eぶらあぼ 2018.11月号
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34©木之下 晃戸田弥生 ソロ・ヴァイオリン・リサイタル ストリング・狂(マニア)!11/16(金)19:15 小金井 宮地楽器ホール(小)※同日・同会場で小・中・高校生のためのミニ・コンサート(17:00~18:00)あり問 小金井音楽談話室042-388-8099 http://koganei-music.at.webry.info/11/21(水)19:00 大阪/あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール問 KCMチケットサービス0570-00-8255 http://www.kojimacm.com/戸田弥生(ヴァイオリン)ヴァイオリン、そして弦楽器の素晴らしさに触れてほしい取材・文:柴田克彦Interview 日本屈指の実力派ヴァイオリニスト・戸田弥生が、東京(小金井)と大阪で無伴奏のリサイタルを行う。題して「ストリング・狂(マニア)!」。自身を「音楽に没頭する人=マニア」に喩えたこの言葉には、無伴奏への思いが込められている。 「無伴奏は難しいと思われがちですが、バッハから現代に繋がる重要なテーマであり、音楽家にとって最も大切な深い精神性を有しています。なのでぜひそれを感じていただきたい。また“ストリング”は、ピアノが入らない演奏で弦楽器本来の響きに開眼してほしいと願って名付けました」 今回はプログラムにも工夫が凝らされている。 「初めて聴く方を含めた色々なお客様に楽しんでいただけるよう、楽章の抜粋と小品で構成し、時代による変化などの話も交えたいと思っています。選曲はやはりバッハが柱ですが、今回はバルトークのシャコンヌで始め、バッハのシャコンヌで締めようと考えました。そしてその間に新旧のプレリュードとフーガで様式の変化を示し、近現代曲に進むのが全体の流れです」 実演では短めの音楽が9つ披露される。 「まずは大好きなバルトークのソナタの第1楽章。深く重い作品をあえて最初に置きました。次は最もポピュラーなバッハのプレリュードとレーガーの同曲の比較。ちなみにレーガーの曲は、クレーメルがバーンスタインと録音したブラームスの協奏曲でカデンツァに用いています。さらにイザイとバッハのフーガの比較。バッハのソナタ第2番のフーガは難曲ですが、私は彼のソナタの中で一番好きです。前半最後のイザイのソナタ第6番はスペイン風の作品で、テクニックが見ものです」 後半は珍しい作品を含む3曲が続く。 「一柳慧先生の『展望』は、昔開催されていた日本国際音楽コンクールの委嘱作品。出場した際、素晴らしい曲なので演奏会でも弾きたいと思いました。次のストラヴィンスキーの『エレジー』は、もっと弾かれるべき美しい作品。そしてバッハの『シャコンヌ』は、時代を超える精神性が集約された、これなくして無伴奏を語れない曲ですが、有名だから弾くのではなく、自分がこの曲から感じた何かを伝えたいと思っています」 彼女は、「無伴奏のコンサートは、その演奏家の全てが出てしまう、厳しい世界。それゆえに、自分の本当のものを見る、そして自分の世界も限りなく創れる」とも話す。 「今回は、細かい曲を連ねる形で行う初の公演なので、お客様の反応が楽しみ。あまり身構えずに、こんな作品もあるんだ…といった新鮮な気持ちで聴いてほしいですね」 なお小金井公演の当日、程よい時間の17時~18時にレクチャー付きの「小・中・高校生のためのミニ・コンサート」も開かれる。会場は新宿から約20分の駅前、及び大阪駅から徒歩圏内ゆえ、気軽に触れてみるのをお薦めしたい。ナビル・シェハタ コントラバス・リサイタル低音の魅力と超絶的神技に酔う文:柴田克彦 コントラバスの妙技をこれ以上堪能できる公演は他にない! 現代最高峰のコントラバス奏者の一人、ナビル・シェハタが待望のリサイタルを行う。 1980年生まれの彼は、2003年難関のミュンヘン国際コンクールで優勝し、同年バレンボイムに招かれてベルリン国立歌劇場管の首席奏者に就任。04年から08年までベルリン・フィルの首席奏者を務めた後は、ソロ、室内楽、ミュンヘン音大教授、さらには指揮など多彩な活動を展開している。彼の凄さは、あの不器用(?)な楽器とは思えないほどなめらかなフレージングと豊かな表現力にある。11/20(火)19:00 京都府立府民ホール アルティ(エラート音楽事務所075-751-0617)11/22(木)19:00 Hakuju Hall(メロス・アーツ・マネジメント03-3358-9005)http://www.melosarts.jp/©STEPHAN ZWICKIRSCH同楽器独特の肉太の低音で魅せるのは言わずもがな。その自然な節回しや圧倒的な超絶技巧は驚嘆必至だ。 今回は、同楽器の定番作曲家ボッテジーニ、クーセヴィツキー、グリエールのオリジナル曲に、バッハの無伴奏組曲第1番、ブルッフの「コル・ニドライ」の両チェロ曲、さらにはベートーヴェンのホルン・ソナタまで、多面的な本格派演目を披露。滅多に体験できない音色と音楽、そして稀有の神技に酔いしれたい。共演は実兄のカリム・シェハタ(ピアノ)。

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