eぶらあぼ 2018.11月号
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182 今年2018年はバーンスタインの生誕100年、ロッシーニの没後150年、ドビュッシーの没後100年が“メモリアル御三家”と呼べそうですが、少し枠を広げてみると、忘れてはいけないひとりのフランス人の名前が見つかります。マリウス・プティパ(1818-1910)、今年が生誕200年です。 チャイコフスキーの『白鳥の湖』『眠れる森の美女』『くるみ割り人形』、いわゆる三大バレエをはじめ『ドン・キホーテ』、『ライモンダ』など生涯に60ものバレエの制作、振付を行った史上最大のバレエマスターです。フランスのマルセイユ生まれ、1847年にロシアに渡り、マリインスキー劇場を中心に50年以上もロシア舞踊界に君臨しました。歴史に“もし”はないのですが、もし、プティパがいなかったら、今、世界のバレエカンパニーは何を上演しているのだろうか? 子どもたちは何を楽しみにバレエスクールに通うのだろうか? それくらい大きな存在だと思います。 そんなプティパが1903年に振付をした『魔法の鏡』は「失敗作」の烙印を押され、彼は引退。最後『OTTAVA Bravo Brass 〜ブラバンピープル集まれ! オザワ部長の Let’s吹奏楽部〜』毎週土曜22:00〜24:00/再放送 毎週日曜17:00〜19:00の作品になってしまいました。作曲を担当したアルセニー・コレシチェンコ(1870-1921)は、モスクワ音楽院でラフマニノフの師でもあるアレンスキーに学び、ラフマニノフより前に大金メダルを受けた、未来を嘱望されていた存在だったのですが、この作品同様、闇に葬られてしまいました。 『魔法の鏡』は本当に駄作だったのでしょうか? 今回、私たちは、東京大学助教授で、まもなくプティパとロシアバレエ史に関する著作を刊行される平野恵美子さんの監修で、この作品をピアノ演奏(抜粋版)でお聴きいただける公演を企画しました(演奏は長江美和さん)。併せて影絵師の山田大祐さんによる影絵もあり、1903年の初演時のイメージを膨らませていただきます。平野さん曰く「『魔法の鏡』はチャイコフスキーの三大バレエに勝るとも劣らない美しい楽曲です」とのこと。当日は平野さんの解説とともに、このロシアバレエ史最大の“謎”に迫れればと思います。10月25日(木)紀尾井町サロンホール、限定80名様です。ご予約はOTTAVAウェブサイトからお願いします(http://ottava.jp)。文:斎藤 茂(OTTAVAゼネラルマネージャー)&オザワ部長ロシアバレエ最大の「謎」をサロンで観る、聴くVol.9◎OTTAVAとは2007年に開局した24時間無料でクラシック音楽が楽しめる国内唯一のインターネット・ラジオ局。リスナーは全世界で100万人以上。パソコンやスマートフォン、タブレットで、いつでもどこでもクラシック音楽が聴ける。OTTAVA検索コンテンポラリー・クラシック・ステーションへようこそ!オッターヴァ無料でインターネットで聴ける!連載 吹奏楽や吹奏楽部は、よく「ブラバン」と呼ばれます。オザワ部長もこれまでタイトルに「ブラバン」と入る本を何冊か出していますし、OTTAVAの番組名も「Bravo Brass 〜ブラバンピープル集まれ! オザワ部長のLet’s吹奏楽部〜」です。しかし、実をいうと「ブラバン」は吹奏楽とは似て非なるもの。「ブラバン=ブラスバンド」は「金管バンド」の意味で(brass:真鍮)、主にイギリスで盛んな英国式ブラスバンドを指します。楽器は金管楽器と打楽器で、コルネットやテナーホーン、バリトンなど吹奏楽とは違う楽器が多く使われます(吹奏楽で使用されることもあります)。つまり、吹奏楽を「ブラバン」と呼ぶのは誤りなのですが、すでに全国的に定着しており、日本独自の通称・愛称だと認めるべきでしょう。ブラスバンドの名曲も吹奏楽に多数編曲され、演奏されています。吹奏楽、ブラスバンド、どちらにもご注目を!【今月のオススメ“ブラスバンド”曲】アウディヴィ・メディア・ノクテ(ヴェースピ)「ブラバン」と「吹奏楽」の関係Vol.5オザワ部長の“コラム in コラム”

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