eぶらあぼ 2018.11月号
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44自主企画リサイタルシリーズ リストのいる部屋 Vol.13青柳 晋 ピアノ・リサイタル12/23(日・祝)14:00 Hakuju Hall問 ジェスク音楽文化振興会03-3499-4530 http://www.susumuaoyagi.com/青柳 晋(ピアノ)ベートーヴェン最後の2曲に勇気を持って臨みます取材・文:飯田有抄Interview 青柳晋の自主企画リサイタルシリーズ「リストのいる部屋」は、今年で13回目となる。今回から会場をHakuju Hallに移し、2018年はベートーヴェンのピアノ・ソナタ第31番と、リストの「巡礼の年 第2年『イタリア』」を、来年はソナタ第32番と、「巡礼の年 第1年『スイス』」を演奏する。 「Hakuju Hallはピアニッシモを美しく繊細に表現できるホールです。ベートーヴェンの後期作品を考えたときに、力まずナチュラルに響かせられるのではないかと思いました」 そう穏やかに語る青柳だが、ベートーヴェン最後の2つのソナタに2年掛かりで取り組むことは、「勇気を振り絞って」臨む一大プロジェクトだ。 「31番も32番も、実は今までコンサートで取り上げたことは一度もありません。若い頃は、“年輩の人が弾く雲の上の作品”だと思っていました。でも実は、私たちも身近に感じているような喜び、悲しみ、情熱が込められており、非常に若々しく、困難な状況でもポジティブな世界へと導いてくれる作品だとわかりました。第31番の第3楽章『嘆きの歌』は、若い頃はどう弾いていいかわかりませんでした。牢獄から一生出られない人間が、天窓からの一条の光を見つめているような音楽かと思っていました。しかしそうではなく、もっと普遍的な、誰もが抱きうる嘆きの音楽なのです。嘆いているからといって、音楽が止まってはいない。流れはフーガへと続きます。このフーガとは再起と再生であり、生命力を取り戻している音楽なのです」 リストの「巡礼の年 第2年『イタリア』」は、このリサイタルシリーズの記念すべき第1回で演奏した作品。会場を変えて心機一転となるこの機に、「改めて理解を深めて弾きたい」という。 「演奏とは『生もの』であり、変わり続けていくものです。13年という年月を経て、私自身の身体も、楽器との関わり方も、変化してきました。今の自分とリンクさせながら最善のものを出したいですね。第2番や第3番は、最近しみじみいい曲だなと感じています。全曲となると規模も大きいので、息の長いフレーズ感覚をもって弾きたいです」 このリサイタルのようにマチネの日には早朝にジョギングをして、爽快な気分で本番に臨むという。「来年は50歳という節目の年」を迎える青柳。変動と蓄積とに身を委ね、ナチュラルな姿勢で音楽と向き合い続ける青柳の、新たな「部屋」をぜひ訪れていただきたい。Music Program TOKYO シャイニング・シリーズ Vol.3レクチャーコンサート ロッシーニの魅力 再発見!天国のロッシーニも大満足の好企画文:飯尾洋一 今年はロッシーニの没後150年。そんな記念の年にふさわしいレクチャーコンサートが東京文化会館小ホールで開催される。 今回の公演は同ホールのシャイニング・シリーズ Vol.3として開催されるもので、東京音楽コンクール上位入賞者を中心に、総勢14名ものアーティストたちが出演するのが大きな特徴だ。ソプラノの天羽明惠、メゾソプラノの富岡明子、高橋華子、バリトンのヴィタリ・ユシュマノフといった歌手陣をはじめとして、ヴァイオリンの岸本萌乃加やクラリネットのアレッサンドロ・ベヴェラ11/17(土)15:00 東京文化会館(小)問 東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 http://www.t-bunka.jp/アレッサンドロ・ベヴェラリリなど、多彩な器楽奏者たちも出演して、ロッシーニ作品の魅力に多角的に迫る。オペラ《チェネレントラ》からの六重唱や、《湖の女》の三重唱などに加えて、クラリネットとピアノのための幻想曲など、器楽作品も取り上げられるのが好奇心を刺激する。 解説はロッシーニ研究で知られる水谷彰良。ひと味違ったトークで、ロッシーニの魅力を再発見することができるだろう。天羽明惠 ©Akira Muto

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