eぶらあぼ 2018.11月号
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42ターニャ・テツラフ ©Giorgia Bertazziアラン・ギルバート(指揮) 東京都交響楽団捻りを効かせたスペイン・プログラムの妙味文:飯尾洋一第869回 定期演奏会Cシリーズ 12/18(火)14:00 東京芸術劇場コンサートホール第870回 定期演奏会Aシリーズ 12/19(水)19:00 東京文化会館問 都響ガイド0570-056-057 http://www.tmso.or.jp/ 今年4月より東京都交響楽団の首席客演指揮者を務めるアラン・ギルバートが、この12月、都響の定期演奏会に帰ってくる。今回組まれたのは、スペインをテーマにしたプログラム。リヒャルト・シュトラウスの交響詩「ドン・キホーテ」、ビゼーの「カルメン」組曲抜粋、リムスキー=コルサコフのスペイン奇想曲の3曲が並ぶ。つまり、これはスペイン人作曲家のいないスペイン・プログラムなのだ。ドイツから見たスペイン、フランスから見たスペイン、ロシアから見たスペインといったように、外から見たエキゾチックなスペインの印象が音楽に刻印されているという次第。 セルバンテスの小説に着想を得たリヒャルト・シュトラウスの交響詩「ドン・キホーテ」では、まず色彩感豊かなオーケストレーションが聴きもの。都響のすぐれた機能性をギルバートが最大限に引き出してくれることだろう。この曲で主人公ドン・キホーテと従者サンチョ・パンサを務めるのは、チェロのターニャ・テツラフと、都響ソロ首席奏者であるヴィオラの鈴木学。名手共演も楽しみ。 ビゼーの「カルメン」組曲は、アラン・ギルバートによる抜粋で演奏される。スペイン情緒たっぷりの傑作だ。 リムスキー=コルサコフのスペイン奇想曲はスペインの民謡や舞曲が散りばめられた楽しい一曲。シュトラウスとの「オーケストレーションの達人」対決といった趣きもある。ヴァイオリン独奏をはじめソロの活躍も多く、華やかな音の饗宴を堪能できる。鈴木 学 ©T.Tairadate紀尾井ホール室内管弦楽団 2019年度定期演奏会古典から20世紀作品まで傑作ぎっしりのラインナップ文:山田治生※紀尾井ホール室内管弦楽団 定期演奏会の各公演のチケット発売日など、詳細については下記ウェブサイトでご確認ください。問 紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061 http://www.kioi-hall.or.jp/ 2017年、紀尾井シンフォニエッタ東京から名称を変更した紀尾井ホール室内管弦楽団(KCO)は、ウィーン・フィルのコンサートマスターでもあるライナー・ホーネックを首席指揮者に迎えた。ホーネックは、年間5プログラムの定期演奏会のうち、3つに登場。毎回、指揮だけでなくヴァイオリン・ソロも披露している。 3シーズン目の19年度もそのスタイルが継続される。シリーズ化されている〈ホーネックのモーツァルト選集〉では、「セレナータ・ノットゥルナ」でヴァイオリンを弾き、「グラン・パルティータ」を振る(2019.4/5,4/6)。もう一つのシリーズ〈ミュトスとロゴス〉では、西村まさ彦を語りに迎え、ベートーヴェンのバレエ音楽「プロメテウスの創造物」を全曲演奏(9/27,9/28)。そして20年2月には、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を弾き振りし、交響曲第7番で年度を締め括る(20.2/14,2/15)。 注目は、バッハ・コレギウム・ジャパン音楽監督である鈴木雅明の客演。バルトークの「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」とストラヴィンスキーのバレエ音楽「プルチネルラ」という20世紀音楽を取り上げるのが興味深い(19.6/21,6/22)。「プルチネルラ」は歌手を交えての全曲演奏。 鍵盤奏者としても知られるイギリスの指揮者、リチャード・エガーは、16年の「東京・春・音楽祭」での共演で好評を博し、KCOの定期にデビューする。近年演奏頻度の上がっているシューマンのヴァイオリン協奏曲を、国際的に活躍する佐藤俊介が弾く。ブラームスの交響曲第2番は意外にもKCO初レパートリー。初演当時に近い小振りな編成での演奏が楽しみ(11/8,11/9)。左より:ライナー・ホーネック ©ヒダキトモコ/鈴木雅明 ©Marco Borggreve/リチャード・エガー ©Marco Borggreve/紀尾井ホール室内管弦楽団 ©ヒダキトモコアラン・ギルバート ©Peter Hundert

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