eぶらあぼ 2018.11月号
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48エル・システマ・フェスティバル2018 ガラコンサート音楽する喜びを分かち合う熱い祭典文:山田真一12/1(土)15:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296 http://www.geigeki.jp/ 世界に広がるベネズエラの音楽教育プログラム“エル・システマ”傘下のシモン・ボリバル・ユース・オーケストラが、グスターボ・ドゥダメル指揮で来日したのは2008年。今年はちょうど10周年になる。「エル・システマ」は、無料で楽器を借りて習うことができ、オーケストラ活動にも無料で参加できる、ベネズエラ全土で展開される参加者40万人にもなる世界最大のオーケストラ教育プログラムだ。 東京芸術劇場ではこの12月、「エル・システマ・フェスティバル2018 ガラコンサート」が開かれる。第1部では福島県相馬市から始まったエル・システマ・ジャパンの子どもたち等による合同演奏。ドゥダメルが推薦する若き才能のエンルイス・モンテス・オリバーの指揮で相馬子どもオーケストラ、大槌子どもオーケストラ、駒ヶ根子どもオーケストラの合奏で、ヴィヴァルディの「四季」より「春」「冬」などを演奏する。第2部では、昨年結成された「東京ホワイトハンドコーラス」が登場。障害などの理由により発話が難しい子どもたちによる“手歌”の合唱団。白い手袋をして“歌う”ことから付けられた名称で、ベネズエラ国外では珍しい。そのベネズエラ「ホワイトハンドコーラス」の代表メンバーからなる「ララ・ソモス」も登場。昨年披露した名演を再び「イパネマの娘」などで耳にできる。エル・システマのモットー“合奏する喜び”や“合唱する喜び”を今年も聴けることだろう。アフタヌーン・コンサート・シリーズ 2018-2019後期 Vol.2ドレスデン聖十字架教会合唱団 クリスマス・コンサート800年の伝統を誇る名門聖歌隊による賛美の歌声文:宮本 明12/4(火)13:30 東京オペラシティ コンサートホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp/ 世界最高峰の教会聖歌隊、ドレスデン聖十字架教会合唱団が今年もクリスマスにやってくる。合唱団単独の来日としては3年ぶり5回目。彼らの本丸である宗教曲を中心に、〈菩提樹〉〈ローレライ〉といった有名ドイツ歌曲などで、清澄な祈りのハーモニーを聴かせる。音楽監督・指揮はローデリッヒ・クライレ。 同じドレスデンのシュターツカペレ(国立歌劇場管弦楽団)が1548年創設で「世界最古のオーケストラのひとつ」といわれているわけだが、聖十字架教会合唱団はその成立をなんと1216年までさかのぼることができるというから、すごい。音楽史では、多声音楽がようやく本格的に発展し始めた時代。つまり、クラシック音楽史をほぼまるまる飲み込んで活動してきた彼ら。その歌声を聴くことは、そのまま西洋音楽の歩みを聴くことでもあるのだ。 壮大な歴史の中で現代も、ペーター・シュライアー、テオ・アダム、オラフ・ベーア、ルネ・パーペらの名歌手たちや、かのカール・リヒターなどそうそうたる音楽家が輩出している名門だ。現在のメンバーは9歳から19歳まで約150人。19歳までということは、変声したテノールとバスもいる混声合唱編成なので、あらゆる合唱のレパートリーをカバーできるわけだ。来日の日程は待降節と重なる。クリスマスを準備する期間であり、教会暦の1年の始まり。少し敬虔に、気持ちも新たにクリスマス・コンサートを楽しみながら、800年の歴史と伝統が織り込まれた美しい響きを、全身で感じたい。©Matthias Krueger相馬子どもオーケストラ ©FESJ2018 Mariko Tagashiraエンルイス・モンテス・オリバーララ・ソモス&東京ホワイトハンドコーラス ©Hikaru.☆

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