を、翌年秋の来日公演では、バッハとF.クープランにイギリスの小品と、バロックを縦横に往き来するプログラムを披露するなど、各地で絶賛と興奮の渦を巻き起こしている。 今回は、ステージで彼が披露するたび、大きな反響を呼んできた「ゴルトベルク」を、遂に日本で開陳。これに先立ち、スティーヴ・ライヒの「ピアノ・フェイズ」を奏者自身の編曲で、マイケル・ナイマンの「チェンバロ協奏曲」を川瀬賢太郎指揮の日本センチュリー交響楽団との共演で弾く。特に前者は、ライヒが「細部まで行き届いた解釈が、音楽を輝かせている」と絶賛した逸品だ。チェンバロを武器に、新たな可能性への扉を開く俊英。その瞬間を、自分の耳で体感してみたい。©Bernhard Musil/DG第478回 & 第479回 日経ミューズサロン晩秋には新星ハーピストを、クリスマスにはピアノ四重奏を愉しむ文:笹田和人第478回 日経ミューズサロン ソフィア・キプルスカヤ ハープ・リサイタル 11/27(火)第479回 日経ミューズサロンウィーン・ピアノ四重奏団 クリスマス・コンサート 12/3(月)各日18:30 日経ホール問 日経公演事務局03-5281-8067 http://www.nikkei-hall.com/ この場所でしか味わえぬ、至福のひと時がある。都心の演奏空間で、第一級のアーティストによる質の高い演奏を楽しむ日経ミューズサロン。晩秋から初冬にかけて、注目のトップ・アーティストが、相次いで登場する。 まずは、名門サンクトペテルブルク・マリインスキー歌劇場管で、2011年から首席ハープ奏者を務めるソフィア・キプルスカヤ。数々の登竜門で実績を重ね、ハープが大きな役割を担う場面が多いロシア音楽にあって、その音色に芸術監督のワレリー・ゲルギエフが惚れ込み、抜擢したという逸材だ。 そのリサイタルでは、ツァーベル「噴水」やグリンカ「ノクターン」ほかハープのためのオリジナル曲から、ドビュッシー「アラベスク第1、2番」やスメタナ「モルダウ」などの編曲作品、さらにムード音楽の傑作であるマックスウェル「引き潮」まで、多彩に披露。麗しき名手が紡ぐ癒しの音色に、身を浸したい。 そして、ウィーン在住のピアニスト、フォゥグ・浦田陽子と夫でウィーン・フィル楽員のヨァゲン(チェロ)を軸に、その同僚のハラルド・クルンペック(ヴァイオリン)とロベルト・バウアーシュタッター(ヴィオラ)が参加する、「ウィーン・ピアノ四重奏団」も登場する。 ステージでは、モーツァルトの第2番とブラームスの第3番、ピアノ四重奏曲の佳品を。さらに、没後100年を記念してのドビュッシー「ピアノ三重奏曲第1番」や、ヴィヴァルディ「冬」、コレッリ「クリスマス協奏曲」からパストラーレと、選りすぐりの名曲を通じ、“音楽の街”の薫りを届けてくれる。左より:ソフィア・キプルスカヤ ©rabovsky.ru/ウィーン・ピアノ四重奏団

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